「撮影技術に驚嘆」ぼくのお日さま No Life, No Movieさんの映画レビュー(感想・評価)
撮影技術に驚嘆
恋心を描いたシンプルで分かりやすいストーリーと美しい映像。そうした映画は過去にいくらでもある。その中でこの映画で特筆すべきは、監督自身が撮影を担当し、この映像を撮っていること。
スケート場のシーンは窓外にたくさんの照明を仕込み、光を流し込むライティングで叙情性を高めていたし、屋外のスケートシーンも逆光を多用し、同じ雰囲気を作り出し、淡い恋心を見事に描いていた。また、時折みせた不安定な構図が、この映画が描く思春期の不安定な気持ちとマッチしていた。あと、セリフでは、好きであるがゆえに「気持ち悪い」と言ってしまう幼さが切なかった。
非常にパーソナルでシンプルな物語で、一部同性愛を描いているとはいえ、全体としては社会性に乏しかった。そのため、この監督が将来、どういった方向に進むのかは未知数。次の作品は若者の恋愛物だろうか?それともストーリーの面白さを押し出した映画だろうか?いずれにしても、作家性を保ちながらもう少し商業映画寄りの作品が期待されるのではないか?
美しい映像を作る手腕は一流。期待を込めて星半分を加点した。
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