ルックバックのレビュー・感想・評価
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なんて言えばいいのだろうか。。。
私は映画をそこそこ見る方だと思いますが、本当に何年かに1度、衝撃のあまり上映中は泣くことも出来ずただ呆然としたまま見終わったあと映画館を出てから涙が溢れ、翌日以降もその気持ちを引き摺ってしまうような映画に出会うことがあります。ルックバックもそんな作品でした。
ルックバックは少年ジャンプ+に掲載された時も読みましたし、その後に発売された単行本も買いました。それぐらい大好きな作品だったので映画化が発表された時は嬉しかったのですが、同時にあの内容をアニメで見てしまえば恐らく精神的にはやられるなと思っていたので怖くて見れていませんでした。でも、こんな好きな作品を劇場で見なくてどうする?と思い、勢いで映画館へ。今は見てよかったと思っています。
この作品を「面白い」や「悲しい」などという言葉では表せないし、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかを区別することもできません。そもそも原作者の藤本タツキ先生が何を伝えたかったのか、アニメ会社の事件に対するメッセージがあるのかも分かりません。
ただ僕が言えるのは、是非見てください。この作品から感じる何かを、余韻を、ぜひ感じてください。誰かのレビューや感想で満足するのではなく、あなた自身の体でこの作品を味わってください。
想い
ルックバックには、振り返る、思い返す。と言う直訳になる。この作品では、背中を見てともかけているのが天才すぎるる。
主人公は、自分のせいでと考えてしまう場面があるが、きっと京本はそんな事思ってるはずなのにそう思ってしまうのは相手が自分にとって大切な存在だったからなんだと思う。
京本の家であの日会ってなかったとしても、また再会してたし、漫画も書いていた。運命論的な側面もあるが、影響を与えた人間は、与えられた人間側からしたら一番幸せになって欲しいと思ってると自分は感じた。
この作品は、色んな感情の表現が最高に上手くて、この作品を作り上げたスタッフや関係者様々な想いを感じる事ができる素晴らしい映画だと感じた。
漫画の時から映画だったけど、営業だともっと映画だった。
上手く表現できないけど、そう思える良い映画だった。
振り返れば京本がいる
原作も知らずに観ましたが、メチャクチャ良かった!
60分あっという間!2人の人生が濃縮されていて深い感動に包まれた。
京本という恐ろしく絵の上手い存在を認知した時の延々と教室が増幅していく演出は井の中の蛙をうまく表現してるし、その京本から大ファンでベタ褒めされたあとの踊るように帰るシーンとか、観ているだけで楽しい!
初めて2人が描いた漫画が入賞してもらった賞金で街に繰り出すあたりなんかは、藤野は最高のパートナーを得たし京本は世界を広げてくれた人と出会えたし、本当にお互い補完し良さを引き出すバディとしての青春に満ち溢れていた。
そして自分のアイデアをパクられたと無差別に殺人を犯す事件からはどうしても京アニ事件を思い出す。
ニュースでは被害者の数だけが流れていくけれど、その1人ひとりにはこの作品のふたりと同じように絵や漫画に心血を注いできた人たちそれぞれの物語があって、痛いほど伝わるから胸が苦しくなる…。
藤野は、あの時私が京本を外に連れ出したから…私のせいで…と悔やむけれど、京本から「後ろを見て」というメッセージを読んだ時に後ろには自分がサインした京本の服が掛けてあって、いつも私が居るよと言ってくれているようで、死んでも京本は藤野の中にいて今も生きてるんだと思うし藤野も自宅へ帰って朝から晩までひたすら漫画を描き続けるし、それを後ろから映し続けるアングルがたまらなくて涙は止まらない…。
あんな事しなければという後悔ではなくて、振り返ればいつでも京本がいるという前向きな物語がたまらない!「ルックバック」というタイトルの意味と演出とがすべて繋がって胸が熱くなる!
何度も観たくなる名作!!
