「水攻めがご褒美なっているのがツボだが、舞台が変わるとサラっとしたものになるのだなと思った」蛇の道 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
水攻めがご褒美なっているのがツボだが、舞台が変わるとサラっとしたものになるのだなと思った
2024.6.20 一部字幕 MOVIX京都
2024年のフランス&ベルギー&ルクセンブルク&日本合作の映画(113分、G)
監督自身によるセルフリメイク作品
ある事件に関与することになった精神科医を描いたスリラー映画
監督&脚本は黒沢清
フランス語タイトルは「Le chemin du serpent」、英題は「Serpent‘s Path」で、ともに「蛇の道」という意味
物語はフランスのパリ
精神科医の小夜子(柴咲コウ)とその患者アルベール(ダミアン・ボナール)は、ある事件の犯人を追っていた
アルベールは娘のマリーを殺されていて、その遺体は凄惨な姿で帰ってきた
二人は、あるアパートメントにてラヴァル(マチュー・アルマリック)を待ち伏せし、スタンガンによって気絶させて、ある工場のようなところに監禁することになった
ラヴァルは財団の会計係をしていた男で、ふたりは事件に財団が絡んでいると考えていた
だが、彼はそれを否定する
その後、二人は食事も与えず、排泄すら行わせない徹底的な監禁によって、ラヴァルの疲弊を待つことになった
映画は、アルベールのいない間に小夜子が「ささやき」によって誘惑をする様子が描かれ、ラヴァルはゲラン(グレゴワール・コラン)を指名し、ゲランはクリスチャン・サミー(スリマヌ・ダジ)を指名するという流れになっている
そして、クリスチャンを騙してある場所につれていき、そこが犯行現場であることがわかるという流れになっていた
そこにはアルベールの妻ローラ(ヴィマラ・ボンス)がいて、ジェイク(タレク・ハダジ)とともに財団の裏の顔を維持していたことがわかるのである
物語は、小夜子の診察に吉村(西島秀俊)が登場し、彼はパリでなじめずに自殺をしたことが仄めかされる
また、スカイプ越しに夫の宗一郎(青木崇高)と話す小夜子が描かれるのだが、彼女もまた、一連の幼児誘拐殺人事件の被害者遺族だったことがわかる
小夜子はアルベールを利用して事件の真相を追い、アルベールもまた間接的に組織犯罪に関与していた、という流れになっていた
個人的には、パリが舞台のためか「湿度の籠った陰湿な感じ」というものが足りないように思えた
監禁される場所も日が入るような場所で、見せられる映像もそこまで狂気性を感じない
舞台設定がパリでも良いが、もっとジメジメした感じの不穏さと、光が当たらないことによる絶望感というものをもっと濃くした方が良いように思う
小夜子による水攻めもご褒美になっている感じになっているのだが、それが意図的だとしたら、結構マニアックな性癖が露呈しているなあと感じた
いずれにせよ、リメイク元とは別物なので、重ねる意味はほとんどないと思う
柴咲コウが蛇に見えたらOKという映画なので、それに関してはOKだと思う
彼女の心理学を利用した服従や支配というものがメインになっているのだが、外国なのであっさり銃殺というところも味気ないなあと感じた