#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版のレビュー・感想・評価
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地方政治の現状を浮き彫りにした作品
東京都知事選で2位となって話題の石丸伸二の、安芸高田市での4年間を捉えたドキュメンタリーだ。地元の広島ホームテレビが制作で、地域メディアならではの4年間の密着体制で石丸氏と議会の軋轢を冷静な視点で見つめている。まず石丸氏が市長選に立候補したきっかけが、河合夫妻の収賄事件で市長と議員が辞職したこと。最初にどうしようもないほどの政治腐敗があったという点が重要。そこに、さっそうと「フレッシュ」な石丸氏が登場して改革の期待を背負って当選したわけだ。収賄事件以降も、議会はなかなかクリーンにならない実態が描かれる一方で、石丸氏の方もなかなか事態を打開できないまま、平行線のまま4年間が過ぎていく。
だが、石丸氏の登場で市民の政治参加意識は高くなっていることも伺える。
作品の核は、石丸氏の政治家としての資質ではない、むしろ、地方政治の惨状である。過疎化の進む地方で旧来の政治勢力が支配する状況を打破することの難しさが浮き彫りにされている。安芸高田市だけの問題ではなく、同じような課題は全国にあるだろう。観終わると、地元の議会の公聴会に参加してみようかという気にさせる。
「どっちもどっち」ではダメ
本作をこの時期に公開できるなんて劇場としては「してやったり」のタイミングでしょう。
東京都知事選の開票日以降、毎日の報道番組を席巻している石丸伸二氏が、なぜ安芸高田市市長に立候補し、4年間の任期中に何をしたのかを検証したドキュメンタリーです。今春、本作の公開情報が出てから鑑賞を楽しみにしていたのですが、5月25日に先陣を切って上映を始めたポレポレ東中野では僅か1週間で公開を打ち切ってしまいました。また神奈川県では、6月29日から上映開始予定だった横浜シネマリンが、公開を7月下旬からに変更しました。どちらも、5月16日に氏が東京都知事選への出馬を表明した事を受けて、選挙への影響を考慮してのことだったのでしょう。それほど氏の都政進出は意表を衝くものであり、映画館のみならず本作の制作者も予想しなかった事なのです。そして、更に予想しなかったのは氏が都知事選の次点になるまでの票を集めた事です。支持者の方々にとっては「当然」と思える事でしょうが、僕にとっても驚きでした。そして、満を持して観た本作。確かに面白かったです。
政治家にとって最も大切な能力は「言葉で他者を説得する力」であると僕は信じています。その為には自分の言葉を信じて貰う事が必要で、その為に透明性は欠かせません。その点では現在の国政は目を覆うばかりの惨状です。全ては舞台裏で寝技の掛け合いで決まり、国会の場で語られる言葉は全て官僚作文棒読みで、記者会見では質問事項を前もって提出するという茶番劇です。血の通った言葉などどこにもありません。
さて、そこで本作を観て。石丸氏の Youtube 発信を観るようになったのは氏が都知事選に立候補してからでしたが、僕はこの人を全く好きになれませんでした。本作ではそれを確認する事になりました。「アナーキーな維新の会」とすら思えました。
氏の言葉は確かにスッパリした切れ味に響きます。でも、その言葉に「悩み」や「躊躇い」が全く感じられないのです。舞台裏での根回しは拒否して、議会のオープンな場で議論しようというアプローチには賛成だし、意思決定のプロセスを Twitter や Youtube で可視化しようとする考えも理解できます。しかし、上から目線で切って捨てる様な言葉遣いは余りに乱暴だし、交渉事がこんなに稚拙では行政府の長は務まらないだろうと思えました。
しかし一方で、市長からの発信を観て全国から支持者が増えたというのもよく理解出来ました。「少々はみ出ていても、こんな人でなければ旧態依然たる議会を動かせない」と思う人が居てもおかしくなく、そんな人々には欠点が長所に映ります。それほどに、市会議員らはジイサン社会にドップリ首まで浸かっているのでした。
つまりは、市長も議会も「どっちもどっち」なのです。しかし、「どっちもどっち」と涼しい顔をしていたら、日本は足踏みしたまま少しずつ後退りしていくだけです。「やれやれ」ではあるけれど、手遅れになる前に一人一人がしっかり意思表示し続けねばなりません。
以前は好感持っていたけど今は。。。
石丸さんが市議会とやり合っているシーンを見てカッコいいと思ったが、今は彼の思想に対しては懐疑的。
今回の都知事選で、ドトールコーヒーやニュービジネスから多額の出資や借り入れをしているみたいだし、そのことを隠し「大きな後ろ盾などない」と言ってみたり、前の選挙ポスターの費用(70万)を払って無かったりと、人格的に?と思えるニュースが多い。
素材は一級品、手法は二流、出来た作品は、三級品
そもそも広島ホームテレビはこの映画をなぜ撮ろうとしたのだろう。出来上がったものは、初めの志とは大きく違うものになったのではないか?
