「『ババンババンバンバンパイア』に学ぶ経営戦略」ババンババンバンバンパイア 林文臣さんの映画レビュー(感想・評価)
『ババンババンバンバンパイア』に学ぶ経営戦略
映画『ババンババンバンバンパイア』は、一見ふざけたタイトルとは裏腹に、人間社会の縮図と闇をコメディタッチで描いた異色の吸血鬼映画だ。経営者としてこの作品を観て感じたのは、“集団”という力の怖さと面白さ、そして“個”の立ち位置の重要性である。
物語は、吸血鬼が人間社会に溶け込み、バラエティ番組やSNSを通じて人気者になるという前代未聞の展開で進んでいく。彼らが組んだ“吸血鬼エンタメ集団”は、企業で言えばベンチャーのような勢いと独自性を持っており、従来の秩序や倫理を揺さぶっていく。
この映画の中で、事業家に通じる視点を持つキャラクターが一人登場する。彼は吸血鬼のブランディングや収益化に目をつけ、彼らを“商品”として扱おうとする。ここに、現代ビジネスの縮図がある。集団の力を利用しながらも、最終的には個人の理念とブレない軸が問われるのだ。
そして注目すべきは、劇中で語られる「血を吸うことで身体が温まる」という吸血鬼の習性。これは“温活専門店”に通ずる概念として、私には印象的だった。身体を温めることで健康を保つ、という現代のウェルネス思考を逆説的に描いているようにも思える。
『ババンババンバンバンパイア』は笑えるだけでなく、経営やブランディング、そして組織と個人の在り方について考えさせられる作品だ。事業家として、型破りな集団がどのように世界に挑戦していくのか、そのプロセスに学びがあった。
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