「まるで絵画を観ているような美しさ」雪の花 ともに在りて HKさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで絵画を観ているような美しさ
感染症に立ち向かう江戸時代の町医者の話で、
新しい治療法に偏見の眼を向けられたり、既得権益者から圧力をかけられるなど、
現代にも通じる部分はあって、
冒頭ではコロナ禍の初期を思い出して少し泣きそうにもなったけれど、
基本的に素直なストーリーで、奇抜な展開やセリフはない。
しかし、登場人物たちの心がしっかりと伝わってくる映像表現になっていると感じた。
四季おりおりの景色を含む構図は
安藤広重の浮世絵みたいな部分もあってとても美しい。
人物を含む構図は長めの固定が多く、
単一の人間をクローズアップしすぎず、複数人の全身を含めた映像が多い。
そのため、顔の表情やセリフだけでなく、
立ち居振る舞い、背景、複数の人物たちの関係性も含まれて表現が多元的になるため、
心情や緊張感、空気感などがすごく良く伝わってきた。
また、どの部分にフォーカスして、どのように見るか、
観る側の自由度も高く、絵画鑑賞のようにも楽しむことができた。
演者さんでは主役の松坂さんの眼差し、佇まい、よく響く声が、
気持ちの真っ直ぐな役とぴったり合っていたと思います。
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