先生の白い嘘のレビュー・感想・評価
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恐怖の支配に抗うとき・・・
「あな番」のイメージが強すぎて奈緒さんが出てくるだけで、何か変な人なんじゃないかと勘ぐってしまう。
白い目で見始めたところ、確かに内向的な性格で、これはきっと何かしでかすなって期待に変わっていった。でも・・・
タイトルから、ホラー、あるいはサスペンス的な話だと思っていたが、全くのお門違いだった。
ただ、奈緒さんが可哀想で切なくなる。でも、そんな彼女に対しても沸々と怒りの想いが湧いてくる。
そして、風間俊介さん。最近は朝の顔であったり、ディズニーマニアとしての爽やかなイメージが定着しているが、自分の中では「金八先生」のインパクトが強くて、いまだに腹のイチモツを疑ってしまう。
本作品の役柄がまさにそれだった。
自分の婚約者の親友を力づくで犯し、暴力で言いなりにさせる。クズ中のクズだった。
この婚約者を演じるのが三吉彩花さん。大好きな女優さんです。本作品でも魅せてくれました。
【ネタバレ】
暴力によって支配されている奈緒さん。偏った考えに凝り固まり、生徒の男子高生の心を傷つけてしまう。だが、その男子高生との繋がりが彼女を変えていく。
トータル的には、一人の女性の立ち直りのストーリーですね。
三吉彩花さんがまた良い。親友の奈緒さんに寄り添い、婚約者の風間俊介さんにデレデレする可愛らしさを見せる。時にはセクシーな肢体を魅せてくれるが、最後には母としての気丈な女を見せてくれた。
奈緒さんといい、三吉さんといい、風間俊介さんとの絡みがエロかった。ただし、しっかりと映っているところはありません。
あり得ないキャラ続出!
友達の彼氏にレイプされ言い出せないところまでは分かる。求められて身体が反応してしまうのも分かる。しかし許すって何?胸糞悪い男尊女卑男に惚れて許してどこまでもついて行く彼女は何で?あの男に惚れる要素ある?専務の娘ならいくらでも良い男いるだろうにあの胸糞男にこだわる理由がどうしても分からない。しかも友達がボコボコにされても許してってあり得ないでしょ。生徒役の子の演技も申し訳ないけど酷すぎた。おそらく事務所が無理やり押し込んだんだろうけど最低レベルの演技は出来る子をキャスティングするべきでした。そうじゃないと奈緒さんの白熱の体当たり演技が無駄ですよね。生徒役の子も先生を好きだと言いながら胸糞男に何も出来ないまま先生がボコボコされてるとかちょっと映画の流れとして悪すぎた。ラストの希望と奈緒さんの演技で1点追加です。
少しずつみんなが解けてよかったのかも
性をテーマにした作品であることはわかるけど。
男女の性の違い、醜さ、欲望、そういうものをテーマにしてる作品だそうですが、
で、なんなの?というのが見終わった感想です。
序盤は正直、AVを思わせる
エロエロな描写。びっくりしました。ストーリーもね、なんじゃそれ、
という展開でしたね。どうしょうもないクズ男。生徒を傷つけまくる女教師。
そして、クズ男を庇う婚約者。この人は病気だから、私が守ってああげないとって、
ならないでしょ、普通(笑)。女同士の関係も壊れるはず。
登場人物の考え方、行動が、みんなヘン。そんな映画に感じました。
やはりこの作品は相当なので 心技体揃った上で覚悟の上鑑賞が必要かな...
雰囲気は良かった
原作は未読なのでどうなっているのか分からないが、矢張り映画の尺では短かったのではないかと思う。具体的に2人がどのように惹かれ合ったのか、何故風間は自殺を図ったのか。「言わなくても分かるよね?」というポーズに見せかけて普通に分かりにくいだけな気がした。その割には不必要に感じる描写も多く、結局雰囲気だけで具体的なメッセージ性が映画を見ただけでイマイチ伝わってこないし、そもそもメッセージ性すら存在するのかも不明。
だが、他の方も仰っているようにキャスティングとキャストの演技はピカイチだった。奈緒さんの怯えからの立ち直り、三吉さんの強さ、風間の振り切った演技と内なる弱さ。この3人は相変わらず素敵な演技だったし、この台本を上手く解釈して向き合ったと思う。何より猪狩くんは、バラエティでよく見かけていたけれどこんなに演技が上手いと思っていなくて驚いた。単にハマり役だったのかもしれない。当時が19歳だったということを聞きつけ、19歳の彼はこの台本で何を思ってどう演技をしようと思ったのか気になった。
弱いが強い
襲われやすい
本当の白い私
本作を見るに当たって、公開直前の“問題”について自分なりの見解を。
主演の奈緒から要望あったにも関わらず、インティマシー・コーディネーターを監督が拒否。
配慮に欠けた判断だったと思う。
役者なら役の上と割り切って…と言うは易しだが、やる方はかなりの精神的心労負うと思う。実際見て、結構際どく、驚いた。
奈緒のようにこれからも飛躍期待出来る女優、若い一人の女性にとって、今後のキャリアやイメージにも繋がる。
監督は自分の口で直接なコミュニケーションと言うが、専門家でもないし、それがヘンに伝わったら…?
