ルックバックのレビュー・感想・評価
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没頭し継続できることが才能
才能っていうものは、好きなことにどれだけの没頭できるか、そしてそれを続けることができるかだ。センスみたいなものもちろん必要だったりするが、センスがあっても続けられない人は開花させることができない。
序盤に藤野がひたすら描き続けるシーンを見てそんなことを思った本作。絵を描くということにおいて京本は藤野を上回る才能を持っていたという流れが好きだ。藤野と京本が惹かれ合い、ともに漫画を作る流れもいい。絵を描くことと漫画を描くのは別の才能ってことだ。
結構長いスパンの物語のはずなのに上映時間はとてもコンパクト。時間の流れを表現するのがとても巧みだった。短いシーンでも、2人がどれだけ協力し努力して漫画を描き上げていったのかがわかる。漫画家として成功し始める描写もいい。
とてもリアルな(作者の実体験がベースでもおかしくないような雰囲気)印象だったけど、終わり方はとてもマンガ的。でも、こんな展開にしないと悲しみを受け止め、前に進むことができないかもしれない。随分と油断していたがその悲しみにどっぷりと浸ってしまった。
とてもいい映画だったが、唯一受け入れがたかったのが藤野の性格。ちょいちょい挟まれる彼女の微妙にイヤーな発言に、ちょっぴりイラッとさせられた。これは相性みたいなものだから仕方ない。
暴力描写が苦手・トラウマがある人は注意
わずかではあるが、某事件を彷彿とさせる描写があるので注意。
現実に対してフィクションとは、なぜ人は創作をせずにはいられないのか、創作に触れられずにはいられないのかということを考えさせる作品。
漫画を好きな気持ち
1時間未満の上映とは思えないくらいの満足感と完成度でした。
漫画を通じて違う境遇の2人が一緒に漫画を制作するようになる、しかも藤田は自分の方が絵が上手くないので負けている気がしたのにその相手にファンと言われて舞い上がる様がなんとも可愛らしく、咄嗟に連載に向けて描いてるよ、って言ってくれて良かったと思う。
引きこもりだった京本と一緒の部屋で漫画を描くようになり、実際に賞を取り京本を外の世界に連れ出して楽しそうに遊んでる姿がなんとも楽しそうで、繋いでる手の描写が離れそうで怖かったがまさか本当に。。
藤田と京本、お互いに漫画に対する情熱と向上心が強いからこそ悲しい出来事が起こってしまったと思うとなんとも切ない。
絵やアニメに関わらない人にも刺さる作品
自分はほぼアニメを見ないしましてや関係者でもありません。が、好きな事に夢中になれる事の素晴らしさに感動したし、そんな感覚が昔の自分にもあった事を思い出せました。
友人とのすれ違いも含めて、生きる事ってこういう事だよなと。辛い展開があるけれどもう一度観ようと思います。
いいよ、これ。凄い!
をを。凄い。なんかすごい。濃密。
小学校の新聞の4コマ漫画で知り合った、主人公と隣のクラスの不登校生のマンガにかける青春時代の話。
終わってみての感想だけど、「描く」。この一言に尽きる。
タイトルの「ルックアップ」は振り返り、昔を思い返す、か。
絵とセリフで紡ぎ出される感情。とくに前半、自分より絵がうまい同級生がいると知った時の衝撃。その子から「先生のマンガが大好きです」と言われた帰り道。田んぼのあぜ道でのスキップ。後者は、ほぼアニメーションだけで伝えてくる心の動き。ここだけでもみんなに観てほしい。すごいよ。
音楽なしの進行。まさに漫画。それだけにエンディングの音楽は、最高。
「賛美歌ってこんな風に生まれてきたのかも」とすら考えた。
とにかく素敵な映画。ぜひ皆さんにも1700円払ってみて欲しい。価値ある58分になると思います。
(いつもシニア料金1300円の俺は一律1700円って高いな、と思ったけど、多くの人は安く観られるってことね。それは素晴しい。俺も喜んで払うよ)
劇中の主人公のセリフ 「漫画大変だよ。書いてもちっとも進まないし。読むだけがオススメ」
この作者の逆説的な言葉。おそらく限りなく本心に近いのだろう。でも離れられないこの世界。こうして俺をまたひとつ感動させてくれるのだから。自分が作ったもので人を感動させられる。そこから離れられないのもわかるし、離れてほしくない。すべての漫画に、あらためて尊敬を。
おまけ1
終盤の「こうだったら…」部分のオチが、京本が描いた四コマ漫画っていうのは、めちゃくちゃ決まってますよね!マンガ家って、ホント、すごい!!!!!
