ぼくのお日さまのレビュー・感想・評価
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月の光とお日さまの光
吃音症で言葉を上手く伝えられないタクヤ
感情を表に出すことが少ないさくら
かつて一流のプロスケーターだった荒川先生
3人の感情の交わりを描いた群像劇。
吃音症や同性愛をテーマにした映画はこれまでも沢山あっただろうが、この映画ではそれらの「特徴」に過剰なスポットライトを当てることはない。あくまで3人の心のやり取りを描いている点が、作品としての美しさと澱みのなさを作り出しているように感じる。
3人とも言葉数が多い人物では無いが、スケートという言語を通じて互いに必死になって感情をやり取りしているように見えた。それぞれの目線と動き、スケート靴で氷を砕いて滑る音、リンクに残る軌跡、それらから言葉以上のものが伝わってきた。
映像としても非常に綺麗で、劇中のキーになる曲である「月の光」とタイトルの「お日さま」という対になる2つのモチーフを表現する光の使い方が印象的だった。
そして、「ぼくのお日さま」というタイトルから、お日さまとは、タクヤにとってのさくらのことだと思うかもしれない。しかし、果たしてそれだけだろうか。さくらにとってもまた、タクヤや荒川先生がお日さまであったかもしれないし、荒川先生にとってもタクヤとさくらがお日さまであったかもしれない。
3人ともが互いに光を与え合うように、スケート靴を履いて舞う光景が魅力的だった。
だが、お日さまはいつまでも空を照らしてくれる訳では無い。月の光が差す時に3人がどのような選択をするのか。
派手さはないけどジーンときた
恋とは厄介なものだな
美しく幸せで残酷な傑作。
吃音をもつ少年のフィギュアスケート選手である美しい少女への純粋で一途な恋を、少女のコーチである青年を絡めて描いた傑作です。
物語前半の多幸感は本当に素晴らしく、美しい雪国の風景の中で楽しそうにしている三人や恋する少女に追い付こうとスケートリンクで必死にでも楽しそうに練習する主人公の男の子を観ていると映画を鑑賞している私自身も幸福感で一杯になりました。
凍結した自然の湖でthe zombies の「going out of my head」をBGMに戯れる三人の描写には幸せ死にするかと思いましたよ。
しかし、物語後半は一転しある出来事のせいで悲しく寂しく残酷なお話しになって行きました。やっぱり女の子の方が成熟が速いのでしょうか?あれは大人の恋心だと感じました。全く成長するって事は…。
ラストシーンの切れ味も最高です、エンドロールのハンバート・ハンバートの主題歌も素晴らしい!吃音を伝えたい事が多過ぎて大き過ぎて言葉が出ない事だと映像と歌詞で表現するなんて美し過ぎますよ。
男の子はフィギュアスケートの靴を両手に抱えて少女と再会しました、コーチの予言した通りこの二人は将来日本一のペアとなる事でしょう、これが私がこの素晴らしい映画から受け取った楽観的過ぎる私のラストシーンです。
雪景色だけど暖かい、その分切なさが際立つ
寒い雪景色なのに暖かさを感じる絵作りに、冬嫌いの自分だけどこんな冬なら好きになれそうなんて思ってたら…なかなかほっこりとは言えない、世知辛いなぁという感じの作品。
暖かさを感じるシーンが多い分、終盤は描写以上により切なさが際立つ作品だった。
「吃音症」
男の子のタクヤは吃音を持っているけど、そこはそれほど重要ではなかった気がする。
音読では人より緊張したり、吃音のせいで引っ込みがちではある感じだけど、吃音じゃなくても、音読苦手だったり大人しい子はいるだろう。
劇中だとそれほどそれが原因で仲間はずれにされているとも思わなかったけど、そういうのはあえて描かなかった感じなのかな?
