「は〜笑った」ババンババンバンバンパイア romiさんの映画レビュー(感想・評価)
は〜笑った
せっかく奇跡的に同時期に吉沢亮さん主演の2作、シリアスの極致みたいな『国宝』と、コメディの極致みたいな『〜バンパイア』が公開されているので、あまり期間を空けずに観たいなと思っていました。
国宝のほうは、もう一瞬も安らげないくらいピリピリした緊張感が漂いつづけていて、鑑賞後はぐったり疲れるくらいに圧倒されました。とにかく吉沢亮さんの演技の熱量がすごかった。ほとんど感情表現のない、セリフも少ない映画でしたが、仕草ひとつ、目線ひとつから色んな感情が伝わってきました。
そしてバンパイアのほうは、完全逆方向への熱量がとんでもなかったです笑。いや〜振り切ってましたね…コメディ吉沢、予告から予想していたテンションの10倍くらいノリノリ。演じるの楽しくてしょうがないんだろうなと。掛け合いのちょっとした間がとても上手で、セリフひとつで何度も笑わされました。
あと、声がすごく良いですよね。以前アニメ映画のゲスト声優をしていらっしゃるのを観て(聴いて)、エンドロールを見るまで吉沢さんだと気づかなかったくらい声の演技がお上手だったのが印象的だったのですが、バンパイアでも序盤のダンスシーンの「ポゥ!」とか予告でもインパクト大だった「貴様ァ!」とか、声量も声色も完璧で、その声だけで笑わされるくらい凄かったです。とにかく発声とか声帯がいいのでしょうね。
そして歌もとてもお上手なのだとこの映画で知りました。耳もいいのかな。国宝でも歌舞伎の口上とか女形っぽい声色の作り方がすごく上手だなと思ったので。
これほど真逆のテイストの映画で、真逆の巧さを感じさせ、どちらも極限まで振り切った演技をされていて、本当に素晴らしい役者さんだと思いました。
この2作をきっかけに、これから彼は容姿先行で語られることはもう無くなるのでしょうね(上からで申し訳ない)。
他のキャラも配役ばっちりでした!
板垣さんは安定の可愛らしさ+安定の演技で、高校生らしいピュアさを醸し出していました。こういう俳優さんってなかなかいないですよね、まさに唯一無二。
原菜乃華さんは可愛らしさに加え、声の演技がとてもお上手なのが印象に残りました。アフレコ?部分の声色の作り方がとっても自然で声優さんのよう。そういえば「すずめの戸締まり」も最後までプロの声優さんかと思いながら聴いていたのを思い出しました。
満島真之介さん。実は私、昔から満島ひかりさんが大好きで、だからこそ「ひかりさんの弟さん」という認識でいたのですが、この映画を観てそんな失礼な認識の仕方はやめねば!と思いました。さすがのコミカルな面白さと気持ち悪さ(もちろん良い意味で)、そして歌がお上手、ラップっていちばん歌うの難しいと思うのですが、聴き惚れました。
眞栄田郷敦さんは本当に存在感があって、それまでの軽やかでコミカルな雰囲気が、眞栄田さん登場の瞬間ピリッと引き締まった感じがして、すごいなあと。
演出も、はっちゃけていながら変な内輪ノリみたいになって観客置いてけぼりにはならないぎりぎりのラインでちょうどよく、
脚本も、長編マンガを映画1本分にまとめるのは大変でしょうが欲張りすぎず物足りなくもなくちょうどいい。
総じて、気楽に楽しく笑えてホロリとくるシーンもある、良質なエンタメ映画だと思いました。