おまけ2
Tジョイ横浜、ちゃんと混んでたので最前列へ。俺は最前列はけっこう好き。ただしこの劇場、スクリーン高いのにけっこう前まで席あるなあ。
実際坐ってみたら、最前列、さすがにきついって。天井を見るかのようにのけぞって観た。プラネタリウムみたいだ。
それはそれでなんだか不思議な体験だったので楽しかったけれど、かつTジョイ横浜は席も広く素晴らしい映画館なので文句を言いたくはないが、もしも修正する機会があったら、スクリーン9の最前列1列は減らすべきです。
観て良かったと思える、劇場用アニメーションの傑作
絵(画)がすごく好みなのと、河合優実さんと吉田美月喜さんがCVを演じる主人公二人の出す空気感がすごくいい、そして人が何気にとる仕草や姿勢がとても自然に描かれていて素晴らしい映像美が堪能できます
どんな世界でも上手くなるにはトレーニングとそのたゆまぬ努力が全て
本作では絵が上手くなる為に、描いて描いて描きまくる
その時の移り変わりを主人公の背中を映しながら背景が変わっていき表現するところや主人公たちの寝ても覚めても描き続ける様子を映像だけで語るところなどの演出が秀逸で素晴らしい
後半は某アニメスタジオの悲劇を彷彿とさせる展開で何とも切ない気持ちになりますが、それを吹き飛ばすほどのIfの世界線が圧巻
この内容をたったの58分で収める押山清高監督の手腕に圧倒されっぱなしの近年稀に見る傑作です
私には良さが判らなかった
良い作品だとは思います。が、他のレビューなどで多く絶賛されていますが、私には普通に良かったって程度です。
劇場鑑賞では割引対象から外れてますし、上映時間も短いし、値段相応以下、サブスク解禁待って自宅視聴でよかったかなと。
認められる喜び、求められる嬉しさ
京本の才能に圧倒され、漫画をやめた藤野が、その京本に「ファンです」と言われた帰り道。スキップし、謎のステップになり、走り出す躍動感。それは藤野の抑えきれない喜び。認められることへの喜び。
不登校で引きこもりだった京本が、藤野と協力して作品を作り上げ、打ち上げで町に出て、クレープやファストフードを食べ歩き、自分の手を引く藤野の背中を見ながら頬を紅潮させる。自分を必要としてくれる誰かがいることの嬉しさ。
私自身は絵や芸術的な才能はないけれど、この普遍的な喜びと嬉しさへの共感が半端ない。
自分が外界へ連れ出さなければと後悔する藤野だけど、別のルートでも2人は出会う。そして、その出会いが掛け替えのないものだと再認識してくれたのが嬉しかった。
鑑賞後チェーンソーマンの作者による作品と知って、こんな喜びや嬉しさが原作者の背景にはあったのだろうと思いを馳せました。
秀作アニメ短編
ポスターの少女達の表情に惹かれて鑑賞。1時間弱ととても短いが、原作者と製作者の想いが密に込められていて後を引く作品。
このところ理不尽な理由で若いクリエイターの命が突然奪われることが続いた。美術大学での通り魔事件、大震災もそうだろうし、何より京アニ事件。この作品は原作者や製作者による犠牲者達への鎮魂歌のような気がした。
ストーリーはエモいし(二人で制作に打ち込む姿やドア越しのパラレルワールド展開)、精細な背景を含めて画がとても美しい(特に、嬉しくて舞い上がった主人公が畦道をチャポチャポしながら弾んで行く場面)し、主人公二人の声の演技もリアルですごく良かった。
振り返ってから前に進む
どういう映画か知らなかったが、好評だと目にし、癖のあるキャラ絵に引かれて鑑賞。
二人の若き創作者の関係性だけでも十分にエモかったのだけれど、悲劇的な事件と絶望からの物語の再生に揺さぶられて涙を抑えられなかった。
終業式後に逢わなかった世界の私の解釈は、自分が京本を殺したと自責の念に囚われていた藤野が、「自分の想像力で京本を救い、彼女に赦されて共に生きる未来」というナラティブを創り上げて自分を解放できたというもの。その象徴があの四コマなのだろう。藤野が呻吟の末にあれを描いたことで、心の中の京本と和解できたのではないか。