高評価なのもうなずける。(再鑑賞・追記)
印象に残った場面はたくさん有ったが1つだけ上げる
2人が初めて出会い、お互いを見つめ合う場面。僕は、才能を認めあった2人の運命の出会いの瞬間に立ち会ったような高揚感で、少しドキドキ、ワクワクしてしまった。
きっと2人は僕以上にもっとドギマギしたと思う。京本は藤本を先生と思って尊敬していたが、藤本にとって京本は、自分がいくら努力しても及ばない画力の持ち主で、常に自分の上を行く少しねたましい存在として見てたようだ。
しかし会ってみれば、お互いがお互いの才能を認め、リスペクトしあう仲間だったことが判明する。
こういった話は実際、プロ野球選手やJリーガーの中学、高校時代の経験としてたまに聞く。何かお互い試合で初めて対戦して、自分よりスゴいヤツがいるんで驚いたと両方で思ってたという話。
観賞後wikiを見て、作者の小3の妹ながやまはるこのエピソードが笑えた。
◎訂正
ながやま こはる
⭕ こはる
❌ はるこ
見たのは2024/7/3(水) イオン村山
【再鑑賞 ・追記】 2024/7/17(水) 日の出
今回印象に残った所
京本が亡くなったあと京本の部屋で、藤野は、二人が初めて会ったときに藤野がサインをしたハンテンに気付く。
あの日、藤野は京本に、藤野先生はスゴイ、わたしは先生の漫画が好きだと褒められて漫画を書くのを再会した。
その時のハンテンを見て藤野は、かつて京本と交わした会話を思い出し、自分が何で漫画を書き続けているのかを再認識する。
会話は正確ではないが、こんな感じ。
藤野 「満額を書くのって好きじゃない、時間かかるし、部屋の中で地味だし」
京本 「じゃあ、何で書くの?」
ぞの問いに藤野は答えない。だが、藤野が京本に喜んでほしくて、先生はスゴイと褒めてほしくて書いてるのは明らかだ。今では、それに読者がプラスする。
自分が何で書くのかを再確認した藤野は、休んでいた漫画を再会する。
それと、藤野はこれも絶対に口にしないが、おそらく、「もっと上手くなって少しでも京本に近付きたいから」 というのも藤野が書き続ける理由だと思う。
後ろに築き上げたもの
自身も小学生の時に4コマ描いたりその後は同人活動もしていたこともあって原作未読でしたが鑑賞。
こう、色々と重なる部分も多々あり心がえぐられる映画でした。
周りにおだてられ天狗になったり虚栄癖から素直に引き留められなかったり。青春だねぇ…
自分も20代前半である日突然親友を亡くし自責の念にかられたこともあるので心が痛い痛い。
最後の4コマの刺さりっぱなしの斧は「たとえ後ろ(過去)に傷を負っても、それでも築いたもののためにそれを背負って前に進んで行かなくちゃならない」と解釈しているんですが、どうでしょう?
あと京本役の吉田氏の演技最高です。また聴くために再観に行くかも
原作未見
漫画を描く事でしか生きられない二人の友情物語。オチは予想ついていたけど演出が最高なのでぐいぐい引き込まれていくアニメだからと敬遠している人に是非見てもらいたい映画。割引き無しの1700円で上映時間も短いが入場者特典として漫画の単行本が貰えるので料金の元はとれました。アニメ侮れないな。
秀逸! ただ少々人を選ぶ。
秀逸な映画でした。
まず、タイトルが秀逸。
ルックバックという短いタイトルに、「私の背中を見てついてこい!」「行き詰まった時は過去を振り返って初心を思い出せ!」「背景にも刮目せよ!」と、いくつものメッセージが込められている。
映像に関しても秀逸。
綺麗な映像であるがそれだけでは無い。
ただ背中を見せて漫画を描いているだけの単調な場面を、背景の方を徐々に変化させることで時間の経過を示す。
努力という目に見えないものをスケッチブックの量という目に見えるものに変換する。
敢えて似たような画面を使い、差異でメッセージを伝える。
単調なのに単調では無いという矛盾。
音楽も秀逸。
昨今、歌詞でストレートにメッセージを伝える映画が多い中、楽曲で勝負。無音すらメッセージとしている。
シナリオもなかなか。
まあ、どっちかが死ぬんだろうな〜とは予想付きましたが、if展開がなかなかグッときました。
様々なオマージュも散りばめられており、中でも京アニ事件への追悼とアンサーにもなっていると思います。
そして何より、全編を通じて全力で伝えてくる「創作の苦しみと喜び」が胸に来ました。
「テクニック云々より取り敢えずひたすら描け!」「どんなものであれ完成させることが大前提であり、それが出来ない人がほとんど」「創作は苦しくて単調でつまらない作業がほとんどだけど、とにかく続けろ!」「評価されない冬の時代があっても、とにかく続けろ!」「続けられなくなったら、自分がなぜ創作を始めたのか、初心を思い出せ!」「その先に喜びがあるから創作はやめられない」「さあまた、産みの苦しみを続けよう!」
