室町無頼のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
室町時代(15世紀)中期、大飢饉と疫病が国を覆っている。
京の洛外、加茂川の畔では、毎日のように大量の死体が焼かれている。
が、洛中では民のことなどお構いなしの生活。
比叡の僧たちは民々に高利貸しをし、返せないとなれば、人身売買や奴隷労働が常だった。
そんな中、河内の郷では一揆の支度が進められていると知った洛中洛外警備の長・骨皮道賢(堤真一)は、無頼の武芸者・蓮田兵衛(大泉洋)に一揆の阻止を請け負わせる。
蓮田は、骨皮から受け取った銭を郷の者たちに渡すとともに、いまは時期ではないと諭して、一揆を未然に防ぐ・・・
といったところからはじまる物語。
史実として、一揆があり、一揆勢の大将は蓮田兵衛との名があるのみ。
ストーリーはフィクション、とみるのが正解だろう。
大飢饉と疫病に覆われた民草の凄まじい状況が描かれる冒頭から、あっと言わされる。
セットや美術が素晴らしい。
また、主人公がなかなか登場しないあたりもいい。
劇伴はマカロニウエスタンか「必殺」シリーズのそれで、このあたりも含めて、東映時代劇のごった煮感がある。
ごった煮感はその他、主人公の弟子となる「蛙」と呼ばれる若者(長尾謙杜)を準主役にして、彼が六尺棒使いの武芸者になるまでのサイドストーリーを盛り込む。
若者を実際に指導するのは、正体不明の老人(柄本明)であり、老人の補助にふたりの朝鮮渡来の武芸者男女を配している。
このあたりは、かつて東映が本邦へ紹介したジャッキー・チェンの「○○拳」シリーズのよう(女武芸者は志穂美悦子ね)。
クライマックスは、主人公率いる一揆勢と骨皮率いる警護勢との衝突。
東映お得意の集団抗争へとなだれ込む。
一揆以降もアクションシーンが続くのだが、そこはちょっと長いなぁと感じる。
ひとつ前ぐらいで終わらせて「続編に期待!」の手もあったようにも思えた。
主人公・蓮田兵衛は大泉洋の個性も活かされ、魅力あり(『探偵はBARにいる』シリーズとあわせて、大泉洋と東映の組み合わせは良い感じ)。
骨皮道賢演じる堤真一も悪くない。
「蛙」演じる長尾謙杜は、アイドルグループの一員ということだが、顔つきがアイドルっぽくないあたりはいい。が、やはり、ここは若い頃の真田広之レベルがほしかったかなぁ。
その他、前野朋哉や芹澤興人など、一揆勢の面々の面構えや好し。
お、続編は無理でも前日譚なら作れるね。
『蓮田登場』だね。
室町時代
非常に面白く見せて貰いました。
室町時代ってどんな人達が居た時代なのか、歴史には疎いのでよく分からないのだが確か一休さんのアニメはこの時代ではなかったか。足利将軍だったか。
描かれてることは今現在にも通ずるとこもあり、コロナや増税で苦しんでいる現代人も同じではないかと。
室町時代の経済の仕組みがよく分かりますが、もっと勉強したいと感じました。
しかし、一揆が起きないと徳政令が出ないとか地獄のような時代ですね。
あっ、今も一緒か(笑)
俳優の演技が光る…!
予告で気になり、鑑賞。
洋画と比べるとどうしても映像の迫力や音楽の重厚さに物足りないところを感じてしまう所もあったが、
それを俳優の演技がカバーする素敵な映画で最後は泣いてしまった。
主演の大泉洋さんは飄々としながらも、
その人間力で人を惹きつける役が、
俳優としての彼そのものの魅力だった。
堤真一さんは敵役ながらも憎めない役柄で
黒い衣装も相俟って圧倒的存在感だった。
才蔵役の長尾謙杜さん、
当方とても芸能人に疎いため、
「なにわ男子」のメンバーということを知らずに拝見したのですが、
目力と作品が進むにつれてどんどん変わっていく表情や仕草にとても役作りをされたのだろうなと尊敬しました。
一つ目の修行の釘の打ち込み、とても格好良かった…!
室町時代の民の暮らしは厳しいものだったことを映画を通して知り、日本史も改めて学び直したいと思った。
大泉洋さんがこんなにかっこよく見えるなんて…
テレビの番宣や予告で気になって鑑賞!