劇中の事件からの復活が、ちょうど先日大団円を迎えたユーフォと京アニのスタッフと重なって感じられた。(どんな分野であっても)日々苦しみもがき続けながら何かを創り出す方々に敬意と称賛を送りたい。
夢とは生きる理由
いつか、私たちにも夢があったはず。卒業アルバムに書いた、もしくは書こうと考えた、ずっと昔の記憶があるはず。そんな幼い頃の輝きを思い出させてくれる作品です。
心理描写が丁寧なことも特徴で、気が弱く人と話すことが苦手な京本と調子に乗りやすく気が強い藤野との対比が丁寧に描かれています。
クラスメイト、親、祖母、先生全てに絵を褒められてきた藤野が、自分より上手な京本の絵を見て初めての挫折をして、たくさんのスケッチブックが積み重なっていくシーンが印象的でした。
夢というのは、圧倒的な努力量と才能を掛け合わせた上で成り立つものであり、才能に打ちのめされたと思っていたものが、実は努力量でも負けていたというのは、むしろ救いであるのではないかと考えました。
私には夢があります。きっと、みんなが持っていたような。だからこそ、才能なんて言葉で逃げてはいけない。みんなで夢を追いかけましょう。いくつになっても変わらない夢を。
土砂降りの嬉し涙
この映画のハイライトはどこだろう。
この映画のクライマックスはどこだろう。
はじめから素晴らしかった。
月夜の星々から反転、町に灯る光。ただの光じゃない。それぞれに生き方や人生がある光。その一つにクローズアップ。そして背中が映し出されて、アバンタイトル。
「ルックバック」
ぼくたちは映画の中で何度も背中を見せられた。
そうか。「ルックバック」は「背中を見て」ってことでもあるし、「振り返って」ということでもある。物理的に後ろを向くことも意味するし、過去を顧みるということでもある。
初めて、京本のマンガが学級新聞に載った時、きっと藤野ちゃんは純粋に絵のうまさだけに衝撃を受けたのではないのだろうと思った。
「学校に来ていないくせに」なぜあんなに美しい校舎を描けるのだろう。「学校に来れないくせに」なぜあんなに美しい教室を描けるのだろう。
不登校の子にとって、学校や教室なんて地獄であるはずなのに、それをあんなにも美しく描けるのはなぜなんだ。
そんな思いがあったからこそ、藤野ちゃんは本気になれた。向き合えたのではないだろうか。
卒業式の日。
「何」からの卒業だったのだろう。
あの日、2人ともが「卒業」したのだ。
あの4コママンガは藤野ちゃんの心の現れ。
「出てきてほしい」
自分にとって絵を描くことを本気にさせた不登校の同級生はどんな人なのか。
自分にマンガを諦めさせた同級生を一度は目にしたい。
「出てくるな」
自分を超える絵を描く不登校の子に会いたくない。もしかしたら、バカにされるかもしれない。下手だねって。
自分に現実を突きつけたライバルなんて見たくもない。
「あなたさえいなければ。」まだまだ自分は絵を描き続けていたのに。
「あなたがいてくれたから。」本気で漫画に向き合えたんだ。
藤野と京本にとって、あの雨こそが卒業式を意味するものだった。土砂降りを哀しみの心象として描く作品は数多くあれど、嬉し涙をあんな土砂降りで表現するとは恐れ入る。
2人で1つ。だから進める。でも自分じゃない。
そんな思いがあったのだろう。手を引っ張ってもらえる。いつも前を歩いて、振り返ってくれる。振り向いてくれる。ルックバック。
振り返るといつもそこにいてくれる。だから振り返りたい。別々の道を歩み始めて、振り返ることをしなくなった藤野ちゃんがまた振り返ったのは、ラストの部屋でのみ。
振り返ることで道を知る。だから前にも進めるんだ。
「こうなったらいいのにな。」
誰しもが抱えるそんな淡い願望、濁った諦め。
過去を見つめる。歩んできた道を辿る。後ろにいるから進める。振り返るためには立ち止まらないといけないこともある。
ルックバック。
大満足!
話題の映画だったので観てびっくり!
