ルックバックのレビュー・感想・評価
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2人で過ごした時間が愛おしい!
なんて悲しい結末なんだろう。だからこそ、出会い、作品作り、別れ…2人が過ごした時間がとても引き立つ。
それぞれが「彼女のように書けるようになりたい!」と、姿見えぬライバルを目標に、必死に絵の練習した小学時代。春も夏も秋も冬も、無我夢中に描き続け、ヒット作を生み出した中高生時代。
ずっとこんな幸せな時間が続くかと思いきや…引きこもり京本が美大に進むことを告げる。これからデビューなのに…良いパートナーなのに…ショックすぎて、暴言を吐いてしまう藤野。痛いほど、彼女の気持ちがわかる。
ケンカ別れをした後、悲しい事件が起こる。いろんな後悔が頭の中を駆け巡ったんだろう。藤野の気持ちが痛いほどに伝わってきて、涙が止まらなかった。
大量のスケッチブック、藤野のサインが入った半纏、出会いのきっかけとなった4コマ漫画…「もし会わなかったら、こんなことは起こらなかったかも」という気持ちがよぎるものの、本棚に並ぶ藤野のコミックを見ると、別れた後も京本が応援してくていたことが見てとれる。
2人で紡いできた過去があり、今がある。辛く悲しい出来事を胸に、また描き続ける。きっと京本は、側で見続けている、彼女に自慢できる作品を作ろう、と。
シンプルなストーリー展開、セリフではなく描写で真意を語る描き方…だからこそ、登場人物の気持ちがよくわかる。久しぶりに素晴らしい映画に出会ったわ。
温かい良い映画だと思ったけど一転して切なく
面白かったです。
温かい良い映画だと思ったけど、一転して切なくなる。
でも、救いもある。あると思う。
そんな感じの物語でした。
このアニメーションの制作背景は知らないのですが、最近のアニメーションにしては、背景とか絵が細かくないです。
例えるならば、ドラえもん並み。
そういうアニメだと思って観れば気にはならないけれど。
ちょっと言葉にならない。
普段アニメ観ないけど
綺麗な絵だし藤野ちゃんのキャラが人間臭くて面白くってグイグイ観てしまった。お涙頂戴みたいな感想もあったけれど、自分はこれまで京アニ殺人が何処か遠くの出来事のように思っていた状況から一気に近くに引き寄せられた感じ。亡くなった方ひとり一人ひとりにこのコみたいな人生があったんだよなと。
日航機墜落事故や知床遊覧船沈没等は一歩間違ったら起こり得る事として恐怖と悲しみを激しく感じていたが、京アニは自分が関心無いアニメ界の事なのでかなり遠い事件だという感覚だった。この映画で初めて恐怖ととても悲しいという感情にひきこまれた。
改めて京アニの被害者さま達へ御冥福をお祈りします。
雨のシーンは形は違えど誰もが何かしら経験したことがあるのではないの...
それでも生きる
凝縮されたストーリーに好感が持てた
原作未読。
無駄のない作品でとても好印象だった。藤野の育ってきた背景からはじまり、京本と出会い仲良くなっていく様子やふたりの関係性が明確に描かれており迷いなくストーリーを楽しめた。
良かった点として、言葉で語らず描写で表す場面が全編とおして多くよかった。藤野の本棚が話が進むにつれて変化していく様子は胸が熱くなりました。
気になった点として、アマプラで視聴していたが故か挿入曲が入るシーンで音量がバッと大きくなるのが3回ほどあり音量をその度に下げていたため評価下げてしまったが、映画館では逆に相乗効果として高評価になるのかな。ほんとに無駄なストーリーがまるでなく気分よく見られる作品でした。
『ルックバック』したことで気づく絆と成長
2025日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品に輝いた本作。小学校時代から、漫画家を目指してきた2人の少女の青春群像劇。自分の娘も漫画家をしており、高校時代からいろいろな作品投稿をし認められ、集英社からこれまでにも何冊かコミックも出している。しかし、コロナ禍となり、思うように絵が描けなくなり、一時は挫折し、この世界の光と影を味わってきた。今は、背景アシスタントをやりながら、復活を目指して頑張っている。
そんなことで、本作に登場する漫画家を目指す藤野と京本2人の、漫画にかける想いだけでなく、様々なシーンがオーバーラップしてきた。絵を描く部屋や同じスケッチブックが積み重なった様子、当初は、ペンで描いていた原画を今はパソコンで描いている作業、そして美術大学進学か漫画家の選択等、実際に娘の成長を通して、目の当たりにしてきたことである為、より感情移入ができた作品でもあった。
