「映画館で観て良かった!!」劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師 30代女性さんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で観て良かった!!
前回の映画「忍術学園全員出動の段」も映画館で観て、DVDを買って、アマプラでも観て…とにかく忍たまの映画が大好きです。今回の映画も映画館で観ようと意気込んでいましたが、「いや、ゆっくり静止しながら楽しみたいし、アマプラまで待つか…」と迷っていました。
でも、やっぱり映画館で観て良かった。
その確信を持ったのは、映画の冒頭――戦の残酷な一面を描いたシーンです。血飛沫を曼珠沙華(彼岸花)で表現し、死体はへのへのもへじのカカシで描かれていました。そして何より音が…。赤ちゃんを育てているので、赤ちゃんの泣き声の後に刀で斬る音がして、泣き声が途絶える演出が本当に辛かった。何も直接的に怖いものは映っていないのに、残酷で恐ろしい。その瞬間、「忍たま達はこんな時代を生きているんだ」と一気に引き込まれました。
場面が変わり、諸泉が土井先生に挑むシーン。鳥の巣があることに気付くほど周囲にも気を配り、鳥たちに配慮できる土井先生の圧勝でしょう。
それなのに、諸泉が「私が土井先生を倒したせいで」とこぼしたのにはイラっとしました。まあ、雑渡さんも忍術学園の先生方もイラッとしていましたが。
雑渡さんが学園長の考えで忍術学園一年は組の教科実技を受け持つことになった時。
教科ではは組の反応を見ていち早く生徒役に回り、諸泉に教えさせ、質問して答えさせていました。諸泉は“ギッタギタ“にされていましたが、は組だけでなく諸泉にとっても良い教え方だと感じました。
また実技の手裏剣投げでは、雑渡さんが手裏剣を投げる手本を見せたのですが、そのフォームが早くて美しかったです。
手裏剣を投げても後ろに飛んでしまうは組のみんなが、学級委員長の庄左衛門の「僕たちがちゃんと出来ないと土井先生が悪く言われてしまう」という言葉にやる気を出して、後ろに向かって手裏剣を投げれば正面の的に当たるのではと考えたことに対して、雑渡さんが「一理ある」とやらせてみたり、手裏剣が的に当たらず今度は後ろにまっすぐ飛んでいったのをみて呆れるでもなく面白そうに気持ち良く笑ったりしていました。
雑渡さん、教えるのも声掛けも上手だし、見守る、やらせてみるという姿勢もあるし、最高の上司だと感じました。さすが最強タソガレドキの忍び組頭です。
土井先生ときり丸が長屋で暮らすようになった場面。優しい土井先生の眼差しがとても良かったです。アニメでも観ましたが、改めて胸にしみました。
六年生が天鬼に全く歯が立たず、追い詰められるシーンはハラハラしました。卒業すれば、こうした相手と本当に戦うことになるんだろうな…と思うと、卒業しないでほしくなります。そして、仙蔵の「やめろ!不運が発動している!」には思わず笑いました。
意外だったのは、文次郎に「聞き方を変えろと言っているんだ」と言われたとき、長次が一番感情を露わにして叫んだこと。
そうだよね、土井先生が死んでいるかもしれないなんて考えたくないし、それを前提に行動しなければならないのも辛いよね…。
きり丸の聞き耳頭巾は、忍びとして本当に役に立つ道具だなと思いました。
学園長が終始、雑渡さんを「油断ならない」と考えていたのも印象的でした。普段はおちゃらけているけれど、やはりさすが学園長。
そして、利吉さんと山田先生の遭遇シーン。山田先生が「任務より生きることを優先しろ」と言い、利吉さんが「分かってます」と答える。このやり取りは忍者対忍者の会話のはずなのに、やっぱり親子の絆を感じられて胸が熱くなりました。利吉さんの笑顔が爽やかだったけれど、命よりも優先しなければならないことがあると分かっていて、それを受け入れているようにも見えました。
今回は戦闘シーンよりも、しんべえの食欲によって物語が進んでいく印象が強かったです。でも、それで良いんです。戦闘よりも、忍びらしく情報を集めたり、役割分担したり、変装したり、情報を広めたりする場面が多く、テキパキと動く六年生や五年生、そして山田先生がとても良かった。特に、山田先生が生徒たちをグループに分けて指示を出すシーン。短い時間で的確な人選をする姿に「さすが!」と感じました。
ドクタケに包囲される六年生。仙蔵が「(炮烙について)予備があるとか言って持ってるんじゃないか?」と言われた時、私も同感でした。でも、実際に予備がなく、それだけ追い詰められた状況だったんだと実感しました。
突然始まるドクタケミュージカル!?あれは映画館で観て本当に良かった!初めて「ドクタケ、かっこいい…?」と思ってしまいました。
「ドッドッドッドッドクタケ、ドクタケ忍者ぁ〜↑」耳につきます。
八宝斎の「天鬼よ、忍術学園の者(らんきりしん)を切れ」はヒェー!でした。穏やかじゃない…。八宝斎も頭を打って人格が変わっていたのですね。
涙なしでは観られなかったのが、きり丸が天鬼に記憶を思い出してほしくてまくし立てるシーン。私も泣いてしまいました。「六文銭は払わない」というセリフは、「生きてやる」という決意のようにも感じられ、胸が熱くなりました。
過去に、幼いきり丸がたった一人で破れ蓑にくるまり、縁側の下で雪空をじっと見ていた場面。本当に孤独で寒かったんだろうな。そんなきり丸が今、生きているのは土井先生と出会えたから。土井先生も、きり丸も、お互いに救われているんだよね…と思うと、涙が止まりませんでした。
利吉さんの「おにいちゃん」呼びには、「え?ここで?」と少し驚きましたが、利吉さんなりに込み上げるものがあったのでしょう。
そしてエンディングのおまけ。さすが雑渡さん、抜け目ない。
本当に観て良かった。
映画に携わったすべての方々に感謝します。