例えば、急遽予定に無かった性的描写を撮りたいとしよう。間に居ればクッション役となり、監督の意図や演者の理解の疎通が出来た筈。間に居なかったら、監督の突然の要請に演者は従うしかない。それがどんなに一瞬躊躇するものであっても。
そんな“ズレ”や“誤解”が後々問題を招く。最近も中島哲也監督の過去の問題が掘り返されたばかりだし。
濡れ場や女の情炎を描く往年の名匠たちから見れば怒号ものかもしれない。そんな臆病で演技出来るか、いい映画撮れるか!
双方の言い分は分かる。が、もうそういう時代ではないのだ。
変わらなくてはいけないのだ。
作り手と演者、相互の理解あって、良き作品作りを。
さて、作品の感想を。作品の方もスキャンダラス。
不条理な男女間の性の関係、不平等な男尊女卑、性や女である事を蔑む自らの複雑な心情…。
性描写も際どい。裸体をさらけ出すとか大胆な濡れ場があるとかじゃないが、嫌々ながらも暴力的な性交渉に喘ぎ悶え…。
おそらく演者にとっては身体と身体の絡みより難しさや抵抗や恥ずかしさだってあるだろう。
これでインティマシー・コーディネーター要望を排除したのは横暴。
つまり、それナシで奈緒はそれらのシーンを演じ切った訳だ。複雑な内面演技も含め称賛せずにはいられない。決してキャリアが傷付く事はないだろう。可愛いだけの若手女優じゃなく、難役もこなせる確かな実力派。
周りも迫真の演技見せる。
圧巻だったのは、風間俊介。朝の爽やかな顔とはまるで違うゲス男。彼が嫌いになるほど。
最近美貌際立つ三吉彩花も女優としての本領見せ、初めましての猪狩蒼弥もナイーブな存在で印象残す。
キャストの熱演は素晴らしいのだが、三木康一郎監督の演出にぎこちなさや台詞にも文章っぽさがあり、話の方もなかなかに取っ付き難い。
高校の国語教師の美鈴。
友人・美奈子の婚約者・早藤に犯される。早藤は女性を性欲の捌け口にしか思わず、侮蔑さえしている。
悪いのは弱い女である自分。早藤の呼び出しに応じ、性の隷属化に甘んじてしまう…。
美鈴の担当クラスで、一人の男子生徒・新妻にいかがわしい噂。人妻と密会。
事情を聞くと、人妻とラブホテルに行ったのは事実だが、行為の直前に萎縮し、何事も無かったという。
性の悩みを打ち明けた新妻に、美鈴も思わず性への本音を打ち明ける。
そんな美鈴に新妻は惹かれていく。
美鈴もまた新妻に立場を超えて想いを募らせていくが、その間も早藤から性の強要。
やがて二人の関係が早藤の知る事となり、美鈴はある決意を…。
男女の性関係、男尊女卑の上に、教師と生徒の禁断の関係。映画化や原作漫画もよく企画が通ったもんだなぁ、と。
しかし本作、心境など理解に難しい点が多々。
何故美鈴は女である自分を蔑む…?
世の中は結局、男が上に立つ。地位も性的関係も。どう抗ったって。端から諦めているのか…?
美鈴と新妻は何がきっかけで惹かれ合うようになった…?
新妻は性に対して抵抗を感じている。美鈴は快楽を感じてしまう中にも、嫌悪感も。
性に何かしらの不快を抱く二人。自分一人だけじゃないというシンパシーか…?
