「平和な作品」雪の花 ともに在りて はまさんの映画レビュー(感想・評価)
平和な作品
クリックして本文を読む
平和で温かい作品だった。自分としてはそれで良いと思うが、人によっては「盛り上がりに欠ける」と思うかもしれない。
こういう「難病を克服するために頑張った医師の話」だと、だいたい「師匠や治療法の発見に苦労する」「周囲の理解を得られず孤立」「協力者が亡くなり罪悪感に悩む」「医師自身が志半ばでその病気にかかって亡くなる」なんて話になりがちだし、そこが泣き所だったりする。
しかし本作では、誹謗はされるけど理解ある家族や仲間に支えられるし、藩の藩主や重臣も理解者。師匠は割と簡単に見つかり、その師匠は人格者。治療法は苦難の試行錯誤をする程もなく確立する。協力者は死にかけても結局亡くならない。医師本人も特に病気にならない。多少の困難はありつつも、割と順調に事が運ぶ。
それが「平和過ぎて盛り上がりに欠ける」という批評もあるかなと思うが、一方で「変に泣き所を作ろうとする必要って無いよね」とも思うのだ。特に史実ベースであればなおさら。泣き所があれば良作ということでもあるまい。
全編通して温かさと夫婦愛に溢れた作品だったので、作品を「難病と闘う医師の物語」というより、「難病と闘う医師を支えた妻の夫婦愛の物語」により大きく振った方が、作品の位置づけは明確になったかもしれない。
コメントする