これは、個人的にはどストレートに突き刺さりましたが、
どんな些細な作品でもいいから、一度でも何らか創作を作り上げて、他人の目に晒したことのある人にしか分からないメッセージかもしれません。
その点では人を選ぶ映画かもしれません。
1時間にも満たない短編映画ですが、3時間ダラダラ見せられる映画より、グッと中身の濃い、良い映画でした。
全体としては、非常に秀逸なのですが、少々見る人を選び、万人には勧められないと思うので、星4にしておきます。
無駄なく
原作の無駄のない話を、無駄に話を足したりなどせずに映像化したところは良かった。あの話で映画一本?と思ったが、この短さでやるのかと。
1700円均一という値段設定はどういう意図かわからんが、その価値はあったと思う。
評価は私が思った星の数で、漫画を読んだ時に、凄い作品を見てしまった、、という凄い衝撃だったので、勝手にそれを超えるものがあるかと期待しすぎた結果、この星になったかと。
個人的に、漫画を越えてなかった。漫画の時の衝撃はなかったということで。
ネタバレになるのでレビュータイトルは書きません
評判がかなり良かったので、シネコンの一番大きなスクリーンで観てきました。
大きな画面に耐える画面でしたが、普通くらいのサイズのスクリーンでも十分に画面の良さは分かると思います。
絵を描く人たちの葛藤の話だと思ってみたら、恋愛映画でした。異論は許します。
絵柄が好みでないせいか私にとっては★4です。
最後のクライマックスの後は、届かぬ愛を届け続ける重さに苦しみました。
互いの才能に敬意を持ち・嫉妬し・望む自分を目指す二人の関係が、小学生から成人過ぎの期間で描かれていました。
私には恋愛映画に観えました。叶わぬようになった恋。
二人が別の道に進み別れ、突然一人がこの世を去り主人公は、友人の自分への思い・二度と会うことのできない友人への自分の思いの前に絶望します。二人が出会っていない世界を夢想して友人の死を回避することを図りますが、死の現実は変わりません。
友人に自分の絵をストーリーを漫画を魅せたくて漫画を描き続けていた主人公は、二度と会えぬ友人に向けて漫画を描き続けていく。
1時間弱のお話ですが、映画料金が高いとは思いわない良い作品でした。
子供のころを思い出させた映画
映画の評判が良いので見てきました。原作は未読です。
物心つく前から、紙と鉛筆を与えておけば大人しくしていた、という幼少期を送った自分としては、共感できるところも多かった。人見知りだったので、藤野よりは京本に近いだろうか。自己肯定感の低い子供だったので、自分より絵のうまい人なんていっぱいいるだろう、と思っていた。
見ていて羨ましかったのは、あんなにスケッチブックが買えていいな、という本題とは関係のないところ。デッサンはチラシの裏とか、ノートの余白に書いて、スケッチブックは画家で言うところの習作を描くためのものだった。スケッチブックに、もう描くところが無くなっても自分の小遣いではなかなか買えなかったし、親にスケッチブックが欲しいと言っても、絵ばかり描いてないで勉強しろ、と言われるのが落ちだった。
藤野の担任の教師も、藤野の漫画は認めていて、馬鹿にしたりはしない。私の小学生の時の担任は、私の絵を、絵画コンクールのようなものには選ばなかった。理由は、絵が達者なので、小学生らしくないから、だったようだ。小学生らしい絵って、何だ?と当時は真剣に悩んでいたが、今でも分からない。
担任が小学校の卒業証書を京本の家に届けるように頼むのも、京本が藤野に憧れているということを京本の親から聞いていて、小学生最後だし、会わせてやろう、なんて考えたのかもしれない、という空想もしてしまう。
小学校を卒業してからは、少し駆け足で話が進む。京本は死ななくてもよかったようにも思うし(京アニ事件の影響もあるらしいことが言われているようだが)、パラレルワールド的なIF展開もそれほどストーリーにマッチしているとは思わないが、不要とまでは言えないか。短編としてはすっきり纏まってはいないが、話として小奇麗に纏まると、青春の青臭さというか、そういう雰囲気も失ってしまう気もする。
アニメーションの動きはとても良い。最近見た中では『窓際のトットちゃん』位によかった。監督が動画をすべて手がけているらしい。これどれくらいすごいかは、アニメの制作に関わったことは無いので私には実感はできないけど。
もう一回くらい見てもいいかな、と思うくらいには気に入っていて面白いとは思うけど、傑作だとか、最近の表現だと、”心に刺さる”ようなことまでには至らなかったように思う。
そうなるには、私は年を取りすぎていて、色んな経験や知識が雑多に増えすぎているからかもしれない。
衝撃の展開は必要だったのだろうか?
