「救いのない話ですが、、、」先生の白い嘘 おでんさんの映画レビュー(感想・評価)
救いのない話ですが、、、
漫画原作ですね。1巻だけ読みましたが「なんか胸くそが悪くなる話」と思ってやめてしまいました。
エログロは嫌いではないのですが、どうもこの作品には気持ち悪さが残ります。
たぶん、エログロ作品は悪の「死」を持って完結するか、悪が好き放題やって世に悪がはびこる、で終わるか、いずれにせよカタルシが残るのです。その理由を言語化してみようと思います。
番宣などでは本作のサブタイトルは「男女間の性の不平等」とありますが、もっと言ってしまうと、男女や性関係という基礎的な関係性をもって、人間関係は強者と弱者で成り立っている、ということでしょう。
悪が滅びることも、悪の世界になることもなく、強者と弱者の隷属関係は連関の輪のごとく、この社会に生きる限り続く、となんとも救いのない話に思えてきます。
作品のなかで言えば、当初あったクズ男と先生の隷属関係が、クズ男が堕ちて囚人となり、婚約者でちょっとアホっぽい先生の親友が上で、クズ男が下、という新たな隷属が出来る。そういう人間関係から抜け出したと思った先生も、結局は教え子男子がストーカーのように再び姿を現す。たぶん、先生が上で、教え子が下の新たな隷属が始まる。
監督はインタビューで「これはラブストーリー。人を好きになることで、光が見えてくる。そんな部分を物語の出口にしていきたい」とありましたが、最後の奈緒の目には光は感じられなかったな〜。
創作活動は「人が見たくない事実を見せる」という意味では、本作は意義のある作品と言えると思います。演者もすごく良かったです。奈緒が特にキレキレでした。
ただ、、、ストーリー展開はお世辞にも、、、、。奈緒がフルボッコにされる前の展開と演説とか、全く理解できないし、その後の超展開には、、、言葉がないです。
誰にも共感できない作品ですが、自分にない感性だな、と思えてきたので、視野を広げる意味で原作も読んでみようか、と。