「評価は割れるだろうが個人的には全然嫌いじゃない」ドライブアウェイ・ドールズ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
評価は割れるだろうが個人的には全然嫌いじゃない
冒頭の、程よくノワールでミステリアスな切れ味に、やった、懐かしの初期コーエン・テイストが帰ってきた!などと胸弾ませていると、そこから手痛いしっぺ返しが待っている。二人の親友ガールズが繰り出す自由奔放すぎる長距離ドライブ旅行には「トランクの中身はなんだろな?」的なマクガフィン要素と、執拗に追いかけてくる怪しげな男の影がいっぱい。コーエン作品の中で一、二を争うくらいおバカなストーリーでありながら、それを支える語り口と演出の確かさによって、映画はなぜか破綻するどころか、むしろ安心して見ていられる。主演のマーガレット・クアリーらの突き抜けた奮闘ぶりも快い限りだが、ラスト付近でコソコソ登場する大物俳優には多くの観客が頭を抱えてしまうはず。個人的にはこの振り切れすぎの危なっかしさは大好きだが、もしもあなたが下ネタNGならご用心を。コーエン弟を単独で解き放つとこういう結果が待っているのだと心に刻みたい。
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