冒頭の、貧乏ゆすりをしながら机に向かって何かを描いている藤野の背中が延々と映し出されるシーンから、画面に引き込まれる。
4コマ漫画を映像化したシーンも、いかにも小学生が書いたような絵柄と物語で楽しめる。
その後も、藤野がライバルと目していた京本と初めて会い、自分が「先生」と敬われていることを知って、スキップをしながら帰るシーンや、2人で街に出かけて、藤本が京本の手を引きながら、人混みの中を通り抜けていく時の、それぞれの主観映像のシーンなど、手描きアニメーションならではの躍動感に溢れた描写を堪能することができる。
物語としても、ライバルに負けまいと一所懸命に練習したり、どうしても勝てないと諦めたり、志を同じくする者と仲間になったり、一つの目標に向けて一緒に頑張ったりと、スポーツや芸術に打ち込んだことがあれば、誰もが経験し得るような「情熱と友情の日々」が丹念に描かれていて、胸が熱くなった。
やがて、絵の技量を上げるために美大へと進学する京本とは、袂を分かつことになるものの、それでも、人気漫画家への道を歩んでいく藤野のサクセスストーリーとしては、あまりにもトントン拍子で順調すぎるのではないかと思っていると、予想もしなかったような衝撃の展開が訪れて驚かされる。
ここから想起されるのは、明らかに京都アニメーションの放火事件だが、藤野と京本が出会わなかったパラレルワールドでは、漫画を描くのをやめて空手の練習に励んでいた藤野が、美大への乱入者を撃退して、京本の命を救うことになる。
京本の部屋の扉の下を行き来する4コマ漫画の紙片は確実に存在するものの、この、もう一つの物語が、どこかのマルチバースに実在している世界での出来事なのか、それとも、藤野が「もしも」と夢想していることなのかは定かではない。ただ、いずれにせよ、せめて物語の中だけでも、あんな理不尽な事件はなかったことにしたいという、作り手の熱い思いだけは感じ取ることができた。
京本が命を落としたのは、彼女を外の世界に連れ出した自分のせいだと後悔する藤野が、もし、自分たちが出会わなかったら、2人で寝食を忘れて漫画作りに没頭するという、かけがえのない時間を過ごすことはなかったし、何よりも漫画を描く自分も存在しなかったということに気が付いて、再び前を向くようになるくだりも感動的である。
その一方で、わざわざ悲劇的なエピソードに持っていかなくても、美大を卒業した京本が、漫画家の藤野のアシスタントになるといったシンプルでストレートな話だけで、十分に楽しむことができたのではないかとも思ってしまう。
それから、京本からは「先生」ともてはやされた藤野だが、彼女の方は、「自分が、一度漫画を描かなくなったのは、絵の才能では京本にかなわないと観念したからだ」と打ち明けたのかということも、最後まで気になってしまった。
あえて言うなら
ネタバレありです
原作未読で評判だけで観に行きました。
最近の何でも美男美少女キャラに描いてしまうアニメ界とは一線を画すキャラ図柄はそれだけでも好感度アップです。
ストーリーのほうも前半の藤野がライバルと思っていた京本からファンだと言われ浮かれて変なステップを踏みながら帰って行くシーンは微笑ましかったし京本が勇気を出して美術大学へ行きたい一人でやってみたいと打ち明けるシーン惹きつけられました。
ただ原作未読の立場からあえて言わせてもらうなら京本は何故死ななくちゃいけないのかがわからない。
しかも事故でも自殺でもなく訳のわからない人物の手によって。