原作は未読だが、『チェーンソーマン』の藤本タツキの作品と言うこと。きっと彼も漫画家を目指した頃の思いが、この2人の姿に投影されているのだと思う。個人的には、京本から「藤本先生の大ファンでした」と告られた後、雨の中、泥水も気にせずに、小躍りしながら家に向かうシーンは、藤野が気持ちの高揚を抑えられない様が、見事に伝わってくる描写だった。また、ジャンプの賞発表を、雪のコンビニに藤野が京本の手を引いて向かい、自分達の名前が掲載されていた時のシーンは、派手な喜びではないが、確実に嬉しさが染み渡るシーンだと感じた。
そんな中、連載が決った時、京本が美術大学進学を選んだ理由として、引きこもりだった京本が、これからの人生を自分で切り開き「藤野に頼らなくても生きていきたい」という、切実な思いが込められていたように思う。一方、京本の才能に最初から気づいていた藤野だからこそ、これまで常にマウントを取っていないと不安だったが、京本の大学進学が、藤野を漫画家として独り立ちさせる後押しになったとも感じた。
ラストには、意外とも言える悲しい結末が待っており、そこで初めてタイトルの『ルックバック』(回想・振り返り)の意味合いの重みも増してきた。そして、卒業式のあの日、藤野が何気なく描いた4コマ漫画が、バタフライ・エフェクトとして、その後の2人の人生に、大きく左右する発端である事が意味づけられる展開は、作者のストーリーテラーとしての巧みさを感じた。
泣くしかない、だけど進むしかない
映画館で見ればよかった
歩み
なんか、胸に詰まる。
漫画家の話だ。
漫画家になるまでと漫画家として生きていく話ではあるけれど、人生訓のようなものがいっぱい詰まってた。
「一意専心」なんて言葉が浮かぶ。
脇目も振らず邁進していく意味だと思うのだけれど、その行為に支払われる対価は「時間」だ。
小学生から物語は始まり、22歳くらいまでが描かれるのかな?彼女達は人生の大半を漫画に食い潰されるような描き方だった。
その消費されていく時間に、努力なんてものが引き合いに出されるのだけれど、積み重なる尋常じゃないスケッチブックの物量を第三者が「努力」と誤解するのかもしれないと思った。
京本は言う「他にやる事がなかった」
コレは努力から派生する言葉ではない。彼女にとっては別の目的でスケッチブックは積み重ねられていく。その歩みの先に「漫画家」があった時に美談として語られるエピソードにはあたるだろう。
偏に、持って生まれた才能の発露に過ぎないんじゃないかと思われる。
2人は何年も机の前で過ごす。
何時間も何日も、机に向かいペンを走らす。
コレも努力じゃないんだと思う。必要であり彼女達にとっては普通の事だ。
それを異常に感じる当事者以外の者たちが「努力」と後付けの説明をするのだろう。異常を異常と感じず日常にできる人種でないと住めない世界なのだ。
京本は通り魔に襲われて死ぬ。
袂を分けた2人がまた組んで漫画を描く未来に期待したのだけれど、そんな綺麗事は起こらなかった。
京アニの事件を彷彿とさせる内容…胸が掻きむしられる思いだ。嫉妬にしか捉えられない。劣等感を拭い去る為に他者を排除する…何一つ生産性のない解決策で、誰かを排除しても他の誰かが代頭する。どんなに困難に思えても自分を磨くのが1番の近道で、ゴールが全く見えなくてもやり続けるしか手がない。
そして、通り魔でなくとも人は死ぬ。
誰しもに平等に「死」は訪れるのだ。その先にあるのは「無」である。フジモトとの未来も、京本の絵の完成も、全ては実現できなくなる。
どんなに惜しまれても取り返しはつかない。
…儚い。
途中に挟まれるパラレルワールドには面食うのだけど、フジモトの願望なのかもしれないし、アンサーである4コマは偶然の一致なのかもしれない。
京本の死を乗り越えて彼女はまた机に向かう。
他に出来る事が無いからだし、やりたいと思う事もないのだろう。骨の髄まで「漫画家」であり、プロフェッショナルの正体でもあるのだろう。
アンサーの4コマで、フジモトの背中にはツルハシが刺さってて血みどろである。だが高笑いをして去っていく。ベタな落ちではあるけれど、アレもプロとしての生き様なんだと思う。裏で血反吐を吐こうが、ボロボロになってようが観客や読者には見せない事の揶揄に思えて仕方がない。
そんなメッセージを京本が込めたわけではなく、むしろフジモトが気づいたのだろうなとも思う。結果として京本はうずくまるフジモトの背中を押した。
ルックバックは様々な解釈ができていて優れたタイトルだと思う。
軌跡を「振り返る」事でもあるし、作中に差し込まれる「背中を見て」の訳は、京本が見てたフジモトの「背中」でもある。それは京本が大事に持ってたフジモトのサイン入りのチャンチャンコの背中でもあって、押された背中を振り返れば、その背中を押した人が必ずいて、独りではないんだとのメッセージも含まれるような気がしてる。
