「最高忍術、先生と僕たちの絆」劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
最高忍術、先生と僕たちの絆
昨冬、久し振り(13年ぶり)に新作映画(3作目)が製作されたな…程度に思っていたら、ロングランヒット。気付けば興収は30億円を突破。『忍たま乱太郎』ってこんなヒットコンテンツだったっけ…?
見れば納得。勿論子供も楽しめるが、単なる子供向けには留まらない。大人の鑑賞にも耐え得る。いや、大人こそ胸に響く。
劇場版2作もなかなか本格的な忍者映画/時代劇だったが、それを遥かに凌ぐ。加えて、感動良質アニメーション。
こんなレベルを見せ付けられたら、もうギャグかコントのような実写版は作れない!?
タソガレドキ忍者・尊柰門との闘いに向かった土井先生が消息を絶つ。
一年は組には事情は伏せて。学園長の許可を得て、責任を感じた尊柰門とタソガレドキ忍者の組頭・昆柰門が代理で教壇に立つ。厳しい昆柰門の授業に一年は組はヘトヘト。
一方、山田先生や6年生らで捜索隊が設けられ、土井先生を探す。
そんな6年生の前に現れたのは、ドクタケ忍者の軍師、天鬼。その強さもさることながら、天鬼は土井先生に瓜二つ…!
ある時事情を知った土井先生を慕うきり丸は一人でも土井先生を探そうとするが…。
『忍たま乱太郎』って、こんなにシリアスだったっけ?…とびっくりするくらい。だって、天鬼と6年生の闘いで血が飛び散るんだよ…! ここだけでも子供向けではない本格的な作りなのが窺える。
勿論笑いの要素もあるが、大袈裟なギャグになる事なく、各キャラの言動や心情なども丁寧に描写。
見る前はいつもの子供向け…と思い込んでいた自分を恥じたいくらい。
土井先生と瓜二つの天鬼は何者…?
ズバリ、記憶喪失になった土井先生なのだ。
尊柰門との闘いで川に落ち、その時“あるもの”に頭をぶつけて…。
しかし何故、“ドクタケ忍者軍師”と名乗る…? そこにはお馴染みのデカ頭のアイツの策略。
忍術学園は悪の一派。我らドクタケは愛と正義の忍者~♪︎ 歌い踊って吹き込む八方斎。
今回頭がキレる八方斎。実は土井先生が川に落ちた時、頭ゴッツンぶつかったのが八方斎の頭。それで頭が冴えちゃって。
この機に乗じて隣接領との戦も目論む。
いつもと違うお頭に、ドクタケ部下たちも困惑…?
土井先生は生きていた。まずは安堵。
きっと覚えている。僕たちの事を忘れる筈がない。
助けに向かう乱太郎、きり丸、しんべヱ。一年は組全員。
山田先生や上級生たちも引き続き。利吉や卒業生も協力。
こんなにも忍術学園皆々に思われる土井先生。欠けがえのない人なのだ。
先生と生徒。両親を失い、天涯孤独のきり丸にとっては保護者。きり丸と似た境遇だった幼い土井先生を引き取った山田先生にとっては息子のようなもの。
土井先生と僕たちや皆の絆が絶ち切られる事なんて絶対にない!
捕らわれた乱太郎、きり丸、しんべヱ。八方斎は天鬼に斬れと命じる。
土井先生、思い出して! 僕たちを! 先生自分自身を!
冷徹だった天鬼から穏やかで優しい口調と眼差しの土井先生へ。
記憶を取り戻したきっかけは、先生と生徒としてのいつものやり取り。身体が、耳が、心が、それを覚えている。
お帰りなさい、土井先生!
戦も回避。八方斎もまた頭打っていつものおとぼけに。昆柰門はちゃっかり漁夫の利。
シリアスに始まって、最後は各々にとってハッピー一件落着。
勇気100%を、ありがとう心から。
忍術学園永遠の忍術、先生と僕たちの絆。
忍たま史上、最高忍務。最高傑作。