理解や共感でなくとも、多少なりとも分かろうとしようとしても、やはり考え込んでしまう。
それに比べ、早藤はサディスティックなまでにストレートだ。己の貪欲の赴くままに。が、彼の性格や彼自身も一切の共感も無い。
これが男の本性とは思って欲しくない。しかし、世の一部の男たちやその心底には、女性を見下したり、支配しようとする輩がいるのも事実。それを増長した姿が早藤なのだ。本当に風間俊介はこの役をよく引き受けたと思う。
美鈴、早藤、新妻、美奈子の複雑な心情と関係が絡む。原作漫画ではさらに重層的に。Wikipediaによると、
美奈子は美鈴の友人ではあるが、心の中では見下している。
美鈴はそれを知りつつも友人関係を続け、一方、友人の婚約者と関係を持ち哀れに思っている。
映画ではこれらの関係はちと読み取り難いが、そもそも人は表面のその下で何を思っているかなんて分からないものだ。
早藤から新妻との関係をバラすと脅され、美鈴は早藤との決別を決意。
また性の強要と支配で言いなりに出来ると思った早藤だが、美鈴は屈せず。
男・暴力・支配への抗い。歪んだ性からの解放。
卑しい者は支配してきた相手の反抗にたじろく。早藤もまた。そしてまた暴力で抑え込もうとする。もはや憐れでもある。
二人の関係を遂に知った美奈子。修羅場の直後の場へ。散々いたぶられた美鈴が…。
そんな美鈴を心配しながらも、早藤とは別れられない美奈子。お腹には早藤との子。世間体には“人当たりのいいエリート”の早藤と共にしなければいけない。早藤の本性に気付いても。罪を背負うかのように。
出産。その誕生は、早藤の悔い改めや美奈子の重荷が軽減する希望の兆しか…?
美鈴への救いは…?
命には別状なく。
が、学校から新妻との関係を詰問。
弁解せず、自分の気持ちを。
生徒の前へ。顔に包帯を巻き、生々しい傷のまま。
その表情には解放感が見られた。
どんなに蔑まれ、いたぶられても、やっと見出だした私。
女である事、自分を受け入れ、愛や性への自由。
これが本当の、白い私。
映倫基準は甘くなったのか?
原作未読。映画館で観なかったので、DVDにて鑑賞。奈緒さんと三吉さんの体当りの演技が印象的な作品。早藤(風間俊介)が、最低な男を演じているが、こんな野郎が会社にいたら、いくら仕事ができても解雇だね😡⚡。個人的な意見として、この内容の作品(性的描写)が、映倫区分でいうR15+というのは、いかがなものか?と思ってしまう。昔と違って映倫基準が甘くなったと思う。(←確かに時代は変わってますし、映倫も社会状況によって区分を見直すとしていますが...) 2024年に公開された「湖の女たち」は、Gだったし。男女間の性格差の云々が、テーマになっているようだが、あまり理解できなかった。暴力的な性描写を入れるなら、R18にすべきだと思うのだが...
報道度外視しても2024年ワースト作品
配信(dmmTV)で視聴。
性描写問題で報道された作品。
報道度外視で作品として観た。
奈緒、風間俊介ら出演俳優はよく頑張っていたが、この作品は結局観客に何を伝えたかったのか全く分からなかった。監督の自己満足に思えた。当然2024年ワースト作品。
不快な作品でした
ひょっとして3人とも〇ズでは?