マスコミとしての両論併記への忖度と保身、もしかしたら、うえからの横やりもあったかもしれない。なんのためのドキュメントなのか、その目的がぶれぶれの感じがしてならなかった。
前市長が大規模買収事件で辞職して、急遽実施された市長選挙で、市民が選んだのは、37歳のなんの政治経験もない、無名の元銀行員。それも8000票を超える圧勝で。
民意はどこにあるかはこの時点ではっきりしている筈。旧態依然の市政や議会運営に有権者は、あきあきしていたのはあきらか。
ならば、そこに切り込むのがこのドキュメンタリーの使命ではなかったのか。
もちろん市長は、公約どおり、民意に答えようとした。それ故の、旧態依然の市政、議員との全面対決である。軋轢である。それは当然のことで、もし、円満な議会運営ができていたとしたら、それはもう公約違反である。
だからこそ、そこをもっと掘り下げて伝えるのがマスコミの本来の使命ではなかったのか。本当の目的ではなかったのか。じつに中途半端である。及び腰である。
悪気はない。田舎の議員でしらなかった。勉強不足でした。に忖度する必要がどこになるのか。もっともっと鋭く踏み込むべきだと思う。
これでは、ドキュメンタリーの意味がない。テレビが新聞が、旧マスメディアが、SNSに完敗するのも仕方がないし、どんどん信用を失っていくと思う。ほんとうにひどい映画である。
それと、登場する人物は俳優ではない。全員素人である。だから、方言のうえに活舌が悪く、聞き取れない。全編に字幕をつけるべきであろうと思う。議員が追い詰められて、つい発した言葉であっても。それをきちんと伝えて欲しかった。
後半、石丸伸二氏に触発されて、市議会選挙に立候補し当選した2名の市議に時間を費やした。30分以上あったのではないか、結構な時間配分である。議会への忖度のため、議会の未来を彼らにうつすつもりだったのかもしれないが、まったく必要がないように思った。なぜなら、二人の議員は初々しさはあるが、石丸伸二氏の政治信条をきちんと理解できているとは思えないし覚悟もない。いずれ、安芸高田市は、旧態依然の市政へと急速に逆戻りし、その先頭にたっているのがあの二人ということも十分考えられるように思った。(考えすぎか)
志は良いけれど、進め方に難があったのではないか
故郷に戻って政治の正常化をしようとした志は良かったけれど、正攻法に拘り過ぎ、保守派議員だけでなく、マスコミをも敵に回したのはまずかったのではないか。若手議員はその失敗に学ぶことであろう。コンパクトシティ政策に解決を求めるとは悲しい。ジャグリングマラソンも、取って付けたパフォーマンスにしかみえない。
将来の展望を持たず国語力もない多くの市議会議員
広島県中央から北部に位置する安芸高田市で、2019年参議院選挙での河井克行・河井案里夫妻による大規模買収事件により現金を受け取った当時の市長と市議3人が辞職した。そして、2020年8月に実施された市長選で政治経験の無い37歳の元銀行員・石丸伸二氏が市民に選ばれた。石丸市長は、政治の見える化、を掲げてSNSで積極的に情報発信を行い、市民からの期待も高かったのだが、持続可能な市政を目指し、忖度なし、効率重視で進める石丸市長の手法と、根回しを重んじる旧態依然とした議会との間には軋轢が生じていった。その経緯を次々とオープンにする石丸市長のSNS投稿が議会との決定的な亀裂となり、さらに法廷まで持ち込む騒動へと発展していった、という広島ホームテレビ制作のドキュメンタリー作品。
過疎化が進んでいってる安芸高田市で無駄を省き、財政の再建を図ろうとしてる市長に対し、旧態依然とした議会は根回しがない、とか、独断だ、とか難癖つけて、市長に反対ばかり。
過疎化の市の将来について展望の無い年寄り議員は逃げ切りを図っているらしい。
安芸高田市民が判断すべきなのだが、自分の保身しか考えてない議員は落とさないと改革は進まないだろう。
道半ばにして次期市長選挙には出馬しないという石丸市長だが、後に続く若手も居ないわけじゃなさそうなので、変化の継続に期待したい。
そして、石丸伸二氏には東京都知事選挙で是非当選をしてもらい、首都改革に着手してもらいたい。
期待してます。