1461年、応仁の乱前夜の京みやこ。
大飢饉と疫病がこの国を襲った。
賀茂川ベリにはたった二ヶ月で八万を超える死体が積まれ、人身売買、奴隷労働が横行する。
しかし、時の権力者は無能で享楽の日々を過ごすばかり。
貨幣経済が進み、富める者はより一層富み、かつてない格差社会となっていた。
蓮田兵衛は、己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぐ自由人。
各地を放浪する彼の眼差しは、ひとり遠く、暗黒時代ダークエイジの夜明けを見つめていた。
一方、才蔵はすさまじい武術の才能を秘めた若者。
天涯孤独で餓死寸前を生き延びたが、絶望の中にいた。
しかし、兵衛に見出され、鍛えられ、才蔵は兵法者としての道を歩み始める。
才蔵の武器となるのは、“六尺棒”。
地獄の修行を終えた時、超人的な棒術を身につけた才蔵の前に敵は無い―。
時は来た―。
才蔵だけでなく、抜刀術の達人、槍使い、金棒の怪力男、洋弓の朝鮮娘ら、個性たっぷりのアウトローたちを束ねる兵衛。
ついに巨大な権力に向けて、京の市中を舞台に空前絶後の都市暴動を仕掛ける。
行く手を阻むのは、洛中警護役を担う骨皮道賢。
兵衛と道賢はかつて志を同じくした悪友ながら、道を違えた間柄。
かつては道賢、いまは兵衛の想い人である高級遊女の芳王子が二人の突き進む運命を静かに見届ける中、“髑髏の刀”を手に一党を動かす道賢に立ち向かい、兵衛は命を賭けた戦いに挑む。
というのがあらすじ!
世紀末みたいな、ゾンビ映画、マッドマックスみたいな感じの雰囲気の映画でした!
格差社会がすごかったですね…
死体の山積みにされてるし道の至る所に飢えてる人がいるし…
実際はどうだったのかはわかりませんがすごかった…
蓮田兵衛は大泉洋さんが演じてましたけどこんなにかっこよく見えたのははじめてかも…?笑
コメディの印象が強かったですしアクションあんなにできるなんて意外でした😳
すごかったです!
そして才蔵もすごかったですね!
最初は叫びまくっててうるさいって思ってました笑
でも成長していくうちにそんなことはなくなってめちゃくちゃ強くなりましたね!
修行のシーンは過酷すぎるなと思っちゃいました笑
二条通りでの一揆のシーンの最後らへんは鬼神のような強さでしたね
全員ぶっ潰すからのシーンは強さが圧倒的でしたし迫力もすごかったです!
気になったのが蓮田兵衛は亡くなったけど他のメンバーはどうなったのかな?
才蔵だけしか生きてない感じ?
そして蓮田兵衛と骨川道賢との友情が熱かった!
最後は悲しかったけど兵衛の近くに座って噛みしめてる姿はぐっときましたね…
あと松本若菜さんもすごく妖艶で美しかった…
みなさんのアクションすごかったし演技が素晴らしかったです!
史料では蓮田兵衛は一行しか載ってないらしいですが話がここまで広げられてるのはすごいですね!
とても面白い映画でした!
ありがとうございました😊
オススメできます。また新しい歴史映画の名作
ストーリー(盛りだくさんで退屈する間がない)、テンポ(疲れないギリギリなライン)、役者さんの演技、映像(ロケーション)、音楽(ちょっとダサめなところとか、一揆のシーンとか)全て文句無しです。
ラストは、描いてほしい様なところまで描いていて、A級映画に感じる「胸くそ悪さ」が無くて、ハッピーエンディング派としてはありがたかったです。
名画にするにはラスト10秒をカット(気配の辺りでエンド)しがちかもしれませんが、鑑賞後、良い気分で退館するには大事な部分だと思いました。
世界感を邪魔しないギリギリの笑い所も最後まで飽きずに観られる部分だと思います。
歴史物は硬くて敬遠、という方にも観てほしい。
いつもは娘と鑑賞しますが、今回は一人でレイトショーで。それで正解でした。大人の楽しみな一本
幕の内弁当!
室町時代を設定とする時代劇は少ないので珍しいし、思ったよりずっーと楽しめた。まるで幕の内弁当みたいだ。
音楽はちょっとダサめなThe時代劇のどっかで聞いたことのある曲だ。友情で人が集まっていくのはキングダム。そして、武芸の師匠は柄本明が素晴らしすぎる。見た目は酔拳の師匠、やってることはベスト・キッドのパットモリタ。三宅ひろきと堤真一が出てきて劇団新幹線テイスト!と思っていたら後半に少人数で攻め込むシーンはまさに劇団新感線の髑髏城の七人だ!
堤真一が死んでいくシーンは泣けた!
とにかく長尾謙杜のキャスティングが手垢がついてない感じでとても良かった!