家庭的にも父親も吃音っぽいので、家庭も一応は居場所がちゃんとある気がする。
「スケート靴」
単純に知識がなかっただけだけど、フィギュアスケートの靴とアイスホッケーの靴って違うんだなぁと。
そりゃそうかとは思ったけど、体重のかけ方とかそういうの意識ないとちゃんと滑れないくらいには違うものなんだなぁー
「氷の湖でのシーン」
このシーンが最高だと思えるシーンはたくさんあった気がするけど、そこでの人たちの表現なんか含め自分はコーチの荒川が気分転換?親睦を深めるため?に連れて行った氷の湖での3人のふれあいが最高だった。
さくらはペアでの競技の練習ホントは嫌だったりするのかなとも思ってたけど、あのシーンみたら(その前の室内の練習の時からすでに)なんだかとても楽しそうで、提案された時こそ煮え切らない感じの表情だったけど、
ペアで、いやあの3人での練習をすごく楽しんでるように思えた。
またコーチの荒川もなんだか暗そうな人の第一印象だったけど、子供たちとの年齢差を感じさせないような、お茶目で遊び心ある人なんだなぁと思えた。
「だれも悪くないと思うけど、離れてしまう」
上記のような最高にほっこりするシーンがある反面で、シーンとしてはほんの些細なとも思えることでそれが崩れてしまう。
ある意味タクヤは振り回されてしまったような気もするけど、タクヤは自分が原因かな…なんて考えたりもしている。
さくらの抱く感情も年齢的にまだ子どもではあることを考えると、間違っているとは言い切れないかなと。すっと受け流せる同年代の人もいるだろうけど、現代においてそれはまだ難しいのかも。
そして一番しんどいのは荒川コーチだろう。決して悪いことをしたわけではないからこそ、こちらとしてもこういう結果はとても悩ましいし悲しい気もする。
「最後タクヤはなんて言ったのかな…」
ラスト久々に再開したタクヤとさくら
タクヤが何か言おうとしているところで、終わってしまうけど、なんて言おうとしたんだろ?普通に「久しぶり」とかかな?
「総括」
タイトルの僕のお日さまだけど、メインの3人にとってそれぞれがそれぞれのお日さまだったなぁと思う。ある種の3角関係みたいな。きっとそれはとても良いバランスの三角だったんだろうな。
またお日さまをタイトルに入れてあるのに劇中で使用されるのは月光なのも意味ありげな気がする。
ポスターや予告から受ける暖かさは十分に感じ取れる作品なのだけど、
終盤の世知辛さはそんな温かさがあったからこそ、感じ肌寒さのようだった。
劇中では春になるのにね。
あの頃のこと
おいしい肉まん
草野球も草アイスホッケーも苦手な吃音ボーイが、フィギュアスケートガールとアイスダンスを学ぶことになる話。
ホッケーの試合後フィギュアスケートの練習をするさくらに心奪われて、そしてステップのマネごとをしていたところをコーチに声をかけられて巻き起こっていくストーリー。
恋心ってことだけれど、フィギュアに興味が湧いただけ…ってことはないよね?
そしてフィギュアガールにと共に滑りはじめ、コーチを含む3人の交流が始まって行くけれど、爽やかでとても良いですね!