「報道のオキテ」に縛られてしまった印象が強いかなぁ…
まず、安芸高田市長という地方行政の長に対し、取材しながらも「あなたの市政を問いますよ」のは、作り手として本当に神経を使い、大変な作業だったと思います。
というのも、日本の場合は、長期で密着されたり、取材されれば、「きっと良いことを伝えてくれる」という期待が本人のみならず、周辺で高まるからです。
また、いくつかの場面で「大きな決断」を迫られたと容易に想像できます。
改めて、その勇気と、制作し映画公開にまで漕ぎ着けた、その力に深い敬意を表します。
私自身の政治への関心、地方議会への関心を深くしてくれましたし、議会運営のあり方についても、色々と考えさせられました。
ただ、映画として見る分には、矛盾するかもしれませんが、上記の「客観性」がゆえに、物足りない点もいくつかありました。
報道のルールに則った両者の意見を並べ、視聴者に判断を委ねるというやり方は映画にはそぐわないと感じました。それはゴールがないからです。
たぶん作り手の方は「石丸市政を見つめる」というゴールを設定したと想像します。
でもそれであれば、報道やテレビの特集で十分ではないでしょうか。
映画にするのであれば、より深い何かを訴えたいはず(というか、それを見る側は期待する)。
その「訴え」が「これまでの番組でカットしてしまった映像」では、あまりに弱すぎるし、実際に弱すぎました。
映画化にあたっては、やはり一歩踏み込んだ取材が必要だったと思います。
繰り返しになりますが、プロデューサーの立川さんは「今回の映画化にあたっては、上映前に泣く泣くカットしたものも多数あった。それをなんとか伝えたい」とおっしゃっていました。つまり、石丸市長に関する素材は山ほどあったのだと思います。
ただ、果たしてそれは本当にその人物を知る、検証する材料として「撮れていた」のでしょうか。残念ながらそうではないと感じました。それは、石丸市長がなぜあのような市政を行なっているのか、その根本に関する検証や取材がゼロだったからです。
議会と対立する姿勢、中国新聞を会見から締め出すやり方、こうした「仮想敵」を作るやり方は、政治に限らず、スポーツ(例.サッカーのジョゼ・モウリーニョのマネジメント)でも頻繁に登場するやり方です。こうした方法を石丸さんは意識していたのか、それとも全く違う思想があったのでしょうか?
石丸さんの思想やマネージメントの原点にもう少し「多角的」に迫る必要があったと思います。対象者に近く、なんでも撮れている(ように思えている)からこそ嵌る落とし穴ではないか、そう感じました。
報道素材に加えてもう一歩深く突っ込んでくれれば、もっともっと面白くなったのではないか、そう感じています。
もちろん、私自身に「任期を1期で終え、都知事選に出ることを明言した」というフィルターがありましたが、それを差し引いても、物足りなかったのは否めません。
とここまでネガティブな感想を書いてきましたが、「よく公開にこぎつけたなぁ」という制作陣の皆様への深い敬意は変わりません。
メディアが行政に目を光らせ、疑問をぶつけ、時に議論するという姿勢にはすごく勇気づけられました。本当に大変だったと思いますし、これからも広島ホームテレビさんの作品、岡森監督、立川プロデューサーの活躍を追っていきたいと思います。
日本の縮図
安芸高田市の石丸市長が東京都知事選に立候補したので、東京都内では僅か1週間程度の公開予定となっていたので、予定変更して見てきました
通して見えてきたのは日本の政治の縮図。
市長と議会の対立のドキュメントですが、YouTubeなどよりかはある程度客観的な視点から構成されているので、YouTubeの諸動画と同じ感覚で見ると違和感感じるのと共に、自分自身の視点がやや偏っていたと感じると思います。
どちらが正しいのか?
と言う視点ではなく、
もっと俯瞰的に自分ごととして考えなければならない
というきっかけになれば良いのかな?
と思いました
規模は違えど、国政も仕組みは類似していると思います
考えされられる映画でした
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