「大切なのは、心を「伝えること」。」35年目のラブレター ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
大切なのは、心を「伝えること」。
何て素敵な夫婦の物語だろう。夫婦とは、お互い尊敬し、感謝を持ち続けることだと教えてくれる。保は65歳を過ぎてから、字を習って妻に感謝を伝えようと決意する。最初は、余りにも遅すぎるのではないか、字ももっと早く習うことができたのではないかと、彼の本気度を少し疑う。保は自分を支えてくれた妻に感謝しつつも、心のどこかに読み書きもできないような自分と結婚してよかったのかという「負い目」を感じているように見える。それを解決する彼なりの手段が、字を学んで妻にラブレターという形で感謝を示すことだったのだろう。妻の支えにずっと甘えてきた面はあるが、彼なりの本気が伝わってくる。すし職人の修行もそうだが、元々じっくりやることは得意なようだ。カメのように時間がかかっても、妻にきちんと自分の気持ちを手紙で伝えることができるようになったことは、本当に素敵なことである。
保が年をとってから妻にラブレターを書こうと思ったのは、皎子さんがとても素晴らしい女性であったからに違いない。保に接する皎子には母親のような大きな愛を感じる。手がかかる子ほどかわいいとも言うが、ある種こどものように保をかわいいと思っていたのかもしれない。保は、皎子のおおらかな愛にずっと救われていたのだろう。
そんな夫婦の特別な関係を、笑福亭鶴瓶と原田知世という一見違和感のある二人が、見事なハーモニーで演じてくれた。二人の原点の時代を、重岡大樹と上白石萌音が初々しく演じたのもとても効果的であった。話に奥行きが増したように感じる。
大切な人とは、いくつになっても心を伝え合うことができるようになりたいと思う映画でした。
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