化け猫あんずちゃんのレビュー・感想・評価
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絵柄を見て舐めてました
すみません、絵柄を見て舐めてました。平成狸ぽ◯ぽ◯みたいなのを想像してました。大変申し訳ございません。
作品としてはかなり高レベルでとても楽しませていただきました。
あんずちゃんのキャラが良い
同名コミック(未読)の原作があるが、本作の主人公かりんは映画独自のキャラクターということだ。
まずはこのオリジナルキャラがよく出来ていると感心させられた。多感な少女の苛立ちや親に対する反抗は、よくある話といえばそれまでだが、その葛藤を実に丁寧に描いてる。
かりんは小学5年生の割に現実思考な少女で、少し大人びたようなところがある。いつまで経っても自堕落な父親の影響でこういう性格になったのかもしれない。町の少年たちと比べてみてもそれは歴然で、全然子供らしさがない。それが後半にかけて、母を恋しがる年相応の少女になっていくのだ。
無理に突っ張っていた女の子が自分の弱さを認め成長していくという、その変遷が丁寧に描かれているおかげで、終盤は自然と感情移入でき思わずホロリとさせられてしまった。
監督は久野遥子。彼女は岩井俊二監督の「花とアリス殺人事件」でロトスコープアニメーションディレクターを担当したことで世に出てきた人である。本作も、画面の元となる映像を一旦実写撮影し、それをアニメーションで描き起こすロトスコープの手法がとられている。
そして、その実写映像は山下敦弘監督が撮影したということである。したがって、本作は両名の共同監督作となっている。
とはいえ、普通ロトスコープのアニメはリアルさを前面に出すものだが、本作はキャラや世界観が非常にマンガ的で、あまりロトスコープっぽさを感じさせない。アニメーションを制作したのは老舗のシンエイ動画でクオリティという点では問題ないのだが、ロトスコープならではのヌルリとした動きが見られなかったのは少し意外であった。かりんの父親と後半の東京のシーンのモブに如何にもロトスコープっぽい動きが確認できるものの、それ以外は普通のアニメという感じがした。敢えて手描きアニメらしい温もりのある映像に仕上げたかったのかもしれない。
物語は前半は淡々としているが、中盤以降は跳ねた展開で楽しく観ることが出来た。アニメーションならではのデフォルメされた表現も快調で、シュールなシチュエーションも大変魅力的である。ラストにも溜飲が下がった。
全編緩いテイストが横溢するが、時折シビアな場面もあり、幾ばくかの歯ごたえも感じられた。
特に印象に残ったのは、かりんが同級生の少年と再会するシーンである。かりんにとっては極めて大切なことも、相手の少年にとっては退屈なことでしかなかったという非情な現実。かりんの落胆が手に取るように分かり、何とも切なくさせられた。
そして、本作最大の魅力は、何と言ってもあんずのキャラクター。これに尽きる。
化け猫という、この世の者ならざる存在ながら、バイクの無免許運転でお巡りさんのお世話になったり、パチンコしたり、立ち小便したり、所構わず屁をこいたり、中身は完全にだらしのないオッサンである。見た目も中年太りのオッサンのようでパッと見は全然可愛らしくない。しかし、そんな見た目とは裏腹に、時にかりんを気遣う優しさを見せ、どこか憎めないキャラクターとなっている。
貧乏神も良いキャラをしていた。ふんどし姿の禿げたオッサンという冴えない見た目で、性格もとことん気が弱く、あんずとの掛け合いでは常に貧乏くじを引かされる。何気に物語のキーパーソンになっている。
他にも、あんずと親しいよっちゃんというオッサンも良い味を出していた。
こうしてみると、本作は冴えないオッサンてんこ盛りなオッサン映画と言えるかもしれない。
ようこそ、池照へ。