そういう話だからと言われれば元も子もないのだがそれまでの話の流れからはその必然性を全く感じられなかった。
人の死は悲しい
それだけで涙を誘うこともある。
結局話はその死によって停止したあとは藤野の後悔と回想、再起の背中でエンデイングを迎える。
それまでが良かっただけに死で終わる話にしてほしくなかった。
今一番話題の映画
今一番話題の映画ということで仕事帰りに観てきました。
公開から一週目ではあるものの、平日にもかかわらずほぼ満席でした。
100分という短めの映画ですが、短い中でも感情をぐわんぐわんさせられるとんでもない映画でした。
チェーンソーマンもそれ以外の漫画も未読ですし、正直、藤本タツキという名前もこの名前で知り、ただ話題に乗っただけの私が感じたことは、この作者は、自分の能力だけではなく、背景となるものの支えによって成り立っていることを表したのかなと、それへの感謝が込められている作品なのではないかということです。
それがタイトルにも込められており、ルックバックとは、背景も見ろという意味があるのではないでしょうか。
あと、音楽もかなり良かった。
★2024.7.14 追記★ 同じ学校で出会った少女二人が、同じ世界を目指します。辿り着いた世界の先に見つけたものは…。甘酸っぱさとほろ苦さ、切なさと愛おしさに溢れた秀作です。
< 2024.7.14 文末に追記しました >
「チェンソーマン」という漫画の作者が描いた短編作品。
その劇場版アニメ作品です。この作者の絵柄は割と癖があり
洗練された絵柄とは言えないかもしれない(失礼)のですが
描かれた作品からは、独特の魅力ある世界を感じることが
できる、そんな作者だとも思っています。 ・_・ハイ
原作漫画の冒頭だけを「お試し」で読んでみたら、とてもいい
感じだったので鑑賞してみることにしました。
さあ鑑賞開始。/☆
舞台は地方の小学校。
学年新聞に4コマ漫画を書いている少女と、途中から漫画を
載せるようになった同学年の少女のお話。
一人目の少女は藤野。(CV 河合優実)
二人目の少女は京本。(CV 吉田美月喜)
藤野は、絵を描くのが好き。絵を褒められるのが好き。
京本は、藤野の漫画が好き。他人が怖くて引きこもり中。
ある日、学級担任が藤野に声をかけた。
学年新聞の4コマ漫画、2枠の片方を引きこもりの子に譲って
くれないか? ということだ。 ” いいですけど ” と承諾する。
京本の4コマ漫画が初めて載った日。
クラスメイトの声が藤野の耳に聞こえてきた。
” こうしてみると 藤野の絵って 上手くないじゃん ”
京本のマンガは、マンガというより学園生活の風景を描いた
背景画のような作品だった。人物は登場しない。だが…。
上手だった。圧倒的に。
衝撃を受ける藤野に心の底から、ある感情が沸き上がってくる。
” 悔しい。負けたくない ”
マンガがもっともっと上手くなりたい。上達したい。
なりふり構わず、マンガを書く時間が増える。
基本的な技術を向上させるため、色々な本を読んでみる。
次の学年新聞。
その次の学年新聞。
並んで掲載されるたび、打ちのめされる。
頑張って上達したと思っても、京本は更に上達している…。
そんな6年生のある日。
学年新聞をみた藤本の心が動きを止める
” …やーめた ”
こちらが学校に行っている間も、相手はマンガを書いているのだ。
追いつけるハズない。…もう疲れた。
普通の小学生に戻ろう。
残りの小学校生活を楽しもう。
そのままマンガから遠ざかった藤野。
だったのだが、卒業式の日。学級担任から呼ばれる。なんだろう?