武田玲奈はえ?出てた?と後から思うほど、黒かったしセリフがなかったから違う女優さんと勘違いしてました。
北村一輝がちょっと可哀想な役を全うしてました。
松本若菜は強い男だったら誰でもいいんか!という役どころだったけど色気があって誰もが吸い寄せられる感じが納得しました。
きっと第2弾があるとすればあのみんなと遊びに馴染めない子を今度は鍛えるんだろうな。その頃には師匠はもう、高齢すぎるから武田玲奈の出番だな!
才蔵が良かった
実は半分くらい才蔵の成長物語で、才蔵役の長尾謙杜さんがとても良かったです
大泉洋さんと堤真一さんのやりとりとか、ずるいくらい面白かったし、松本若菜さんは魅力的だし、ほんと楽しめました
意外と平凡な時代劇だった
令和の時代劇なのか、時代劇仕立ての令和の映画なのか、アクションシーンてんこ盛り、CGをふんだんに使い、会話も今風、コメディ要素も入れて、音楽はエンニオ・モリコーネのマカロニ・ウエスタン風、昭和の頃こんなBGMのテレビ時代劇を観たような気がします。
「歴史書にたった一行記されている人物」で、誰も彼のことを知らないんだから、もっと自由で大胆なフィクションができたはず。
見かけは派手で大作だが、内容はありふれていて捻りもなく、すべて予想の範囲内で面白みがない。
蓮田兵衛とその仲間たちが生き延びたら良かった。
堤一派が兵衛側につくどんでん返し、兵衛はその後、才覚を活かして大商人になり、ともに一揆を扇動した仲間たちと船を操り貿易を行ったとか、ふてぶてしく生き延びて観客ともども快哉を叫ぶような話だったら痛快で良かったのに。
テンポが良くなく冗長な気がする。
全体的にメリハリがなく平板で、一揆のシーン以外は盛り上がりに欠ける。
兵衛がどれほどの人物なのかいまいち分からない。
そもそも大泉洋が役に似合っていないような。
カリスマ的な魅力ある人物にしたかったのだろうが、重いパートの演技がしっくりこなくていまひとつ魅力がない。殺陣もいまいちだったような。
才蔵の修行のシーンがベスト・キッドか初期のジャッキー・チェン映画みたいで浮いていた。笑いが口元で立ち消えてしまうくらいのコメディ感で微妙。
群衆が松明を掲げて京の街を走り抜ける一揆のシーンはさすがに圧巻で、「借金棒引きだぞ」と叫べばみんな我先に仲間に加わる、上手い人集めのフレーズだと思った。女たちまでわらわらと参戦して悪徳高利貸しの店や倉庫、自宅を次々壊し火をつけたら、集まった人々は狂乱じみたハイになって、ええじゃないかみたいになりそうで納得。
一方で死んだ人、死人を抱えて泣く人もきっちり描かれていた。
証文は確実に燃やしたほうが良いと思う。
マクロファージ先生は相変わらず美しく凛としてなおかつ可愛らしい。
先生に男にしてもらったら、そりゃあ才蔵は思い出しにやにやが止まらないよね。
才蔵役の長尾謙杜くん、良かったです。
残酷描写が多い。
飢饉と疫病で亡くなる人、一揆で命を落とす人、死体や死人の数では、もしかしたら邦画史上最多では。知らんけど。
期待しすぎた面もあるが、意外と平凡な映画だった。
才蔵の成長劇と現代に通じる室町の政治
まず、何より才蔵の成長劇が凄かった。兵衛に拾われた時は死にかけでボロ布みたいな少年だったけど、修行していくにつれて最初と同じ人だとは思えないくらい成長してる。顔つき、体つき、内に秘める芯の強さとか、もちろん棒術の成長も本当に凄かった。一揆のシーンで才蔵が現れた時、きたーーー!!!ってなった。彼がいれば、勝てる、、!感が半端ないし気持ちいいくらいなぎ倒していくのが最高しでた。才蔵の棒術を見るために映画に行ってもいいくらいでした。
そして室町の腐った世の中が、今の日本への皮肉のようで、、、権力を持つ一部の人間が贅沢の限りを尽くし、民のことは放りっぱなし。「民のために使わんで何のための税じゃ!」って言うのが印象的でした。
一揆のシーンは本当に圧巻です。民の怒りが爆発して権力に立ち向かう。まさに日本版レ・ミゼラブルとか言われてるのに納得します。爽快劇であるけれどとても考えさせられる作品だし、一揆の後のシーンはうるっとしました。
時代劇興味無いかなって人も見やすいし、爽快で気持ち良かったです。
単調かも
金閣が出来て銀閣が出来た時代
平安時代に続いて貴族的な文化が戻り
中国との交易が盛んになり
貨幣中心に移行する社会で
世界では重商主義が始まる
映画自体は殺陣中心で良かったが
室町らしさが出てこない
日野富子とかの時代だろうけど
説明不足か
花の御所も入り口だけじゃな?