お母さんを亡くした、小学生の女の子かりん。
どれほど影響があったのか、彼女の態度や言葉から
想像がつく。
37歳の化け猫あんず。どんな存在でもいい、
そばにいてくれれば。
そういうところがよく描かれていました。
優しい色合いと、なんかゆるいキャラクターたち。
主題歌の「またたび」も良かったし、聴きやすい声も
魅力です。
どこかのお寺を探せばあんずちゃんに会えるんじゃないか
と思わせる不思議な作品でした。
隠れた秀作、もっとたくさんの人に見てほしい
お寺の和尚さんに拾われた時は普通の子猫だったがなぜか30年生きてしまい化け猫になってしまったあんずちゃん
お寺に住まわせてもらい原付に乗り按摩さんの仕事をするおじさんのような猫
無免で捕まった時、「猫は免許いらないと思って…」ってやり取りは笑ってしまった
ゆるい世界観がいいですね
かりんちゃんのバイト代をパチンコですってしまったり駄目な所もあるが友達のよっちゃんやかりんちゃんを貧乏神から追い払おうとしたり正義感はある
子供向け映画かもしれないけど大人も十分楽しめます
ほっこりしたい、笑顔になりたい人におすすめです
化け猫との不思議な体験
都会の小学校に通っていたあんずは借金取りに追われる父親に連れられ、祖父が住職の田舎のお寺で暮らすことに。
そこにはまるで人間のように二足歩行で歩き、スマホで電話する化け猫のあんずちゃんがいて――
バイクに乗るし、バイトもするし、酒も飲むおっさんみたいな化け猫のあんずちゃん。
人間社会に溶け込むようにごく普通に暮らしています。
かりんの周りでは他にも不思議なことが続き、
だらしない父への反抗と大好きな亡き母の面影を追い続けるあまり
とある大騒動になってしまい……
昭和に時が戻ったような何もない田舎町の日常のなかに
化け猫のあんずちゃんを初めとしてどこか人間臭い不思議な存在が多数登場して
昔のテレビなどで見たなつかしい日本の原風景を感じます。
そんなちょっと懐かしい不思議な世界を楽しみたい人に見ていただきたい映画です。
キャラクターが最高に可愛い
少しシュールなキャラクターが可愛い。
昨日見たばかりなのに『化け猫あんずちゃん』でネット検索しまくってます。すでにあんずロス笑
私おっさんなのに、うずらか、貧乏神のぬいぐるみストラップが欲しいと思ってます。すみません。
ぜひ見てほしい映画です!
元ネタ知らずに見たけど、 すっごく良かった よっちゃんのためにかげ...
元ネタ知らずに見たけど、
すっごく良かった
よっちゃんのためにかげでこっそり動くとことか、
好き
ぱっと見は飄々としてる感じも好き
あんずちゃんに会いたい
あんずちゃん猫又ではないのね
ロトスコープというのはよく分からないけど、とにかく変わった手法で制作されているという点に興味を持った。
地獄につながる井戸の伝説をパロディにしたっぽいストーリー自体は面白かったのだけど、いかんせんかりんちゃんの性格が歪みすぎなのと、度々の舌打ちでどうにも好きになれず、後半の根は良い子キャンペーン程度では巻き返せなかった。
あんずちゃんをはじめ、カエルちゃんや舎弟2人組など人間も妖怪たちもキャラクターは良かった。お父さん半殺しや、けだるげな閻魔大王も悪くない。
キャラクターデザインや背景などが淡めの色使いで、日本よりも海外で受けそうだなと思ったら、フランスとの合作だったのか、なるほど合点がいく。
ややモヤっともするけど、あんずちゃんのキャラが魅力的!!
あんずちゃんは可愛いし面白くてずっと見てられるなーって感じでとても魅力的。
一方で女の子かりんちゃんの方はどうも好きになれず、寂しさ紛らわせからの行動や性格なのはわかるけど、でもなんだかなぁって感じで…
「あんずちゃん」
基本的には人型で呑気なキャラで、でもどことなく動きが猫なのがとても魅力的。
場面によっては猫の姿になるけど、それはそれでとても可愛い!
