劇場公開日 2024年6月28日

「なりたかったのは、背中で語れる「ヒーロー」なんだ!」ルックバック ヤマヤマヤマさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0なりたかったのは、背中で語れる「ヒーロー」なんだ!

2024年6月28日
スマートフォンから投稿

『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』といったヒーローものを手がけてきた藤本タツキが、今作を生み出した必然性を感じた。

主人公・藤野は、相棒役・京本にとっての憧れの的であろうと必死だった。
京本の前では絶対に弱音を吐かないし、どんなにチヤホヤされても舞い上がることなんてしない。少し貫禄を見せるぐらいが丁度いい。
また、日頃から努力を怠らず、自分たちが進むべき道を「言葉」ではなく「行動」で示す。常に一歩先を行き、手本となり、導いてあげる。
そして、もし相手が困っていたら必ず助けに行き、得意な必殺技をキメる……。

そんな藤野もまたヒーローモノのマンガ(シャークキック)を執筆していて、彼女はクライマックスで自身の作品を読んで涙する。それは、京本からのメッセージのお陰で、自分の行動原理の根っこに「ヒーローになりたい」という想いがあることを再発見したから。そして京本が自分のことをヒーローとして認め、ヒーローを描き続けてきた人生は決して間違っていなかったと、全肯定してくれたからではないだろうか。

あと、チェンソーマン読者が思わずニヤリとするような描写が作中に散りばめられている。現在制作中の映画『チェンソーマン レゼ編』公開が俄然楽しみになった。

ヤマヤマヤマ