「早藤はもう勃たない」先生の白い嘘 ふくすけさんの映画レビュー(感想・評価)
早藤はもう勃たない
必見の映画だと思います。
多くの女性は美鈴に感情移入できないと思います。
暴力を伴うセックスを受け入れてしまう女性(美鈴:奈緒)。
犯罪を犯した男をなおも慕い続ける女性(美奈子:三吉彩花)。
子供を授かるヴァギナによる罪から解放と希望。
なるほど、まったく男性監督の男性目線から見た男の身勝手な欲望が展開されているだけかもしれません。
でも、
これ恐ろしい話だと思います。
「暴力を全く排除した性愛は成立するのか?」
「支配を伴わない欲情はあり得るのか?」
多くの男性はこれに心の底からの〇を付けることができない。
美奈子は最後に早藤から暴力的にセックスを強要され、妊娠したことに大きな喜びを感じている。
多くの女性はこのことを受け入れないでしょう。
男性も頭ではわかっています。
でも本当に暴力と支配を完全に排除した状態で勃つだろうか?
それは男にとって去勢ではないのか?
女性化することによってしか男は女と結ばれないのではないか?
そういうことを男は突きつけられてしまう。
最後に早藤(:風間俊介)は美奈子に許される。
目の前に自分の子供がいる。
美奈子の妊娠を知らされた早藤が起こすパニックは支配する側からの転落を意味していたとして、
果たして早藤は今後、美奈子を相手に勃つだろうか?
政治的に正しい世界で果たして欲情はあるのか?
新妻(:猪狩蒼弥)がおそらくその解を与えてくれるのだろう。
新しい性愛が発明されなければならない。
しかし多くの男性は恐ろしくて性愛から離れていくように思えます。
そして何も考えない男と女だけが欲情を満たしていくような…
追記
美奈子は病院を抜け出して、早藤のアパートでゴトッと音がして胸騒ぎを感じてドアをあける。首を吊って直後であったから美奈子に助けられて早藤は息を吹き返す。美奈子に全てわかっている、でも生きよ、と謂われた直後に、自首の為に警察に電話する。それでも美奈子は早藤への愛情を持続する。
美しい話と勘違いしてはならない。
早藤には地獄だ!