どうして二条なの?
そう言った説明をすっ飛ばして
一揆で徳政令を求めてと?
宗教的にも庶民が力を付け
大阪で宗教国家ができる下地があり
京都や奈良でも宗教が強かった時代
どうなんだろう?
そう言ったモノが気にならない人には良いが気になって仕方がない
新時代のアクションスター現る
IMAXで見ました。
前評判通り、これまでで一番かっこいい大泉洋が見られました!
しかしそれ以上に目を奪われたのが才蔵の存在。
小さく細く真っ黒で滑舌も悪く、頼りない少年が、辛い修行を経て成長する姿は、少年ジャンプの主人公のようでした。
もし日本でドラゴンボールの実写化をするなら、長尾くんに孫悟空をやってもらいたい!と思いました。笑
才蔵に未来を託す、兵衛と骨皮道賢との友情に涙しました。
そしてラストシーンの才蔵のなんと精悍で美しいこと!
京を離れた10年の間の月日が、その表情で見て取れるようでした。
長尾謙杜くん、新たな時代のアクションスターが生まれたかもしれません。
無頼とは…
みなさんは大泉洋さんの幻の妄想作品、「喧嘩太鼓」はご存知ですか?あの荒々しい漢の物語。
上半身裸で激しく太鼓を連打!連打!連打!!
荒々しくバチを打ちおろす!!
私はいつ大泉くんが半裸になるのかずっと待っていましたが、残念ながらこの作品ではそんなシーンがはございませんでした。
個人的にはふんどし一丁ででっかい太鼓を荒々しく叩いて欲しかったのですが…。
とにかく最初から最後まで大泉くんはカッコいいんです。カッコ良すぎるんです。殺陣はもちろん、時代劇の役柄はとても似合ってます。相手役の堤さんも最後までカッコ良かった。そして何よりこの物語で一番強くなった長尾くん!最後は無頼を受け継いで立派な漢になっていました!
ストーリーとしては徳政令の為に一揆を起こすだけの物語です。
一揆のため、荒くれ者たちが続々と大泉くんの周りに集まって来るところは、なかなか胸が熱くなりました。どう考えても一揆側は不利なのに、抜群の戦術で幕府側へどんどん攻め入って行くところは痛快です!
最後は無事、借金の帳簿を全て燃やして村人全員踊り狂って終わりかと思いましたが、その後は無頼の精鋭たちが本堂まで攻めます。
幕府の侍たちがわちゃわちゃ出て来て、あーこれでみんな死ぬんだろうなと思いましたが、まだ死にません!
大泉くんも足を刺されて動けなくなったその時!
長尾くんがブチ切れて六尺棒でバタバタと侍たちを倒していきます。あれよあれよと無双して堤さんにもドスッと一撃喰らわせます。
フラフラになりながらも、大泉くんと門の前に「無頼」と書かれた書き初めを貼り付けて、めでたしめでたし…。
かと思いきや、河原へトドメを刺しに堤さん御一行がやって来ます。手負いの大泉さんは覚悟を決めて、長尾くんへ手を出すなと諭し、大泉くんと堤さんのタイマンが繰り広げられます。
ザクッと堤さんに斬られ、ぶら下げだひょうたんと共に大泉さん死す。
それを見届けた長尾くんはひょうたんだけ拾って去る。トドメを刺した堤さんは泣きながら空を見る…。
最後の最後に長尾くんは立派な無頼の姿になって松本若菜さんの前に現れて、終劇。
無頼とは…この時代に居なくてはならない存在だったのだろうと思います。
幕府に刃向かう荒くれ者かもしれませんが、弱きを助ける姿はとても感動しました!
★が一つないのは、長尾くんの師匠、柄本明さんが戦場にいなかった事ですね…。どんな役で出るのかなと思っていたら、蛇拳や酔拳のユエンシャオティエンのような出で立ちの師匠役でした!
あの修業シーンは蛇拳や酔拳を彷彿させるインパクトのあるシーンだっただけに、柄本さんも最後に一揆に加わって無双して欲しかったです。
次回作は、脚本、監督、主演、主題歌大泉洋、「喧嘩太鼓」でお願いします!!