なんとも言えない表情するところとかが良かった!
「日常パートが最高」
前半はあんずちゃんの日常がメインで描かれる。一応働いてるんだ…って場面から、無免許で普通に警察のお世話なってる…!とか、ゆるい日常が最高でした!
あんずちゃんちゃんと料理とかもしてとても偉い(食材めっちゃこぼすし、イカは地面落とすけど…笑)
山の妖怪?たちとの宴会後、残りもん食べつつの後片付けの様子もなんか良かった。
あんずちゃんの日常ずっと見てたい!
「いざ!地獄へ!」
後半はかりんちゃんの母に会うために地獄へ!って話だけど、え?かりんちゃんのお母さんいるの地獄なの…?って疑問。
まぁ生きてるだけで何かしらの罪を犯しているから人はみんな地獄行きなんて事も言うから、そういうものかのかも知れないけど、良い人そうなのに地獄なのかぁ…ってのはなんだか腑に落ちなかった。
そしてその後のてんやわんやに関しては、まぁ完全にルールを破ってる現世側が悪いわけで、そりゃ死人を勝手に連れてかれちゃあね…
「原付3人乗りの高速逆走はやべぇ!」
流石に危険すぎる!!って気持ちでいっぱいで、なんかすごいヒヤヒヤした!!
「あの後どうなった」
なんやかんやあって母はまた地獄へ戻るわけだけど、閻魔様から「わかってるんだろうなぁ?」的な脅しをされるけど、どんな地獄が待ってるのかは明確にならない。
ルールを破ったとは言え戻った地獄でどんな事が待ち受けているんだろうか…
あれでいいのか…?
「貧乏神に憑かれていた人」
名前忘れちゃったけど、あのおっちゃんはあの後どうなったんだろ?また就職とかできたのかな?っていうか貧乏神ついた状態でも一応仕事決まったりしてたのなかなかすごい事なのでは??
「父の借金」
結局返済はどうやってしたんだろ?半殺し状態になってたけど、それで勘弁してもらったって事なのかな?
酷い目にはあったのかも知れないけど、なんかそれだとまた借金とかしそうだなぁ…
とにかくあんずちゃんが魅力的すぎる作品。
日常パートだけ延々と見ていたい気もする。
そして本作ロトスコープという手法で作られたということで、テイラー映像でもあったけど森山未來さん(猫耳付き)が実際に演じた動きをトレースする感じでアニメーションになっている。
森山未來さんが演じている映像自体もなかなか面白いので、なんかの機会にその映像もう少し公開されないかなー
まったり見るのにちょうど良い作品で、前半は特になんかクスッとくる面白い場面も多かった気がする。
了解まんにゃ〜くらいのゆるい感じで生きていきたいものですね。
パチンコで負けてしょげる猫がメチャ笑えます(笑)
とても不思議な映画だった。
見た人はわかると思うんだけど、ストーリーとかわかる前から、なんか雰囲気がもう不思議で。
あんずちゃんが猫のくせにしゃべって原付乗って、マッサージのバイトとかまでしてるのを、みんな違和感なく受け入れてるんだけど、それが全然気にならない。
そういうもんかなあ、と思えてきてしまうのです笑。
そんな不思議なノリで、言いたいことがあるんだかないんだかよくわからないまま話が進んで、あれよあれよという間に地獄にまで乗り込んで、現世に戻って派手にカーチェイスしたりして、結構急展開があるんですけど、終始あんずちゃんはマイペースというか、、いや結構頑張るところは頑張るんですけどね、所詮猫だからなあ、という感じなので・・・そこまで温度も上がらない。
そう、良くも悪くも猫なんです。
化け猫といっても、完全に人間みたいな責任感があるわけでもないので。
これで伝わるかどうかわかりませんが笑。
そんなほんわかした不思議な映画なんですが、では見ていて感情が動かないかというと、そんなことはなくて、なんというのでしょう、ラストには、うまく理由は説明できないんですけど、本当に胸がいっぱいになっていました。
ただただ、かりんちゃん(主人公の女の子)の幸せを願って応援したい気持ちになっていました。
そしてそれに続くエンドロール、流れてくる曲が、また素晴らしくて。
信じられないくらいこの映画にぴったりの歌なんですよね。
曲が終わって客電がつくまで、幸せな時間が続きました。
大笑いした!
