劇場公開日 2024年7月5日

「黒と白はオセロのように表裏一体」先生の白い嘘 ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0黒と白はオセロのように表裏一体

2024年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

主人公が冒頭、二つに割った割り箸を喩えに
人間の不平等について語るシーンがある。

必ずどちらかの取り分が多いと
(彼女は)感じており、
その最たるものが男女の差だと言う。

勿論、男性が多く女性は少ないとの
「性の不平等」や「性の格差」の問題に繋げるのだが、
こと本作に於いては
限りなく個人の問題に収斂するように感じられて仕方がない。

そういう彼女は教職に就き、
日々教壇から年下の生徒たちに教える立場にある。

観方を変えれば不平等。
が、果たして映画版の『美鈴(奈緒)』は
そのことに気づいているだろうか
(おっと、自分が小~中~高と、
教師に対してほぼほぼ良い記憶がないものだから、
つい辛辣な書きようになってしまった・・・・)。

とりわけ『美鈴』が男女の差を意識するのは、
親友の婚約者から暴行を受け、
脅されることで今でもその関係が続いているから。

そのくせ、教え子の『新妻(猪狩蒼弥)』が
人妻に無理やり童貞を奪われた告白をした時には、
下心の有無や体力差を例に挙げ糾弾する。

彼の体験は自身の体験と鏡像なのを
思い至りもせず。

『美鈴』を暴行した『早藤(風間俊介)』は
殺人こそ犯さぬものの、
シリアルキラーに近い性格付け。

怯える女性でなければ
行為ができぬとの犯罪者もどきの性癖。

これが最後まで首尾一貫していれば納得感があるものの、
突然の弱々しい変容には納得が行かぬ。

彼の婚約者『美奈子(三吉彩花)』にしても
『早藤』の性癖や親友との関係に薄々勘付いていながら、
婚約を解消しようとはしない。

まるでDVに遭う人がこぞって言いつのる
「彼(彼女)は自分が居ないと駄目だから」と今にも口にしそう。

ことほど左様に、主だった登場人物のほぼほぼに
共感できる要素が皆無との造形。

とりわけ『美鈴』は、時として『早藤』との関係を
カラダが受け入れてしまったり、
精神科にかかりながらも自分が精神分析まがいを施したり、
あまつさえ聖母もどきのシーンでは
観ていてかなりひいてしまった。

作中唯一ブレが無いのは
主人公が最初に厳しく当たった『新妻』だけなのは
なんとも皮肉。

黒い嘘は誰かを傷つける、偽りと知りながらつく嘘。
白い嘘はその逆で、誰かを傷つけないようにつく嘘。

これが世間の理らしい。

では『美鈴』が『美奈子』や『新妻』についたのは、
果たして「白い嘘」なのか?

ジュン一
ゆきさんのコメント
2024年7月9日

おはようございます。
失礼しますm(__)m
「黒い嘘」「白い嘘」
なるほど!そういう事なんですね!!
教えて頂きすごくスッキリしました!
が、作品の内容自体にはモヤったままです。
私が女だから低評価を付けたのではなく、普遍的なテーマを取り上げながら、それをみせる人物達に全然共感できなかったです。
ただ、作品とは別の場外乱闘で色々と話題になってしまっているので、演者さんが傷つく事がないといいなと思いました。
長文失礼しましたm(__)m

ゆき