難しくなくて見やすかった
時代劇はテレビで時々見るくらいだった私でもどういう時代でどんな物語なのかが理解できた。
ラストの才蔵がボロボロになりながらも戦っている姿は痛快で感動した。
主役は大泉じゃなかった
カエル君成長物語みたいだった。
一揆のゴチャゴチャ感がありKINGDOMの戦闘シーンを見慣れてるのでどうかな?と思う。喋れない女助っ人もな〜堤の手下の女もな〜松本若菜以外は存在感希薄。途中からどんな結末にするのか早送りしたいくらいだった。あと鉄砲隊はいないんだね?室町時代なら出てきて蹴散らせられそうな気もした。あ〜なるほどとなる伏線回収劇も弱いし、何だかな〜他レビューにもあるとおりBGMも確かに弱いわ
無頼の生きざま
『SHOGUN/将軍』『侍タイムスリッパー』のヒットで、例年以上に熱い視線が注がれた時代劇。
やはり時代劇人気は不滅。だって、日本人だもの。
そんな絶妙のタイミングで、新年の幕開けと共に大作時代劇が公開。
が、週末興行ランキング初登場7位とは侘しいスタート…。
パッと見の題材や話の取っ付き難さの印象はあったかもしれない。
室町時代、武士階級として初めて一揆を起こした牢人、蓮田兵衛。
時代劇でよく時代設定になる戦国時代や江戸時代ではない。室町時代ってどんな時代…?
実在の人物が主人公。知らないと話についていけない…?
一揆など歴史の勉強みたいで堅苦しそう…?
これらに疎くとも見れるが、それでもまだ不安があるのなら、兵衛に預けられた青年・才蔵の成長物語として見るといいだろう。実際原作小説でも彼が実質主人公となっているようだ。
没落武士の子。天涯孤独で、夢も希望も無く、餓死寸前の浮浪児。足軽集団に斬り殺されそうだった所を、兵衛に助けられる。
当初はボロボロ不潔で、礼儀も作法も知らない。無知な猿…と言うより、兵衛に飛び蹴りしようとして、勢い余って池に落ち、“蛙”とあだ名される。
そんな“蛙”が兵衛と彼の剣の師によって心身共に鍛え抜かれていく。
元々剣術の腕はあった。それを見込まれ、厳しい修行。やがて六尺棒を武器にした棒術をマスター。
この修行~成長の模様が少年ジャンプ的。(本当に修行の様子や常人離れした棒術も含め漫画的でもあるけど…)
何より育んでいく兵衛との師弟関係。
兵衛は才蔵に人や漢や武士としての在り方を。
“自分の頭で考えろ”。
才蔵は兵衛に命すら預ける。
目標を持つ。あなたのようになりたい…。
出演した映画/TVドラマどころか、アイドル(なにわ男子)としての活躍もほとんど見た事ない長尾謙杜。
演技や台詞喋りにも拙さを感じるが、それも引っ括めて。一人前になっていく様を体現。
本筋より修行~成長、師弟関係こそ胸熱くさせられた。
勿論史実に沿った兵衛の物語としても見応えあり。
己の剣の腕と才覚で世を渡り歩く自由人。
彼が見据えるのは、この暗い時代の夜明け。
飢饉、疫病、貧困…。村々には惨たらしい死体が転がる。
彼らを苦しめるのは、それらと悪政。
室町時代ってこんなに苦しい時代だったか…? いや、
これは『蜩ノ記』のレビューでも書いたが、我々がよく言う“時代劇”の時代。昔は良かった…なんて言うが、本当にそうか…?