おっもしろかった〜〜〜!
内容全然知らずに見に行ったけど、あんずちゃんの登場シーンからもう爆笑!隣の人も声出して笑ってたのでこちらも気にせず大笑い。終始劇場がくすくす笑って楽しい映画でした。
周りにはいい子ちゃんにしてるけど見えないところでは舌打ちしたりするかりんちゃん。うんうん、いるよね〜、こういう子。父親を名前で呼び捨てかい!と思ったけど、「自分がしっかりきなきゃ」という意識もこういうところからかな。
あんずちゃんによってちょっとずつ「大人のふり」から「年相応の子供」に戻されていく様子とかほっこりした。
後半の地獄からのストーリーはちょっと「??」なところもあったけど、キャラもの映画だからそこまで気にすることはないかな〜ということで特に評点には影響なし。
楽しい映画でした!
ほっこりしながら色々怖い夏休み猫映画
予告編でおもろそうだなって思ってほぼ前情報なしで行きました。
最初はほのぼの系なんだろうなーぐらいなテンションで観てたけど割ととんでもない映画だった。
音にちゃんと空間を感じるし、キャラの演技がいちいち細かい。シーンの描写が緻密で惹き込まれるのに、キャラデザが素っ頓狂すぎてギャップに笑っていました。(ロトスコープだって後で気づきました)
話はシンプルだし、冗長な場面もあるけど、ただのほっこり映画じゃないです。
あんずちゃんがイチイチふざけた存在すぎて面白いです。
個人的にはあんずちゃんがブチギレてたときの猫っぽさがたまらなくツボでした。
あれは猫飼いならきっと分かる。
猫アニメとしてもとても良いものです。
話が進むにつれ、しれっと怖いシーンや生々しさが見えたりして、いい夏休み映画だと思います。
また観たいなぁ。また観よう。
あんずちゃんと行く地獄巡りの夏休み
何とも脱力感たっぷりのファンタジーアニメで、最初に観た時はどうって事ない内容と思ってたら、後からジンワリくる不思議な作品でした。伊豆半島の田舎のお寺に一人預けられた女の子と、お寺に住んでいる化け猫のあんずちゃんとの一夏の物語です。まず、化け猫なのに人間社会で堂々と生きているあんずちゃんと、周囲の人間達がそれを当然のように受け止めている世界観が面白いです。スーパーカブに乗って登場するあんずちゃんの姿や無免許運転で警官に捕まった時のやり取りは爆笑でした。主人公のかりんちゃんは、性格がきつそうであんまりいい子ではないけど、あんずちゃんは、どんなに意地悪されても馬鹿にされても動じないでかりんちゃんを守るマイペースで優しいところがいいですね。あんずちゃんのキャラは、藤子不二雄と赤塚不二夫を混ぜて宮﨑駿風味を足したゆるキャラっぽく、森山未來のおっさん声の吹替は、人によって好き嫌いが分かれるかも。映像はフランス人スタッフが大勢参加しているためか、パステル調のきれいな色使いでした。役者では、森山未來の声が正直微妙だけど、最後の方では慣れてきます。
あんずちゃん可愛い。
猫好きの私。これは見なくちゃと思い仕事終わりに観に行きました。
猫のくせに喋れてバイク乗れて仕事まで出来るとか面白くてくすくす笑いました。
とても可愛いあんずちゃん。38歳らしい…猫バイクの免許取れるの…❓
ただ、お父さんクズすぎた…こんな可愛い娘置いてくとか普通ないよ…
そんなすぐに短期間で100万以上用意できないでしょ。
腎臓でも売ったのかな…海外に。
猫好きの皆さん、ぜひ見てください。
あんずちゃんは可愛いですよ。
でも雄なのにあんずは変な気もするけど…
後エンドロールに大谷育江さんがいて、え、この人だったのってなりました。豪華すぎる‼︎
人間臭い化け猫と貧乏神のキャラが良い
原作も何も知らない状態でしたが、たまたま時間が空いたので鑑賞しました。
思いがけず面白かったです。
昭和のグータラおっさんのような化け猫や貧乏神が愛らしく見えてきます。
複雑な環境のせいか子供ながらに人の顔色を読んで同情をひく術を身に付けている猫っかぶりの女の子にも甘やかさずあんずちゃんなりに正直に接するのですが、お互い煩わしそうな関係性がどう変わっていくかも個人的には見どころでした。
可愛いらしい絵柄のアニメですが小さい子には世界観や内容が意味不明かもしれません。
割と大人向けなのかも。
なんとも変な映画!親に捨てられた都会の子供が田舎で友達を作る、死...