展開が早く1時間映画とは思えないボリューム感でした。
内容は漫画家青春群像劇でしたが、それだけでは収まらない視聴者の胸をぐっとつかんでやまない魅力がありました。
ストーリーも素晴らしいけど、アニメーション化した監督さんの力量も素晴らしい。
いろんな角度の画角で情景を表現してるのが素晴らしかった。
私が知る中で原作を損なわずアニメ化できた最高傑作の映画でした。
(≧∇≦)素晴らしい映画。
感動して泣くことができなかった。おかしな物言いだ。
最後まで目に焼き付けようとしたのだろうか。こういう焼きつく映画、アニメ出会えて本当に良かったと思う。またこういう映画を見ると帰り道にワナワナしてしまい、2〜3日調子が悪くなる。
今までの人生振り返りお恥ずかしい人生を過ごしてきた小生にとってはとてもキツイ。
こんなにまで大切な友。私にはいませんよ。
あああああ、ワナワナする。
なぜ描くのか
大変な話題作だった原作は未読のまま鑑賞。
原作の発表当時は読まなきゃと思っているうちにSNSに次々と感想が流れてくるような状況で、あの感想はここのことを言っていたのか〜などと答え合わせのように見ました。
何もかもものすごく動く、というわけではなく、動くべきタイミングで動くべき場所がエモーショナルにものすごく動くアニメが心地よく、引き込まれました。藤野や京本が青春の時間の大半を注ぎ込んで向き合った絵というもので、またこの映画の世界も作り上げられているのだという構造だけですでに強い感慨を覚えます。
絵を描いて人に評価されることを知ってしまったがために、喜びにも苦しみにも溢れた世界に飛び込んでいく二人の姿の向こうに、この映画に関わるすべての人の苦労も透けて見える気がしました。
ところでSNSの感想で一番印象に残っていたのは、実在の事件を連想させる出来事が作中で起こることに対する評価や批判です。それに関しては、この時代の一作家のあの出来事に対するレスポンスとして、タイミングはどうあれこのような作品が発表されたことはとても価値があるのではないかと思いました。そのレスポンスの内容については、考察の余地がかなりあって、今もその意味を考えている最中です。
振り返ってもいつか
ルックバック
背景画集に感銘を受けて、(同様に)美術学校に通い、絵への愛情は貫かれる。つまり「藤野との出会い」だけが異なっている。理不尽な出来事自体は、変わらずに起こる。しかし藤野が打ち込んでいたものがそっくり空手に入れ替わり、地元から離れる理由もなく、救うことができる。その後で、藤野がまた漫画家を志したとして、そこからでも二人は一緒にやれただろうか。その後でもまた、一緒に漫画を作って、笑い合いたかった。
離れてデビューして、静かに描いているときに、再会を目指している気がした。いつもまず京本に向けて、物語を紡いでいたように見えた。
突然届いたあの漫画は、いつ描かれたものだろうか。助けてくれたこと、自分を導いてくれたことをいつまでも覚えている。
演出が惜しい
原作勢。ストーリー自体は特に原作との差はなく、一枚絵の補足描写や時系列の整理がされている程度。キャラデザもタツキ先生のタッチでそのまま動いているような印象で、丁寧に作られているんだなと開始数分で思わされた。劇伴も雰囲気によく合ってる!!
ただ、ところどころ少しん?というポイントがみられた(これに関しては完全に私の好き嫌いが入るので的外れな観点かもしれませんが一応気になったので)。
まず4コマ漫画をコミカルなアニメーションにして描写したこと。個人的には声があてられる程度にしてほしかったなぁ。作品の雰囲気的に、極力コミカルな描写は抑えて二人の日常会話とかそっちの方を描いてほしかった。欲を言えば、作品を描いている最中の何気ない会話とか。
あと襲撃犯が京本に言い寄る場面も気になった。凶器持ってて、もう少し速いテンポで言ってるのかと思ってたから違和感が大きかった。
でも全体的にはクオリティの高い一作に仕上がってると思う。エンドロールがとりわけ印象に残った。
漫画読んだからいいや←バカ
絵を描かずにはいられないけど常に嫉妬や羨望、なんか...なんか上手くいかない!!にまみれて挫けそうになる時もあるけど、でもやっぱり好きだから描かずにはいられない で、やっぱりやめとけば良かったなあと思ったらもするけど好きなので描く
そういう屈折した心情が手触り感があり、かつ動きや表情がやけにリアルなアニメーションで表現されていて、それがこの映画がそうした人間に作られているんだろうなあという説得力も相まって泣けるんだなこれが
これはアートである ただの劇場版ではない
漫画読んだから見なくていい訳がない
誰かの背中を追い やがて誰かの光になる
心に輝き続ける星の
ひとつひとつに向けて
敬意を込めたレクイエムは
情熱と魂をこめたその日々が
自分や誰かの人生に聞こえ続ける
応援歌にもなることを
教えてくれてる
自分の場所で前をみすえ続ける姿は
逞しく美しく清々しい
連日のオリンピック競技の様子とも重なり
その精神と才能とたゆまぬ努力をおもい
温かい拍手を送りたい作品だった
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