民の暮らしは貧しく、苦しい。今の時代の方がよっぽど恵まれている。
そんな時代、恵まれていたのはほんの一部の上流階級。
今とは比べ物にならぬほどの格差社会。
民一人では何も変えられないかもしれない。
が、皆が集えば…。
率いる“リーダー”がいれば…。
変えられるかもしれない。いや、今こそ変える時だ。
ユーモアとナチュラルさと人柄の良さと抜群の好感度で当代きっての絶好調男、大泉洋。
無骨だが、人情に溢れ、武士や漢として堂々の風格。時代劇出演はあるが、これほどの大掛かり本格殺陣は初めて。
まるで大泉洋が三船敏郎に見える格好良さ。
歴史書にはたった一行しか触れられていない蓮田兵衛を、よくぞここまで魅力的に膨らませたものだ。
彼と対峙する足軽集団の頭、堤真一もいつもながらの存在感。ライバルとして、旧友として、苦渋や悲哀も滲ませる。
二人の殺陣も迫真。
男たちの戦いの中で、高級遊女役の松本若菜の格好いい美しさに見惚れる。
迫真の殺陣、迫力のアクション、スケールのある大合戦…。
壮大なオープン・セットにロケーション…。
インディーズからメジャーシーンへ。今や幅広いジャンルを手掛け、昨年も『あんのこと』が話題になった入江悠監督が、クロサワ級の時代劇大作を手掛けるまでになるとは…。
作風もクロサワ時代劇のような娯楽大活劇を彷彿。
と同時に、マカロニ・ウエスタンのような漂いも。
雰囲気や設定もだけど、モリコーネ風の音楽も流れたりして、確実にマカロニ・ウエスタンは意識。でも、音楽が作風に合ってるような、ないような…。
クライマックス最大のカタルシスの一揆ももうちょっと尺あっても良かったような…。
全体的に細かい難点多々あるが、失われぬ時代劇熱漲る娯楽大活劇。
が、ただそれだけじゃない。
自由を求める風来坊。
根無し草のように思え、民や世を思う。
弱きを見れば助け、悪事を砕く。
武士として人としての信念。教え。
それは多くを動かし、後に続く。
誇り高き姿と心は継がれていく。
無頼の生きざまにしびれろ。
時代劇風、アクション
去年、上映された「あんのこと」で記憶に新しい入江 悠監督の時代劇
主力のキャストが大泉洋、堤真一と少しキャッチーなイメージですが出出しから笙演奏が入り、明らかに現代では無い物語が始まる前兆に好感が持てます
人を多く使い、CGも多用し結構、制作費もかかったのでは?と思う仕上がり。
今では難しい殺陣も倍速にしてスピーディーにしたり修行と言う名目でバシバシと生身の肉体が切られるのも痛そうでもコミカルに見せたりと若い人にも見てもらう工夫があります。
全体的にキャッチーですが、
主人公の大泉洋が戦う意義を問うシーンでも
子供達がはしゃぐ声が一瞬止まったりと
子供達の為にも戦うべき?と音声だけで演出
するのも印象的でした。
他作品同様に般若がアーティストでは無く
俳優として出てるのも面白いです。
大勢の人が暗闇から松明を燃やして攻め入るシーンも迫力があり、大泉洋が高所から松明の火を合図に進路を誘導するのも工夫があって好印象
前半のお決まりなのか、ダサい時代劇風の音楽も後半の戦闘シーンにはしっかりと現代風となってるのも良かったです。
所々、場面の切り替わりの間
日常風景のシーンがありますが
子役が不自然にはしゃいだりと、役者が多い分
個々の演技含め細部までは行き届いて無いのは少し残念で、最近の白石和彌監督の「碁盤斬り」の月だけのシーンなど人は映さず綺麗な景色だけの方が絵がしまった気がしました。
誰でも見られるキャッチーな時代劇としては
十二分に面白い作品でここ最近の時代劇でも
中身も予算も頑張った方では?
個人的にも、近年では三池監督の「十三人の刺客」
原田眞人監督の「燃えよ剣」
木村大作監督の「散り椿」などガチの時代劇も見たいので白石和彌監督同様に商魚的に流行らないとは思いますが希少な時代劇を作り続けてほしいです。
才蔵の無双シーンを観るために観る価値あり
この映画は「長尾くん(才蔵)の成長物語」というのはまさにで
(元々小説は「天涯孤独の少年・才蔵の成長と活躍を描いている」とあるので才蔵は実質主役なのかな)
申し訳ないけどもはやそういう意識で観た方がしっくりくる
最初は小汚くて滑舌も悪くただ吠えている少年が
たった1年でとても凛々しく成長し最強のヒーローに!
顔つきもすっかり変わって髪が伸びただけなのに
なぜか身長まで高くなったように感じました。
餓死寸前で生き延び狂犬化する絶望才蔵
従順で素直とても無邪気で泣き虫な才蔵
心を決め凛々しく立派な青年となる才蔵
恩師のために命かけて走り抜く最強才蔵
可愛らしくもかっこよく、とても魅力的な才蔵で
長尾くんの成長過程の演じ分けが素晴らしかったです
本当にどんどんかっこよくなる!
最初の頃の才蔵は幼い印象だったのに
顔つき、歩き方、話し方...すべてが別人で
1年で5年分くらい成長するんです!
でも時折みえる純粋さや愛らしさは変わらずでかわいい
この映画のためにゼロから棒術を覚えた長尾くんと
自分を暗闇から救い上げてくれた兵衛のために
1年間の修行を経て最強の棒術を身につけた才蔵は
重なるところが結構あって
演技だけではなく、彼そのもののでもあるから
作り上げられた才蔵なのかなと思います。
最後の殺陣は圧巻でこれをノーカットで撮っているの
本当にすごすぎると思います(初めての殺陣なのに)
「才蔵無双」を観るためだけに映画館に行く価値あり
と思うほどでした!