コーチの私生活を見たさくらの心境よ変化は、大人の男の自分からみたら寧ろ自分には関係ないし、そういう目を向けられないから安心なんじゃ?と思ったけれど、中学生にはそうはいかないのか…。
せっかく良い感じの作品だったのに、母親が騒ぎ立てたりとか、やっぱりアイスダンスは納得いかないとかがあるならまだしも、なんだか釈然としない展開だし、そのまま終わってしまってモヤッとした。
画質と内容が相俟って─
なんであんなビデオ映像みたいな白っちゃけた画質なんだろう・・・画角もスタンダードな感じだし予算削減の弊害・・・そもそも低予算の作品なのかもしれませんが・・・など勝手に決めつけて文句たらたらに見始めましたが、終わってみれば、すごーく優しーいく作品に包み込まれて浸りきっていた自分が─・・・なんか作品の変な終わり方でようやく我に返ったという─・・・
トータル的な雰囲気で作品が完成されていた印象で、非常に良かったです。じんわり笑えるし、ジンワリくるし、じんわり癒やされるし、意外とというか評価どおりの秀作でした。
牧歌的なロケーションで静かに時が流れる感じ、内容もジワジワ盛り上がっていく感じで、すんなりと行かず色々と考えさせられる─ほんのちょっとだけ─、でこの作品タイトル、めっちゃ融合しまくった感じがして、今更ながらにニンマリとしている次第です。不自然に絡み合うナチュラル感?まぁ矛盾したら表現かもしれませんが、きめ細かさを感じる演出もまた素晴らしいです。音楽とか、季節とか、電車や自然や動物、家族とか友達とか音響とか、キャッチボールとか─とにかく素晴らしかったです。
セリフが少ないので想像力を働かせて
女の子のスポーツを男の子にやらせて楽しいですか
なんだか、いい。
監督初の、商業映画とのこと。
吃音がある少年は、スケートリンクで見かけたフィギュアスケートの少女に美しさというか魅力を感じ、自分もフィギュアを真似てみる。それを見た少女のコーチは、彼にフィギュアの基礎を教え、さらに少年と少女をアイスダンスへの挑戦にいざなう、という話。
をを、書いてみるとまるでスポーツ映画。ただ、実際は、何も起きない。「これ、商業映画なのだろうか?」と心配になっちゃうくらい、何も起きない。
では、何もないつまらない映画なのか? これが不思議なことに、エンドロールで主題歌を聞きながらの時間、俺はこの上なく幸せに包まれていた。観ている間ずっと「何も起きないなあ」と感じていた俺が。
いや、これは観てみなければわからない感覚だったな、と、観た俺を褒めたいかな。
「僕はイエス様が嫌い」も、心の震え度合いを上手くレビューできなかったなあ、なんか控えめなレビューになっちゃったなあ、と思ったのだが、今回もその点はやはり変わらない。
監督は "映像の人" なのかな? 俺の言葉の中に、この映画の素敵さを上手く伝える言葉が、足りなすぎる。
ぜひ観てみてください。そして感じてみてください。
おまけ1
四角い映画でした。スタンダードサイズって言うのかな。
おまけ2
MVも手がけている監督なんだそうですね。米津さん(玄師)の「地球儀」のMV撮った人と聞きました。(ゆきさん、教えてくれてありがとうございました!)
言われてみれば、「映像の人」という感じは、よくわかります。「映像で語る人」と言った方がいいのかな。ともすればMVを手がけて、映画に来た人には、絵はきれいなんだけど、お話がなあ、と感じる人も少なくないと俺は勝手に思っているのですが、監督は前作「僕はイエス様が嫌い」に続いて、俺の心を捉えてくれました!
絵で語りかけてくれたんだろうな。絵のタイプは違うけど、岩井監督(俊二)のいる象限に位置している監督なんだろうな…
おまけ3
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を思いだしながら、「吃音を扱った映画にハズレなし!」と勝手な思いを馳せました。
おまけ4
朝の通勤電車で「ぼくのお日さま」聞いてたら、最後の方で涙が出そうになった。危ない、危ない。(実際は、ちょっと出た)
やさしい映画
女の子見てたよね。見てます。
役所さんのコメント通りの映画でした。 追記
「清潔で美しい映画でした。」
3人でアイスダンスの練習を始めたら涙が出てしまった。悲しい涙でも嬉しい涙でもない、自然と涙が溢れてきた。
そして、多幸感につつまれた湖のシーンが観られただけでいい。
全く予想していなかったから、そっちへいくのか、その設定いるのかなとも思ったけど、まぁあれじゃ女の子ヤキモチ妬いちゃうよね。
こういう終わり方か、と思った途端にあの主題歌!
反則だ。泣いちゃうよ。
誰も死ななくても、誘拐されなくても、爆弾爆発しなくても、チェンソー出さなくても、過去や未来に行ったりしなくても、映画って面白い。
追記
「明日に向かって撃て」のバート・バカラックの主題歌にのせてポール・ニューマンとキャサリン・ロスが自転車に乗るシーンや、「小さな恋のメロディ」のトレーシー・ハイドとマーク・レスターが学校を抜け出して遊園地でデートするシーンと同じように、多幸感あふれるあの湖のシーンだけでも、宝物として記憶に残る作品になりました。
中西希亜良ちゃんは
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