” この卒業証書を、京本に届けてくれないか ”
学年新聞に連載していた同志じゃないか と言われ渋々引き受け
初めて尋ねた京本の家。
呼び鈴を押しても反応が無い。どうしよう。
と、玄関のドアに鍵がかかっていない。
” 卒業証書を届けにきましたァ ” と小さく声を出しながら上がる。
そこで目に入ったのは、床に積み上げられたスケッチブック。
廊下を曲がった所から奥の部屋の前までびっしりと。
いったい何冊あるのだろう…。
と、一冊のスケッチブックの上の原稿用紙が目に入った。
4コマ漫画用の、まだ何も書かれていない原稿用紙だ。
つい手に取ってしまった藤野。カバンから鉛筆を取り出して
京本に向けた4コマ漫画を書いてしまう。
” 何やってるんだろ ”
我に返り、力の抜けた藤野の手から原稿が滑り落ち、目の前の
ドアの隙間から部屋の中に入っていってしまう。 あっ。
慌てて京本の家から飛び出す藤野。その後ろを
藤野を追いかけて、家から飛び出してきた少女。
引きこもり継続中の、京本だった。
” 藤野先生ですか? ”
思わず藤野の足が止まる。振り返る。
ボサボサ頭の、半纏を着た少女がそこにいた。
◇
…と。
こんな感じの二人の出会いから話は進んでいきます。
中学生になり、マンガの世界へと踏み込んでいく二人の
活躍が描かれていきます。
このあとの展開が気になる方、ぜひ劇場での鑑賞をお薦めします。
原作を知らずに観ましたが、最後まで引き込まれて鑑賞しました。
内容を知っていても尚、楽しめる作品と思います。
私は充分満足しました。 ・_・/♪
観て良かった。
◇あれこれ
■ヒロインの声
本職の声優ではない女優さん(河合優実・吉田美月喜)が、声の担当
でした。二人の演技が上手な事は、最近観た作品を通して知っている
つもりですが、声だけの出演はどうかな? と心配も少々…。
ですが、要らぬ心配でした。 ・_・;
藤野・京本ともに、キャラのイメージ通りの声でした。
■舞台
小学校への通学路が、田んぼの広がる農道だったりします。
どうやら山形市のどこからしいのですが、気になります。
原作者の通った大学もモデルになっているとか。 へぇ。
たまに出かける都会のシーンはどこだろう とか
山形市にしては賑わっているなぁ(失礼) とか
バスで一時間なので仙台市ではないか? とか
竿燈祭り(秋田)のパンフを持っていた とか
原稿持ち込んだのはやっぱり東京だろうな とか
色々と想像して楽しんでます。(山形好きです♡)
◇最後に
一人がキャラや話を作り人物を描き、もう一人が背景を担当。
単なる作者とアシスタントの関係ではなく、藤子不二雄のように
制作のパートナーだということが「藤野 京」のペンネームから
分かり、この二人の関係性いいな と思って観てました。・_・
※「まんが道(藤子不二雄A)」が頭に浮かんだ人、私だけでは
ないかと ・_・
あと詳しくは書けませんが、「if」の世界との繋がりも見事でした。
見事というか、どこかに救いがあると思わせる終わり方、個人的には
大好きです。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
↓
↓
↓
< 2024.7.14 追記 >
2回目の鑑賞に行ってきました。・_・v
改めて気付いたコトもいくつかありました。良かったと思う気持ちがより強くなりました。
1回目同様★5つ。合わせて★10です。(ダメ?)