才蔵だけで★5つけたい気持ち!
長尾くん、才蔵にピッタリだった!!!
2回鑑賞したのですが、1度目に感じたことと2度目に感じたことをふまえて書きたいと思います。
〈全体〉
1回目の鑑賞時は、
全体的になんでもありの海賊みたいだなという印象で
アウトローというか、もはやヤンキー映画。
全体的に場面の切り変わりが唐突な感じがあって
一揆に向けての展開があっちこっちいくイメージ。
こちらも一揆に向けて士気を高めたかったのだけど
置いていかれててるような感覚も少しありました。
(個人的感覚ですが)
冒頭にも少し書きましたがストーリーの軸が複数あることも初見ではついていけない要因なのかなと思います。
また、演出に気になるところがちょいちょいあって気が散ってたのかもしれないです。(一部後述します)
ぶっちゃけ途中間延びした感覚や最終的に才蔵が無双して全部ぶっ飛ばしてかっけぇ〜!!となった以外はちょっと期待外れかもと思ったのが終わった直後の感想でした。
2回目の鑑賞時は、
ある程度ストーリーや時代背景を理解した上で観たので
入り込むことができて楽しかったです。
細かいところが気になるという人は
時代背景や原作・映画の予備知識を持った上で観た方が
より楽しめるのではないかと思います。
2度目は間延びした感覚はなく意外と整理されたストーリーだったなと思い直しました。
〈修行シーン〉
1度目の鑑賞の時は
泣きそうになるくらい稽古は辛かったとインタビューで言っていたことが容易に想像できる内容だったのですが、その修行過程が映画にはあまり現れていないくてちょっと残念...。
あっという間に釘刺せるようになっちゃって
あっという間に強くなっちゃった感じがして
才蔵の頑張りに泣きたかったのにな...
尺の問題で仕方ないとは思うけど
才蔵が泥臭く頑張ってるシーンはこまめに挟んだ方が
「血の滲む修行」を感じられたのではないか。
それとも棒術の才がありすぎたのか?
などと感じていました。
2回目の鑑賞時は
最後の無双シーンで「修行の成果」を感じるところが多々あることに気がついて「あの修行が活きてる...!!」
と見事に泣きました。一揆本番をゴールとして観たら
修行の修行まで描く必要はないというか全体からみた尺的にもちょうどよかったなと納得できました。
2度観ても気になるところはあって
〈挿入歌〉
挿入歌のチョイスは気になります!
1回目鑑賞時は
音楽が急にポップに変わるのでビックリして
真剣な一揆というより楽しんでる感じに戸惑ってました。
一揆が終わった瞬間?も突然で急に歌い出してお祭り騒ぎになって「すべて燃えたよ」と言い出した時は
あれ?いつ終わった??と混乱しました。
2回目鑑賞時は
一揆は2段階に分かれているという前提認識を持ってみたのでそこは無理矢理感あるけどクリアして、
(実際の史実でも何度か一揆は分けて行われてるし)
一揆の中でポップな印象を受ける曲は兵衛が一揆を「おもしろかったのぉ」と言うように一揆は命懸けだけどお祭りのように描いて一揆勢のアウトローさを表現したかったのかな(実際、一揆楽しそうだなぁ、一緒に暴れたいなぁと思う瞬間もあった)
と咀嚼できるところはあったものの
「虫けら達のバラード」だけはどうしても違和感があります
あの時は9人中8人が絶体絶命の場面だったのですが、
「俺たちは所詮虫けらだしな」みたいな悲壮感を表したかったのでしょうか?
ちなみに1回目みたとき8人全員やられてることに気がついてなくて、2回目は「マジ才蔵超救世主じゃん!!!」ってテンション上がりました。
〈最後の"無頼"の意味〉
兵衛が落として才蔵が戦いながら拾った紙、大切な何かかなと思ったら『無頼』だったのは
「俺らを舐めんじゃねぇぞ、無頼だぞ!」ってこと?
「俺らを無視すんじゃねえ!」ってこと?
"無頼"にたいそうな意味を込めてるんだなということだけは感じたけど、"無頼"からの徳政令を勝ち取るが繋がらなくて「?」って感じになってしまう。
込められた意味を知りたい。
最後におまけみたいな感想ですが
才蔵の今後を続編で観たいなぁなんて考えてたら
兵衛もどきみたいになった才蔵が出てきて拍子抜けでしたw
何年後かわかんないけど泥もつかずにあの髪型にすると元のベイビーフェイスが全面に出ちゃうから
長尾くんは若すぎるかも
それに長髪の方がかっこいいし大人っぽかったから
なんとなく兵衛に似てるなくらいにとどめた方がよかったなと思いました。
解釈に悩むところはあるけど いい映画です!