遅れての鑑賞。
原作は講談社モーニングツー連載だったそうで、知りませんでした。
序盤、主人公の女性教師の女だから男だから系の強固な認知バイアス発言に次第に嫌気が差してきて、珍しく離席して帰っちゃおうかと過りましたが、堪えて最後まで観させていただきました。
このような、逃げようにも逃げがたい心理的だったり性的な搾取構造に嵌まり込んでしまい、強く極端なバイアスを抱いてしまう方は、おそらく実際に結構いらっしゃるのだろうな・・・とは思います。もちろんそれらについての個々人のケースについての配慮やサポートは必要だとも思いますが、作中のこの女性教師の男子生徒への的外れな実質ただの八つ当たりシーンは居たたまれなかったです。もちろん作品が良く出来ているが故に出てくる感想や印象です。
女性教師と男子生徒について。
どう見ても女性教師が男子生徒を「男」として意識しすぎていて、それが結果的に男子生徒を「誘っている」ように見えてしまい、そういう点はかなり んん???と首を傾げてしまいました。
終盤の、ラブホテルに駆け込んだ友人妊婦が彼女に対して何について赦してと請うたのかが、イマイチ判読しづらかったです。妊婦の彼女はコトが起きる前からある程度は知っていて(感じていて)織り込み済みとして過ごしていたんだろうな、というのはなんとなく伝わりましたけども、それならそれでこの妊婦も相当な〇ズじゃないかな?と思ってしまいます。原作漫画は未読なのでもしかしたら映画上では表現されていない事情などあるのかもしれませんが。彼氏で夫の男が友人である女性教師に浮気しているのを知りつつ嫉妬しつつ泳がせていた?とか。
女性に対する偏った思想を抱く〇ズ男。
こういう人っているよね~~、人を支配することでしかコミュニケーション取れない(親密になれない)人。
そういう人もそういう人で、発達障害的なものだったり人格障害的なものだったり養育歴や思春期の出来事などの積み重ねで結果的にそうなっちゃのかもわからんですけども、大して知らない他人からすれば迷惑千万この上ない存在には違いないわけですし、社会の秩序をかき乱す毒分子のような存在だと思うので、社会的な認知が進んでこういう人の治療やサポートや社会的な理解(もちろんやらせたいままやらせようという話じゃないですよ)がもっと必要なんじゃないかな・・・と思わなくもないです。
闇を抱えた(とされる)ク〇男は、女性教師に救われ(?)自らの罪を償うことになり、女性教師は自主的に退職をしそれまでの人間関係から一線を引きリセットするが…。という終盤展開の締めですけど、
これを男女逆転して捉え直してみて
同じ印象や感想(あるいは感動)を得られるかどうか?
女性恐怖症の男性教師が女子高生の生徒と…というようなね。
それで
その人の男女バイアスの一側面が垣間見れるのではないでしょうか。
わたしとしては、フィクション作品としてはまぁまぁの落としどころかな、とは思いました。ご都合主義的な部分は仕方ないにしても。良くも悪くも「ポルノ」作品だと思いました。人の弱さに寄り添うという意味でのポルノ。
素晴らしい演技だった
男子生徒役の子はまだこれからという感じで
それはそれで高校生らしく感じた。
正直おそろしい描写もあったし
痛々しくて目を背けたくなるシーンもあった
言葉にすると、苦しみがわかったような気になってしまうのではと思い
レビューを書くのをためらっていましたが
あまりに評価が低いのに驚き、自分なりに星を付けました。
観れる機会がある人はみてほしい作品。
男尊女卑の思想。
親友?の彼にレイブされて、なのにずるずると関係を続けてしまう主人公。
主人公が特に親友?を気遣うシーンもなく、親友でもないのなら、何で早く訴えなかったのかな?と思ってしまいます。
まだまだ声を上げにくい世の中なのかな?
それとも女性の性のせいなのかな?
私が男性だからか、共感できませんでした。
冒頭の割り箸のシーンで男と女は50:50の関係ではないと主人公は言いました。実際に映画はその思想で進行しますが、私には古い考えな気がして違和感がありました。それが最後まで引っ掛かってしまいました。
性の描写については、騒ぐような事ではないと思いました。R15指定の必要もあったのかなと思います。ただ最後の暴力シーンだけは目を背けましたが。
男性と女性、感性と価値観により評価がわかれる作品だと思います。
レイトショーで鑑賞、大半が女性でした。
私的感じた、この映画の内容としての問題点とは?
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
今作は上映前に様々な問題が立ち上がった映画でした。
ただその是非とは別に、作品中身として評価する必要を個人的には感じ、上映前の問題はいったん忘れて鑑賞をしました。
しかし作品の中身についてもこの映画『先生の白い嘘』は、問題をかなりはらんでいると思われました。
その大きな問題の中心は、主人公・原美鈴(奈緒さん)に性加害した、早藤雅巳(風間俊介さん)の人物像が、説得力を持って描かれていない点にあると思われました。
早藤雅巳は、主人公・原美鈴に性加害を行い、その性暴力はその後も継続しています。
そして、早藤雅巳の性格は、独善的で他者への想像力が著しく欠けた病的な性格として描かれています。
ところがこの早藤雅巳の病的な性格は、日常の仕事の場面や、彼と結婚する渕野美奈子(三吉彩花さん)との関係においても、そんなに変わらないように映画では描かれています。
すると、ではなぜ美奈子は早藤雅巳と結婚しようと思えたのか?という、映画の根幹にも関わる疑問が湧いてきます。
美奈子は映画の最後に、早藤雅巳を助けようとしたからだ、という趣旨の想いを述べていました。
しかし、相手の人間を救う福祉の想いと、相手の人間を愛する想いでは、両者は似ているようで次元が全く違う話です。
なぜ美奈子は、主人公・原美鈴に性加害を加え続ける病的な性格と行為を知っていながら、早藤雅巳との、良い面・悪い面も含めて同じ立場で何十年も共有して行くことになる結婚を願ったのか?