■四コマ用の原稿用紙
卒業式の日。訪ねた京本の家。部屋の前の大量のスケッチブック。
その上に乗っていた白紙の原稿用紙を藤野が拾い上げる場面から、
4コマ原稿用紙の旅が始まったと思っていたのですが、違ってました。・_・
マンガを書くのを止めた藤野が「捨てて」と家族に言ったスケッチブック。
その上から滑り落ちるシーンがあって、多分そこがスタートのようです。
二人の間を何度も往復する4コマ漫画の原稿用紙。
時空を越えて行き来する、不思議なアイテムです。
■繋いだ手
手をつないで、街を買い物して回る二人。
次第に、京本の手が長く伸びていくのです。千切れてしまいそうな程に。
このままでは藤野についていけなくなるとの、京本の焦り。
” 高校を卒業したら連載を ”
この話が出た事で、京本は一大決心をしたのだろうと推察。
4年間回り道をしてしまうけれど、簡単な選択ではなかったけれど
大学でもっと絵を描いて、上手になって。
この先ずっと、藤野の隣で漫画を描き続けていたいから。
京本の決断に敬礼。
■京本の笑顔
柔らかな表情。無垢な笑顔。
京本の笑顔にはやられっぱなしでした。
” 見たい見たい見たいッ ”
” えへぇ ”
” 良かったぁ ” などなど。
藤野と一緒にいるときの京本の笑顔。何度観ても癒されます。えへぇ。
■なぜか左利き
京本の利き手。原作では右利き、映画では左利き。 …そう気付きました。
何か意味があるのだろうか…とあれこれ考えているのですが…。うーん。
実は京本には、鏡に写ったもう一人の分身を生み出す能力があって…。
うーん…。一気にファンタジー度が上がってしまう…。
そしてその分身は、鏡の世界を通り抜けて色々な世界に行くことが…
うーん…。ミラーマンの世界になってしまう…。
■「出てこないで」の4コマ目
骸骨になった京本の場面が描かれています。うーん。
改めてこの4コマ目を見た藤本が「私のせいで京本が死んだ」と
激しく後悔する訳ですが…。
この4コマ目に何か書き足したり、他のオチに書き換えられたら
京本が死なない未来にならないだろうか
そんな事を割と真面目に考えている自分がいます。・-・
< 2024.7.14 追記 ここまで >
どんなに深い悲しみでも、後悔できないほどの喜び
※注意:勝手な妄想が強めの感想です。
藤野は京本を失って後悔をする。
あのときあの漫画を書かなければ京本を失わなかった。
でもそれは、出会ってからの「あの時間」を失うということだ。
二人とも異常に絵を描くことが好きで、
藤野は京本の凄さを京本よりも知っていて
京本は藤野の凄さを藤野よりも知ってた。
絵が上手くなりたくてたまらなくて
いろいろなものを犠牲にした。
二人の生活はとても偏っていて、健康的とは言えなかった。
他人の目には幸せには見えなかっただろう。
でも他の人には想像できないほど幸せだった。
藤野は物語の最後、京本の部屋で二人の「あの時間」を振り返る。
藤野は、やっぱり後悔することができなかったのだろう。
あのときの喜びを悔いることが出来るわけがない。
どんな深い悲しみでも、敵わないほどの喜び。
そういう種類の喜びがあるのだ。
見終わってからずっと「そういう種類の喜び」のことを考え続けている。
この感じだと、この余韻はしばらく消えそうもない。
それくらいのショックを受けた。すごい映画だった。
ストーリー性はとても良いが、テンポが早過ぎて少し物足りなさを感じた。
映画の予告で観て少し気になったので、
今回観に行きました!この原作の内容は
全く知らず、作者の藤本タツキさんの
チェーンソーマンはアニメで観ていたので、
知っていました!事前にTwitterでネタバレと
言っていいのか分からないですが、
京アニ放火事件を連想とされると言う情報を
先に入れてしまっていたので,何となく先の
展開が読めてしまったのが非常に残念でしたが、
京本の訃報のニュースを観た時は、
鳥肌が経ちました。だが,この映画を
観て思った事は、ストーリー性は非常に
良かったのですが、テンポが早過ぎて、
感情移入出来なかったところです。
なのでアニメでじっくりやるか、1時間ではなく,
2時間くらいあれば良かったなと思いました。
作品自体は良かったので、観に行く価値は、
あると思います。
一度でも、なにかを本気で好きになってのめり込んだことのある人へ。
タイトルの通り、とても純真で素敵な映画でした。
子供の頃って、男女問わず、なにかにのめり込んでは、ある日、急に脱皮するかのように
昨日までの自分の熱中を冷静に醒めて、次の自分になってゆくように
この映画で描かれる、漫画への情熱と青春はとてもよく わかりますよね。
主人公の自意識とふと 醒めるあの感じ