高評価も低評価も理解できます。
結論を一言でいうと「面白かった」です。
番宣につられて観に行ってしまった
結論を一言でいうと「面白かった」です。
びっくりしたのは、カメラアングル変更及びナレーターの台詞(解説)次第では、蛙(長尾謙杜さん)が主人公にも見えるようなシナリオの流れでした。本人の才覚なのか、大人の事情なのかはわかりませんが、主人公の蓮田兵衛(大泉洋さん)以上にいい役どころをしています。
コタロウは、蛙の子かな?
以下は余談
オープニングでの、疲弊した庶民・町並み、それと、お偉いさん達の振る舞いに、今の日本の縮図を見たような気がした。
①一部の特権階級が、高税で肥え太り、無駄使いでお金が足りなければ、増税すれば良いという。まるで某党の代議士のように感じた。
②そして、庶民は高税で苦しんでいるのだが、特権階級にコバンザメしている悪徳商人(現代の大企業?)だけが、甘い汁を吸えている。
③なので、庶民は安心して暮らしていくことができない。(まるで 今の世と一緒?)
④昔ならば人が死んでいくのだけど、今の世だからそりゃ少子化になるよね。
➜このままでは、日本でも一揆が起きそう!?
一揆が起きるその時まで、特権階級の人はわからないのかな?
<主な基準(今後のためのメモ)>
4.5 観て良かったと感じた映画
4.0 おすすめできる映画、何かしら感慨を感じる映画
3.5 映画好きなら旬なうちに見てほしい映画
3.0 おすすめはできるが、人により好みが分かれると思われる映画
大泉洋さんの過去イチ!& 長尾謙杜さんの出世作の予感
1/17公開は気になる映画がたくさんでこの日も1本『室町無頼』。
主要キャストがことごとく素晴らしかった。
「大泉洋っていい俳優だわ」と思わされるのは『駆込み女と駆出し男』から“探偵は…”を除けば時代劇なのよ。今回の兵衛は大泉洋さん史上最高に渋くてカッコよかった。
カッコよかったと言えば、松本若菜さんの啖呵には痺れた。
「下から見た顔は10年後の顔。お前は下からでも変わらず美しい」みたいなことを兵衛は言ってたけど、あの言葉がラストシーンの伏線だったとは。(あのシーンを観ているときには、その膝枕羨ましすぎるわ!としか思ってなかったっす)
そして、若菜さんのおヘソ(とお腹)はとても美しかった!
散々言われてるかもだけど、この映画、「大泉洋主演」は興行のための看板で、その実は長尾謙杜さんが演じた才蔵の成長譚だったのでは?中でも修行シーンはアクション映画として出色で、アクが強い柄本明さんの演技もこの役にはズバリハマってた。昔観たカンフー映画のよう(酔拳におじいちゃんいなかった?)。予告編にも使われていた桟橋に両足でダン!と着地する画はベストカットかも。
宣伝番組なんかで取り上げられていて期待してた屋根の上での格闘シーンに関しては、個人的には『八犬伝』の大屋根シーンの方が上だと感じた(初見の印象なので、見比べてみたらどうかはわからない)。ちょっと吊られてるっぽさ出てる気がして、もう少しカメラワークをがんばってほしかった。屋根から飛び降りて六尺棒を握り直すまでの動きはカッコよかったね。
長尾さんって初めてみた人だけど、ご本人にとっての役者としての成長譚にも欠かせない作品になりそう。
堤真一さんに北村一輝さんをはじめ語りたいことはまだまだあるけど、まずはこの辺で
あ、入江監督、『あんのこと』からの振り幅よ!カッコいい時代劇をありがとうございました!
ちょっとワチャワチャしてました。
原作既読。圧倒的に面白い小説だったので、期待して映画館へ。
まず、才三の修行シーンどうするんだろうと思ったら、さすが現代の映像技術でした。
後半の一揆のシーンは、登場人物が多すぎてワチャワチャしてしまい、何が何だかよくわからない状況になってしまいました。それはしょうがないのかな。活字の威力を改めて感じました。
個人的には、芳王子の場面はもう少し官能的に描いてほしかったです。原作、芳王子の登場はそれほど多くはないものの、印象的な描写が多く、この無頼者の物語に花を添えていたと感じたのですが、ちょっと物足りなかったのが残念なので☆マイナス1個です。
それにしても、飢饉による死者が凄まじかったのですが、本当にあんな状況だったのか、映画だから大袈裟なのか、タイムマシンがあったら確認してみたいですね。
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