「イロイロ引く程の生々しさ」化け猫あんずちゃん Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
イロイロ引く程の生々しさ
本作はマンガ原作で、掲載はガンダムなどロボ作品でアレな『コミックボンボン』の末期作品。ウィキナントカによると当時は青年マンガ家を多数起用してて、当原作者はその1人。ですが実際、児童マンガ誌として青年マンガ家の作品がウケたのかは不明です(直後に廃刊)。
本作は特筆点が2つ、1つは『ロトスコープ』制作。見ていて全くその気配がなく、普通にアニメに仕上がっています。そこに、細かい人間的描写に拘ったんだなぁ感が出ていて、この辺りは非常に興味深いものがあり、見どころと言えばこの点です。
もう1つは、フランスの制作会社との合作。コチラは非常に謎で、この作品のどこにもフランス感がありません。ホントに制作だけに関わっただけの様です。ただその甲斐あってか、アヌシー映画祭出品となっています。
ところで、良かった作品は『良かった』『面白かった』で充分伝わるので、自分のインプレはマイナス点が中心ですが、本作は★2.5と言う辛辣さ。つまり上記の特徴は作品の良し悪しとは一切関係ありません。
大きなマイナス点は、表現が生々しい事。色々デフォルメした表現手法としてのアニメであるという持論(記号)から、本作は見た目意外のキャラや話の根本がかなりリアル寄りです。
まず、あんずちゃんが下賎で可愛くない、同じく可愛くないかりんちゃん(舌打ち連発)、ソレこそ生々しくて微妙な可愛くない周辺の小学生たち、悪い意味で田舎モン風情の大人たち。ロトスコで幾ら表現をリアルにしても、リアルの意図を履き違えた感すら滲んでいます。
また、地獄の鬼たちとの逃走劇とそのオチが???な事。あの一連のシーンは意味不明で一体何だったのかがサッパリです。
マイナス点2つ目は、ノリと趣味が『昭和のセンス』であり、今現在のアニメ作品を好む人にソレがウケるかどうかは疑問です。冒頭の親子(家族)の掛け合いがワリと胸糞で、しかも『中の人』の真骨頂とも言えるリアルさが災いし、ココで「シマッタ‥‥」と思いました。それに道路交通法違反やパチンコの件など、食事中の●とか最悪。集団で一方的にボコボコ暴行するなど、正直アニメの見せ方ではないかと。てか整体師の仕事は冒頭だけ?
極めつけは、全体的に音声・会話劇が淀んでいて、ボサーーーッとしててメリハリがなく、そのクセかりんちゃんのキレシーンだけは突然に空気をエグるので、むしろ不快が増してしまいます。その諸悪の根源は『制作首脳陣が理解してくれない』事、まァいつもの事です‥‥
文句ばかりと思われそうなので、チョッと面白かった部分は、村の妖怪たちの暮らしぶりでしょうか。何だか『水木しげる』をイメージさせられますが、微妙に『夏目』な隠し味も。でもソコにも昭和感の搭載。ソレさえなければ‥‥
と言う訳で、原作を知らなかったせいもありますが、本作は期待を真っ向から裏切られた感が強い後味でした。
失礼します。
レビューを拝見し、とても共感したのでコメント致しました。
仰る通り不快なシーンがあり、暴行のシーンは袋叩きする等モラル的に受け入れられないと感じました。
映画祭は制作に関わるだけでも出品されるんですね、仰る通り何処がフランスらしさ?と首を傾げる内容ばかりでした。