ヒロインのあの、一歩外へ思わず踏み出したあの気持ち
空の描写がこの映画にとって、とても大切な感情を表現していて、
「雨に歌えば」を超えるかのような、映画力のつよい、素敵なワンシーンとなっていますね。
あの雨は主人公の嬉し涙であり、ヒロインの嬉し涙でもある訳なのですね。
雨のシーンだけで、とてもグッとくるものがあり、この映画のすべてがあるような気がしました。
共依存関係のような、でも ふたりにとって いちばん良い時間が終わってしまって、
ヒロインの方が健全な決断を下すシーンも涙なくして見ていられません。
彼女はいつも主人公の背中を見つめて、いつかまた 力を付けて、主人公の背景を描くために
旅立ってゆく決断をしたのに違いありません。
主人公にもそれがわかっているのに、わかっているはずなのに、出てくる言葉は 違うものばかりで
それを後悔していたからこそ、主人公も次のステップへと駆り立てられていったし、
彼女もそれを夢見ていた最中だったろうに、
残酷にも、その決断が、あのような結果にたどり着いてしまうなんて。
後半の事件は、明らかに「京都アニメーション」の例の事件をモチーフにしていますが、
そこに対する犯人への糾弾や社会問題としてなにかを問い詰める論調はなくて
ただただ、クリエイターとしてのリスペクトと、祈り。
クリエイターとして、あるべき道を示して終わる
そこに流れる鎮魂歌、とても神聖なものを感じました。
これがクリエイターによるクリエイターへの、これ以上ない純粋な聖歌であると願ってなりません。
自分のアイデアが盗作されたのなんのって騒ぐ輩は、これだけのバックボーンで、手を動かして、
自分のすべてを注ぎ込んでゆく過程をちゃんとわかっているのかと、ひとりひとりのクリエイターの後ろにあった
これだけの努力と才能と物語と夢と人生を、身勝手な衝動でどうにかしてしまって良い訳がなくて、
揺れ動きながらも、研ぎ澄ましてゆく このクリエイティブな最先端の感覚がわかるのかっていうね。
この「凄み」は、実際に手を動かして、自分を注ぎ込んでいる人間にしかわかりませんよね。
私も分野は違うけれども、その延長線の(まぁお恥ずかしながら下の方にいる)人間ですから、まぁ、ぐぅの根も出ない表現でした。
それでも過去も背中を見ながら、前に進むしかないんですよね。クリエイターって。
主人公とヒロインの背中が、お互いを尊敬し尊重し合うものであったというタイトルが素晴らしいですね。
ウロボロスの尾のように、「永遠」を現しているかのようです。
この物語は、主人公とヒロインふたりのものですが、この物語に込められた祈りは、
数知れないクリエイターたちと、また最前線で物語を紡いでいるクリエイターとの
面識なき、けれども、たしかにそこにある絆のように感ぜられました。
観終わって思わず、合掌してしまいましたね。数々のクリエイターの魂が救われますように。
そして、現役クリエイターたちの魂が、より 高みへ昇華されますように。
人間賛歌なんだ。
ルックアップ
作画の質が非常に高く、最初の主人公の背中ですら、少ない線が効果的に使われているのが分かる。
背景はピンキリだが、初めて京本家を訪れた際の玄関フローリングは圧巻。
中編作品であることを差し引いても、劇場作品としてはスタッフ数が少なく、少数精鋭だったのだろう。
京本の四コマは漫画といえるのか、と思っていたが、背景担当となる流れは上手い。
「ファンだ」という言葉に反発があるかと思えば、アッサリやる気を取り戻したのは意外と言えば意外。
(謎のスキップ?ダンス?は面白かった)
一方的に“睨み上げ”ていたかに思えた藤野も、京本から“憧れ”られていたことを知る。
互いを“見上げ”つつ、順調にキャリアを重ねるふたりだが、京本が別の“向上心”を持つことでコンビは解散。
最終的には、再び漫画が藤野の“顔を上げ”させて終劇。
個人的には、タイトルは『ルックバック』より『ルックアップ』の方がしっくりくる。
キャラの名前やら主人公の描く漫画から、作者が自身を投影した作品なのだろうか。
安易に人が亡くなり、京アニ事件を元にしたと思われる犯人の動機など、正直独創性は薄い。
小4で称賛されるには藤野の絵や話が拙かったり、いつペンタブ作画覚えたのかなど細部がやや気になった。
ifルートは藤野が描いた漫画かと思ったがそうでもなく、少々分かりづらいかな。
などなど、思うところはあるが、河合・吉田両名の演技は余裕の及第点越えで、雰囲気にはバッチリ合ってた。
演出も好みだったので、話としての捻りか深みがもう少しあるとよかった。
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