劇場公開日 2025年1月24日

「粗探しをする人の心理とは」雪の花 ともに在りて 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5粗探しをする人の心理とは

2025年3月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

幸せ

2025年映画館鑑賞22作品目
3月2日(日)フォーラム東根
一般会員料金1500円

原作は『密会(1959)』『魚影の群れ』『うなぎ』『休暇』『桜田門外ノ変』の吉村昭
監督と脚本は『阿弥陀堂だより』『博士の愛した数式』『明日への遺言』『蜩ノ記』『峠 最後のサムライ』の小泉堯史
脚本は他に『明日への遺言』で監督助手を務めた齋藤雄仁

粗筋
幕末の福井
流行病の疱瘡(天然痘)に治療法はなく多数の犠牲者を出した
地元の町医者・笠原良策は疱瘡の治療法をないものかと悩み苦しんだ
加賀の町医者で蘭方医の大武了玄に偶然出会い彼からヨーロッパの進んだ医学の一片を垣間見て異文化に衝撃を覚えた
親友で漢方医の半井元沖のコネで京都の蘭方医・日野鼎哉の門弟になった良策は数々の分県を読み漁りその中から『引痘新法全書』というか書物に出会う
そこには「種痘」という疱瘡の画期的な予防法が記されていた
種痘に必要不可欠な牛痘の種を国内で入手するのはとても困難で入手できたとしても7日で効力を失う厄介なものであった
お上の力でなんとか入手はできたものの長崎から種痘を繰り返し子供から子供へと京都から福井と繋いで行く他なかった

実話を忠実に再現すればするほど娯楽性が低くなる傾向がある
それは仕方がない
それは俳優の演技力でカバーする他ない
その点でまあまあの出来ではあった
一部レビュアーが棒読みと指摘するが何も持って棒読みなのか全く理解できない
HIHOはくさい映画賞的な論評に憧れているのかもしれないが自分は共感しない

笠原夫婦は刃物を持つ相手に素手で戦いやっつけてしまう
かっこいい
特に芳根京子は太鼓も含めて惚れ惚れとしてしまった
やはり時代劇にはこういう要素も必要
史実に忠実も良いが娯楽性がないと退屈でいけない
「えっへんえっへん」は多少気になったがタイムマシーン3号を「タイマ」と平気で略す一部現代人よりはよっぽどマシだろう

デマを信じ良策に激しく抵抗した民衆も掌返し
良策が一人一人を説得する必要もなく呆気ないと感じたレビュアーがいるようだがお上のお達しとあらば素直に従う他あるまい
それでも激しく抵抗すれば死罪もあり得る
時代が違うのだ

多少不自然な点は確かにあるが些細なことだ
自分は然程気にならなかった
大感動することはなかったが良い話を観させて頂き宮城と岩手の県境から鳴子を超えて東根まで来た甲斐があった
そこそこは楽しめる作品だと思うが世の中いろいろな人がいるものだ
典型的ネット民なんて直接関わりたくはないが

あと吉岡秀隆くんに説教されても不思議と頭にこない
あの声とあの喋り方のせいか
見習いたいものだ

因みに自分はコロナワクチンを一度も受けなかった
陰謀論を信じたわけではなく副作用を警戒したからである
インフルエンザワクチンが強制じゃなくなった経緯を知っているので尚更
はっきりいって東京のマスコミとか知識人とか医療関係者とか役人とか政治家とかインフルエンサーとか全くもって信用できない
彼らとは考え方が違うのだ
忖度するつもりは微塵もない
そんな私でも笠原良策夫妻に敬意を示したい

今度は日本語字幕付きで鑑賞したい
自分は教養が足りない

配役
福井の町医者かつ漢方医で疱瘡の予防に取り組む笠原良策に松坂桃李
良策の妻で男勝りの千穂に芳根京子
京都の蘭方医で良策の師の日野鼎哉に役所広司
鼎哉の門弟の桐山元中に沖原一生
鼎哉の息子で門弟の日野桂州に坂東龍汰
鼎哉の娘で16歳のお愛に新井美羽
加賀藩の町医者かつ蘭方医で良策の古い考えを改めさせる大武了玄に吉岡秀隆
福井藩の藩医かつ漢方医で良策の親友の半井元沖に三浦貴大
福井藩の側用人で良策の協力者の中根雪江に益岡徹
良策の抵抗勢力となる福井藩の役人の秋田八郎兵衛に綱島郷太郎
福井の家老で良策に理解を示し協力する狛帯刀に矢島健一
良策の無理な注文を引き受ける旅籠の主人に山本學
強盗を襲われそうになるも千穂に懲らしめてもらい助けてもらう質屋の主人に渡辺哲
良策の指示に従う村長の伝兵衛に串田和美
村の百姓で妻と娘と息子が疱瘡にかかってしまう与平に宇野祥平
疱瘡で亡くなる与平の妻に山田キヌヲ
疱瘡の病にかかった村人の唯一の生き残りで与平の娘のはつに三木理紗子
良策に協力し妻子と共に吹雪の峠を越える柿谷宗助に橋本一郎
夫と子供と共に峠で遭難仕掛ける宗介の妻に和田光沙
良作を襲うヤクザの親玉に安藤彰則

野川新栄