彼を救いたいという福祉的な話だけでは、とても観客に説得力を持った回答にはならないでしょう。
しかし仮に、早藤雅巳の性格に二面性があったのなら、まだ説得的な映画になっていたと思われます。
つまり、主人公・原美鈴に性加害を加え続ける早藤雅巳の性格は裏の性格で、普段の会社や美奈子に見せていた表の性格は仕事が出来て優しく思いやりのある性格であれば、この映画はまだ説得力のある映画になったと思われます。
早藤雅巳の性格に二面性があったのなら、彼との結婚を考えていた美奈子がある時、早藤雅巳の、性加害を続けていた裏の性格を知ることになり、その彼の裏の性格を性加害として主人公・原美鈴に【だけ】その性格を見せていたのだとすれば、美奈子が、親友の主人公・原美鈴と、愛している早藤雅巳とに、引き裂かれた複雑な心情が起こっていることが、観客にも説得力を持って理解されたと思われます。
そうではなく、性加害者の早藤雅巳の病的な性格がずっと映画を通じて同じままでは、仕事場での周りの反応や、美奈子の結婚の動機や、美奈子の両親が早藤雅巳との結婚を歓迎することに、説得力が感じられず、人間描写として根本の問題があると思われました。
この人間描写の問題は、例えば、初めての性行為の場面に遭遇した中学生の新妻祐希(猪狩蒼弥さん)と、何度も性加害を行い性行為に慣れてしまっている早藤雅巳が、同じ”女性器に対する恐れ”を持っているという(私には間違っていると思われる)解釈を、修正出来ていない点にも表れていると思われます。
もしかしたら女性側からは、男性は女性器に対してずっと恐れを持ち続ける存在であると勘違いはあるのかもしれませんが、男性側からすれば、性行為に慣れれば女性器に対する恐れはなくなっているのが通常だと思われます。
また、早藤雅巳が性加害を行っているのは-(もしかしたら早藤雅巳が子供の頃に両親、特に母親との精神的な関係性に失敗しているのが原因とは考えられるかもですが)、”女性器への恐れ”が性加害の原因になるという解釈は、どう考えても、恐れている女性器に自らの性器を何度も触れてしまっている行為について説明不可能で、破綻した論理にしかなっていないと思われます。
そしてこの映画は上映前に、「10人くらいに主演をお願いしましたが、ことごとく断られました。」「奈緒さん側からは『インティマシー・コーディネーター(略)を入れて欲しい』と言われました。すごく考えた末に、入れない方法論を考えました。間に人を入れたくなかったんです。」という三木康一郎監督の不用意な発言で大問題に発展します。
私は、性描写の撮影場面に関して役者側のインティマシー・コーディネーターを入れて欲しいとの要望を断るという話に驚きしかありませんでした。
しかしそれ以上に、その後に役者側も納得してインティマシー・コーディネーターはなしで撮影が進められたのに、なぜわざわざ監督からその話を公開前のインタビューで公にしたのか理解不能でした。
また「10人くらいに主演を(略)ことごとく断られました。」などとのこの時のエピソードも作品内容的には不用意以外の何物もなかったと思われます。
そして、この監督の不用意な発言の根本は、特に、性加害を行っていた早藤雅巳や、彼と結婚する渕野美奈子を、深い人間理解の無いまま描いても問題ないと思ってしまった、作品内容にも現れていたと思われました。
作品題材的には重要な題材であり、他の監督であればもしかしたらもっと深みある作品になっていたと思われますので、1観客としても今作の内容演出とその後の不用意な振る舞いから来る三木康一郎監督には、痛恨以上の残念さを映画の鑑賞後に感じました。
ただ、主人公・原美鈴を演じた奈緒さんや、相手中学生の新妻祐希を演じた猪狩蒼弥さんには素晴らしさも感じ、今回の点数となりました。
個人的には猛省の後に、次こそはちゃんとした深い人間理解に基づいた作品作りを、今作の制作側や監督にはして欲しいと、僭越ながら思われました。
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