なんとも変な映画!親に捨てられた都会の子供が田舎で友達を作る、死んだ母親に会うために彼岸へ旅する少女、妖怪と少女の疑似親子的交流、と要素だけ挙げるとそれこそジブリかと思うくらい王道なのだが…まずトトロ的ポジションを37歳フリーターの化け猫(中身は森山未來!)なのが、おかしい。他の妖怪連中も神秘性のかけらもなく、ぬぼ~っと出てきてしかもたいして役に立ちゃしない。見方はダメ人間ダメ妖怪ばっかりなのに、終盤では迫力のカーチェイスから、いたいけな小5ヒロインの面前で繰り広げられる容赦ない暴力展開!閻魔大王のほぼヤクザ的凄みよ…。それでもなんでも、なんとかくぐり抜けてやっていこう、というええ加減な逞しさ、みたいなものに貫かれている。変な映画だが、良い映画だった。
姿が猫に変わるだけで、こんなに印象がキュートでまろやかになるのものでしょうか。見た目と異なり中身はおっさんという「ギャップ萌え」も発生しているようです。
「カラオケ行こ!」「1秒先の彼」の山下敦弘監督とアニメーション作家の久野遥子監督がタッグを組み、いましろたかしの同名コミックを日仏合作で映画化し、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門に出品された長編アニメーション。
●ストーリー
ある豪雨の日、南伊豆・池照町の一角にある草成寺の住職が段ボール箱の中で鳴いている子猫を見つけます。その猫は「あんず」と名付けられて大切に育てられますが、奇妙なことに20年が過ぎても死ぬことはなく、30年経った頃には人間の言葉を話して人間のように暮らす化け猫となっていました。現在37歳のあんずちゃん(森山未來)は、飼い主であるおしょーさん(鈴木慶一)の養子となり、寺の仕事を気まぐれにこなしつつ、日常生活をおくっていたのです。たまに原付バイクに乗って移動し、マッサージ師のアルバイトもしていました。但し、ノーヘルと無免許を警察に指導された後は自転車に乗り換えています。
見た目は愛らしいのに、食事中にオナラはするわ、立ち小便もするわ。しぐさは完全なおっさん。 おしょーさんに拾われた際に、安心させるような笑い声を掛けられており、それに似た「ニャッハッハッ」という高笑いをよくします。
ある日、親子ゲンカしたまま行方がわからなくなっていた住職の息子の哲也(青木崇高)が、11歳の娘かりん(五藤希愛)を連れて寺に帰ってきます。かりんの世話を頼まれたあんずちゃんは、仕方なく面倒を見ることになります。
しかし逆に金をあんずちゃんにパチンコで使い込まれる等、迷惑を被ることに。またかりんには、亡くなった母に会いたいという願望があり、それを叶えて名誉挽回したいあんずちゃんは、彼女と一緒に上京するのです。さらにどういうわけか、地獄へと繰り出すことになります。
●解説
今作の最大の特徴は、実写映像を基にアニメーションを作る「ロトスコープ」と呼ばれる手法を採用したことにあります。山下監督が演出し、撮った映像や音声に基づき、久野監督がスタッフとアニメーシを作り上げました。
あんずを演じた。中の人”は、森山未来。ロトスコープの効果は抜群で、躍動感あふれる森山の動きと豊かな表情があんずに乗り移っています。シンプルなアニメ化ではこの味は出せなかったことでしょう。これだけで一見の価値ありです。
