劇場公開日 2024年6月28日

「『ルックバック』したことで気づく絆と成長」ルックバック bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5『ルックバック』したことで気づく絆と成長

2025年3月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

2025日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品に輝いた本作。小学校時代から、漫画家を目指してきた2人の少女の青春群像劇。自分の娘も漫画家をしており、高校時代からいろいろな作品投稿をし認められ、集英社からこれまでにも何冊かコミックも出している。しかし、コロナ禍となり、思うように絵が描けなくなり、一時は挫折し、この世界の光と影を味わってきた。今は、背景アシスタントをやりながら、復活を目指して頑張っている。

そんなことで、本作に登場する漫画家を目指す藤野と京本2人の、漫画にかける想いだけでなく、様々なシーンがオーバーラップしてきた。絵を描く部屋や同じスケッチブックが積み重なった様子、当初は、ペンで描いていた原画を今はパソコンで描いている作業、そして美術大学進学か漫画家の選択等、実際に娘の成長を通して、目の当たりにしてきたことである為、より感情移入ができた作品でもあった。

原作は未読だが、『チェーンソーマン』の藤本タツキの作品と言うこと。きっと彼も漫画家を目指した頃の思いが、この2人の姿に投影されているのだと思う。個人的には、京本から「藤本先生の大ファンでした」と告られた後、雨の中、泥水も気にせずに、小躍りしながら家に向かうシーンは、藤野が気持ちの高揚を抑えられない様が、見事に伝わってくる描写だった。また、ジャンプの賞発表を、雪のコンビニに藤野が京本の手を引いて向かい、自分達の名前が掲載されていた時のシーンは、派手な喜びではないが、確実に嬉しさが染み渡るシーンだと感じた。

そんな中、連載が決った時、京本が美術大学進学を選んだ理由として、引きこもりだった京本が、これからの人生を自分で切り開き「藤野に頼らなくても生きていきたい」という、切実な思いが込められていたように思う。一方、京本の才能に最初から気づいていた藤野だからこそ、これまで常にマウントを取っていないと不安だったが、京本の大学進学が、藤野を漫画家として独り立ちさせる後押しになったとも感じた。

ラストには、意外とも言える悲しい結末が待っており、そこで初めてタイトルの『ルックバック』(回想・振り返り)の意味合いの重みも増してきた。そして、卒業式のあの日、藤野が何気なく描いた4コマ漫画が、バタフライ・エフェクトとして、その後の2人の人生に、大きく左右する発端である事が意味づけられる展開は、作者のストーリーテラーとしての巧みさを感じた。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2025年3月20日

CBさん(^^)コメントありがとうございます😊
最初の布石がしっかりと意味あるモノへと回収されていましたね。

bunmei21
CBさんのコメント
2025年3月20日

> 作者のストーリーテラーとしての巧みさ
ホントに‼️

CB
bunmei21さんのコメント
2025年3月19日

seiyoさん(^^)コメントありがとうございます😊好きな仕事…その通りですね。その点は、幸せだと思ってます。再起する事を願ってます。

bunmei21
seiyoさんのコメント
2025年3月19日

こんばんは〜。共感ありがとうございます😊

娘さんに、エールを送りたいです。

好きな事を仕事にできる人は、ほんの一握りしかいないと思います。
大変とは思いますが、幸せな事だと思い、頑張って欲しいです

seiyo
bunmei21さんのコメント
2025年3月19日

ひなさん(^^)コメントありがとうございます😊
漫画をモチーフに少女達の成長と絆を描いた素敵な作品だと思いました。
ルックバックの意味は、その時は分からなくても、いつか振り返ってみたくなった時、分かり合えるものなのかもしれませんね。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2025年3月19日

Moiさん(^^)コメントありがとうございます😊
我が娘ながら、幼い頃から絵を描く事が好きで、高校生でデビューしましたが、なかなか思うようにいかなくて、大変な世界に飛び込んだと思っています。が、娘なりの歩みを見守りたいと思います。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2025年3月19日

トミーさん(^^)いつもコメントありがとうございます😊
漫画でなければ描けないシーン、映画でなければ描けないシーンがそれぞれあり、それぞれの良さでもあららまさしくでもあららまさしくでもありますね。

bunmei21
トミーさんのコメント
2025年3月19日

共感ありがとうございます。
漫画家は、小説や映画以上のストーリーを時に産み出す事がありますよね。この作品は別の世界線とか、多分に映画的手法が使われてたと思いました。

トミー
Moiさんのコメント
2025年3月19日

本作は作品の作り手の信念や想いを素直に感じる事が出来た素晴らしい映画でした。bunmei21さんのお子様も漫画を描いていらっしゃるとの事、継続し続けるという事は並大抵の努力ではいかない大変な事と思いますが苦労して生まれた作品は後々その時その場所に生きた証としてlegacyとなり後世の人の目に触れる機会があるという事であり、大変意義深い事です。他人なのですか頑張れ!とエールを送りたい気持になります。

Moi
ひなさんのコメント
2025年3月19日

bunmei21さま
共感とフォローバック、ありがとうございました。
『ファーストキス』と『正体』にも、共感ありがとうございました。

『ルックバック』のレビューはレビューと呼べない黒歴史なので、『侍タイムスリッパー』と『夜明けのすべて』のレビューはまだマシかなと思っています。

「ルックバック」の意味、ずっと考えています。
「振り返って見る」「背中を見る」「背景画を見る」「過去を振り返る」…
またいつかこの作品を思い出した時、何か気付くかもしれません。

ひな