そして、フジモトは京本に背中を押されて、再度ペンを取る。
ファンがいる。
自分の作品を楽しみにしてくれている読者がいる。
きっとそんな事を、あのチャンチャンコから感じたのではあるまいかと思う。
原作は未読であるが短編らしい。
とても情緒豊かな語り部であったと思う。
多くは語らず…が、雄弁に問いかけてくる作品だった。
こういう展開にならない世界線も観てみたかった。と思ったら
尺は短いけど心に沁みる良作
大いなる人間讃歌を感じる話
感想
大評判の作品。気になっていたがやっと観れたー。
だけど私はアニメファンではない。ただの映画好きだ。しかし、
人が想いを馳せその先の目標に向う姿。
さらにひたむきに何かに取り組む姿。
一心不乱にのめり込む。
絵が上手くなりたい一心で描き続ける。
描き続ける。描き続ける。描き続ける。
描き続ける。
とにかく描く。それでも描く。描き続ける。
描き続ける。
描き続けるー。
一つのことをやり続ける事。どんな事でもやり続け、その事を極めた者だけが見ることの出来るその先の景色。
真摯に真面目に取り組んで創るからこそ、そこには人が感動する何かが必ず生まれる。
真摯に真面目に。悶え這いつくばりながらー。
それでも描き続ける。
一心不乱に取り組んでいるからこそ、生きる意味を意識し、喜び、悲しみ、苦しみを実感することが出来る。そこから搾り出された様々な想いが作品として反映され素晴らしい絵になり、漫画となり、更にアニメーションになり、そして映画という総合芸術作品となっていく。
その最も基本的で重要な、且つ熱量を持って創造する事の意味ときっかけとなる原点を再び思い出させてくれる作品がこのルックバックであると感じた。
原作・演出・脚本・音楽全てがバランス良く配合され其々が素晴らしい作用をもたらしている。本質論をダイレクトにかまされた感じで鑑賞後清々しい程に気持ちが良い。手塚作品以来久しぶりに見るカットなしロングで手描きにこだわりを見せたオープニングの夜景全景から天地逆となり上空から地上の建物へ俯瞰される多次元的なシーンや机上の4コマ漫画へのズームシーン、そして(秋田鳥海山?)季節毎の変わりゆく美しい風景。藤野歓喜の躍動と激走など数々のシーンに制作者の真摯で真面目な気持ちが伝わってきて素直に驚き感動した。
また、藤野と京本双方がお互いを思い遣る気持ちが二人が初めて出会った場所(京本の部屋の入口の扉)に於いて現在の世界線とは別の(世界線って複数あるのか)世界線で生きる京本へ繋がるワームホールポイントである話が亡くなってしまった者へもう一度会いたいという気持ちが強くあるのだという事を観るものに印象深く感じさせ涙を誘う。京本の部屋の中で後を振り返ると藤野が初めてサインをした褞袍が!
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私自身は今までノールッキンバックの精神で人生を生きてきた。その生涯も半ばを過ぎる頃には様々な社会的、身体的ハプニングが起きたりして、時間的停滞による生活の変化や気持ちの変化が現れて迷いを生じさせることもあった。しかし人生をルックバックすることで自分の原点は何だったのか、置いてきた大切なものはないか、忘れていることはないか。を本当に今一度再確認する事も悪くない!と本作を夜中にひとりで観て力を与えられたような気持ちになり感動し、人間の行動の素晴らしさを大いに賛美しその登場人物達に自分の人生を重ねて共感したのだ。
制作者の皆様へ、素晴らしい作品を創造していただきありがとうございました。本作を鑑賞して素直に生きる希望を与えられた気持ちになりました。ありがとうございます。
歴史的大傑作の予感 ⭐️5
食わず嫌いは勿体無い
アニメ見ない、興味ないという人にも是非すすめたい作品。
1時間だし軽く観れるかなと思いきや、中身はぜんぜん軽くなかった。
とても濃厚な1時間だと感じた。
声優を務めたお二人も良かった。
河合優実さんが出演する作品って本当に良い。
私の中では今のところハズレなし。
ヒーローとルックバック
何も前情報もなく1時間程度だと気軽に観始めてこれは反則でしょ。最高でした。
漫画と言えば、特にジャンプ漫画と言えば、弱きを助けるヒーローでしょうか。
京本にとっては、卒業のときに出会っていても仮に出会わなくても、藤野はヒーローだった。
ヒーローは背中を見せて人を導くけど、ヒーローだって過去を見つめ、もがきながらも前を向いていく、そんな生身なヒーローを、とても1時間とは思えない濃厚な時間で堪能できました。
ありがとうございます。
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