山下監督は過去の実写作品と特段、変わらずに演出したといいます。「全身で芝居をするタイプ」と評するあんず役の森山未来については「猫っぽい動きを注文したりはしたけれど、わざとだらしない感じでやってくれて、苦労はありませんでした」と称賛します。 一方、久野監督は「動きが出すぎてしまうか、普通のアニメの感覚で止めすぎてしまうか。うっかりすると、どちらかになってしまう」と、難しさを語る。ただ、大きな発見もあったといいます。「人間は思ってもみない動きをするので、自分も、アニメーターたちの頭も拡張されていく感覚がありました。初めて監督という立場で長編を手がけたことで、『お芝居の大切さ』が身にしみました」。
脚本開発にあたっては、制作に加わった仏のアニメスタジオ「MIYUプロダクション」の意見も多分に取り入れました。その結果、仏側の反応が良かったといいます。その結果、あんず以外の妖怪の登場シーンが増加。
あんずちゃんにしか見えない貧乏神とか妖怪とかが現れるとぼけたエピソードは脱力系のコメディーとなっています。貧乏神やカエル、たぬき姿の妖怪たち。えんま大王まで出てくる後半のドタバタ劇は笑いを誘うことでしょう。同時に、かりんの母への思いが浮かび上がり、今までの反抗期一色だったあんずが、ひとりの娘として可愛らしく思えてくるのです。頼りない父親だけど、それでも親として認めているかりんの気持に触れるとき、ちょっとグッとくるものを感じることでしょう。
●感想
姿が猫に変わるだけで、こんなに印象がキュートでまろやかになるのものでしょうか。見た目と異なり中身はおっさんという「ギャップ萌え」も発生しているようです。
人を食った話だと、あきれることなかれ!タイトルと設定と絵柄から予想される興趣のはるか上を行く佳品でした。だらしない中年オヤジのごときあんずちゃんは情に厚い人格者~トラ柄だけに寅さん的(?)で、頼りない父親を、不満だらけでも慕うかりんを見守る。その距離感が絶妙で、多感な少女のひと夏の物語としてみずみずしいなと思えました。
ただし、かりんの母親に会うためにあんずちゃんと地獄に行くという展開、特に閻魔様まで登場し、閻魔様の手下となる妖怪とあんずちゃんたちがバトルを繰り広げるところはぶっ飛びすぎて、ストーリーについて行けませんでした。その辺が同じ異界を描く新海誠監督作品との違いでしょう。
「生きてればいいことあるから」かりんのみずみずしい表情がさらに傑作へと導いている
ここのところ、不満足なアニメ映画が続いていたのですが、久しぶりに素晴らしいアニメ映画に出会えました。後半は涙目になり、それでいて懐かしさと心地良さを感じました。
化け猫のあんずちゃんは、ドラえもんをおじさんっぼくしたキャラですが、かりんを優しく見守る姿に好感です。
かりんは、舌打ちするリアルな現代っ子ですが、みずみずしい豊かな表情が印象的で、作品の質をさらに高めているように感じました。
「生きてればいいことあるから」は、劇中でかりんの母親が言ったセリフです。今、自殺を考えている人たちにぜひ届けたい言葉です。前向きに生きていける人間になりたいですね。
往年の名作を現代的にアップデートした感触があり、アカデミー賞のアニメ部門にノミネートされる可能性は高いと思います。
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