「大いなる人間讃歌を感じる話」ルックバック Moiさんの映画レビュー(感想・評価)
大いなる人間讃歌を感じる話
感想
大評判の作品。気になっていたがやっと観れたー。
だけど私はアニメファンではない。ただの映画好きだ。しかし、
人が想いを馳せその先の目標に向う姿。
さらにひたむきに何かに取り組む姿。
一心不乱にのめり込む。
絵が上手くなりたい一心で描き続ける。
描き続ける。描き続ける。描き続ける。
描き続ける。
とにかく描く。それでも描く。描き続ける。
描き続ける。
描き続けるー。
一つのことをやり続ける事。どんな事でもやり続け、その事を極めた者だけが見ることの出来るその先の景色。
真摯に真面目に取り組んで創るからこそ、そこには人が感動する何かが必ず生まれる。
真摯に真面目に。悶え這いつくばりながらー。
それでも描き続ける。
一心不乱に取り組んでいるからこそ、生きる意味を意識し、喜び、悲しみ、苦しみを実感することが出来る。そこから搾り出された様々な想いが作品として反映され素晴らしい絵になり、漫画となり、更にアニメーションになり、そして映画という総合芸術作品となっていく。
その最も基本的で重要な、且つ熱量を持って創造する事の意味ときっかけとなる原点を再び思い出させてくれる作品がこのルックバックであると感じた。
原作・演出・脚本・音楽全てがバランス良く配合され其々が素晴らしい作用をもたらしている。本質論をダイレクトにかまされた感じで鑑賞後清々しい程に気持ちが良い。手塚作品以来久しぶりに見るカットなしで手描きにこだわりを見せたオープニングの夜景全景から天地逆となり上空から地上の建物へ俯瞰される多次元的なシーンや机上の4コマ漫画へのズームシーン、そして(秋田鳥海山?)季節毎の変わりゆく美しい風景。藤野歓喜の躍動と激走など数々のシーンに制作者の真摯で真面目な気持ちが伝わってきて素直に驚き感動した。
また、藤野と京本双方がお互いを思い遣る気持ちが二人が初めて出会った場所(京本の部屋の入口の扉)に於いて現在の世界線とは別の(世界線って複数あるのか)世界線で生きる京本へ繋がるワームホールポイントである話が亡くなってしまった者へもう一度会いたいという気持ちが強くあるのだという事を観るものに印象深く感じさせ涙を誘う。京本の部屋の中で後を振り返ると藤野が初めてサインをした褞袍が!
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私自身は今までノールッキンバックの精神で人生を生きてきた。その生涯も半ばを過ぎる頃には様々な社会的、身体的ハプニングが起きたりして、時間的停滞による生活の変化や気持ちの変化が現れて迷いを生じさせることもあった。しかし人生をルックバックすることで自分の原点は何だったのか、置いてきた大切なものはないか、忘れていることはないか。を本当に今一度再確認する事も悪くない!と本作を夜中にひとりで観て力を与えられたような気持ちになり感動し、人間の行動の素晴らしさを大いに賛美しその登場人物達に自分の人生を重ねて共感したのだ。
制作者の皆様へ、素晴らしい作品を創造していただきありがとうございました。本作を鑑賞して素直に生きる希望を与えられた気持ちになりました。ありがとうございます。
歴史的大傑作の予感 ⭐️5
『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』への共感&コメントもありがとうございました!
自分もそんなにアニメをたくさん見る人間ではないのですが、この作品は2024年最大の収穫だったと思ってます。
ウォレスとグルミットは本当に楽しいシリーズですよね!
『仕返しなんてコワくない!』も必見のクオリティですよ!