劇場公開日 2024年7月5日

「男性思考の作品になってしまった感」先生の白い嘘 リズにゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5男性思考の作品になってしまった感

2024年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

ICの件や、監督の言葉などなどいろんな話題で見に行くのやめようと思ってましたが、もともと原作も気になる漫画だったこともあり、とりあえず見に行くことに。
映画の感想としては・・これは男性目線というか男性思考による映画なのかと思いました。
原作者(女性)のコメントや原作の内容からして、映画の紹介コメントから削除された「快楽に溺れ」につきる気がしました。

性描写としては露出もすくなく、暴力的ではあるがAV的な見せ方とは白線をひいてる気がしましたが、わざわざ性被害をうけて心に傷を負ってる女性になんども「快楽」という言葉を言わせている。そこにすこぶる違和感がありました。

女性でも男性でも暴力的な性搾取に「快楽」なんてないのでは。
呼出に応じるのは恐怖とこの現実から逃れたいという現実逃避や
自分ではどうにもできない虚無感などいろいろな感情や状態からくるもので
そこから抜け出すには大変な思いや助けなどが必要になってくるものではないのだろうか。

原作を既読されている多くの方が「快楽に溺れて呼出に応じているには違和感がある」とコメントされていましたが、私は未読でありましたが、映画でもすごくそこには違和感がありました。
すこぶる男性思考の男性が陵虐した女性をなんども呼びつける際にその女性が「快楽に溺れている」と思っているという理解にほかならないと感じました。

監督さんが結局主人公「美鈴」の気持ちは最後までわからないといっていましたが、男性思考でこの作品を描きたかったとするならばそうなるのではないかと思いました。

原作者の鳥飼先生が先日コメントで「映画撮影中にいろいろあきらめてしまったことに後悔している」とコメントされていましたが、解釈の相違はうまらなかった結果の映画だと思いました。

映画単体としてみればそれなりにまとまった、俳優さんたちががんばった作品だと思いますが、原作ある作品として、テーマ、解釈としては違和感の残る作品になってしまった気がします。

リズにゃん