室町無頼のレビュー・感想・評価
全432件中、221~240件目を表示
ダラダラと
ストーリーが流れる感じ。
特にストーリー的に盛り上がる場面はないので、
映像的に盛り上がる終盤まではランチ後ということもあって何度か意識が飛んだzzz
一応史実?なのだろうが、室町時代の一揆などほぼ史料はあるまい。
あっても著名人は出てこないので、歴史物としての興味には乏しい。
では、蓮田兵衛なる人物がアウトサイダーとして魅力的かというとさほどでもなく、
才蔵やその他の人物と心揺さぶられる交流があるかというとどれもが浅い。
圧政や飢饉に苦しむ人々と蓮田兵衛らの落差にも違和感ありまくり。
蓮田より才蔵がメイン?と思える展開はどっちつかずで中途半端。
ジャッキーの◯拳のようなものを意図した?
一番の盛り上がりは一揆のシーンだろうが、迫力はあるものの雑然としていて様式美はない。
心に残るものはなかった。
妻は蓮田の死にぐっと来たそうだが、それなら骨皮との関係性をもっと掘り下げて欲しかった。
唐突に集落が全滅したり、とにかく全部齧り付くだけで深みがない。
久しぶりの本格的な時代劇を期待したが、中身スカスカだった。
才蔵以外の演技は雰囲気があっただけに残念。
【主役が変わる映画】
初めて武士階級が率いた一揆の史実を描く。その映像のリアリティと説得力、そして何よりカッコ良さが見もの。とある点から主役が変わり、それが映画の本質となる展開も面白い。
◆トリビア
〇大泉洋の先祖は仙台藩の武士だという。「先祖代々芸人かと思っていたのですが、武士をやるべくして生まれた、まさに運命だったと思います。」
〇大泉は、死と隣り合わせの当時を、コロナ禍を経験した今、想像ができると話す。本作のように何も対策を打たなかった室町時代の政府に「蓮田兵衛という人は、自分の命はもうどこか諦めていても、他の人のために何とかこの状況を変えてやる。そういう覚悟みたいなものを、胸の中に強く持って演じていました。」と語る。
〇堤真一が今作で大事にしたかったのは、兵衛と道賢は元々アウトローの仲間であり、“日本を良くしたい”という同じ志を持っていたことだという。「本当は戦う必要のない間柄だけれど、立場上戦わなければいけない。最初、道賢は兵衛を見逃して許すのですが、そこに2人の関係性が表れていると思います。」
○長尾謙杜は、才蔵の役作りで体重を6キロ増量。3ヶ月にわたり棒術を練習したという。「(アクションは)これからもっと磨いていけたらと思っています。」
◆概要
【原作】
#垣根涼介「室町無頼」(「本屋が選ぶ時代小説大賞」大賞受賞)
【脚本・監督】
「22年目の告白 私が殺人犯です」#入江悠
【出演】
#大泉洋 #長尾謙杜(#なにわ男子)#堤真一 #柄本明 #北村一輝 #松本若菜 #遠藤雄弥 #前野朋哉 #阿見201 #般若 #武田梨奈 #水澤紳吾 #岩永丞威 #吉本実憂 #ドンペイ #川床明日香 #稲荷卓央 #芹澤興人 #中村蒼 #矢島健一 #三宅弘城
【公開】2025年1月17日
【上映時間】135分
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆史上最高にカッコいい男
巨岩を引かされる百姓たちから始まる冒頭。遅い者は鞭打たれ、倒れた者は死体の山へと積まれていく。罵声を飛ばす役人を蹴落とし兵衛が登場、飢餓の民に衣食を与えて去り、タイトルへ。映画冒頭はその作品の軸が描かれる事が多いが、本作は特にここで幕府側の凶悪ぶりと、弱きを助け強きをくじく、兵衛のカッコ良さが恐縮されていた。“大泉洋史上最高にカッコいい男”を目指したと監督の言う通り、本作は至る所で彼のクールな場面が満載。冒頭はもちろん、殺陣もキレていたし(二刀流とは!)、民に惜しみなく銭や食物、土産を振る舞う姿もカッコいい。(そういえば、遊郭で兵衛が箱の中に隠れるシーンは本作でオマージュしたという「用心棒」('61)のシーンそのままだった)花の御所へ向かうビューティーカットもあれば、何よりラストの才蔵を生かして自らの最期の炎を燃やす姿が最高。大泉洋の魅力満載の映画だった。
◆一揆
そんな本作のなんと言っても1番の山は一揆のシーン。のべ5000人ものエキストラを登用し半月におよび撮影されたというスケールの大きさがすごい。幕府軍が斬られていくのは当然だが、一揆軍に加わった百姓達も斬られ、家族が涙し、女達も加勢していくのがなんとも生々しい。8年に及んだ製作期間中に監督が資料を読み漁ったというのだから、そのこだわりが映像の随所に出ているのは当然かも知れない。そして一揆でダントツ輝いたのが長尾謙杜。花の御所前での、屋根を飛び六尺棒を振り回す、あの長回しアクションシーンのカッコいいこと。“全部ぶっ潰す”に準備期間の全てを込めたという彼の言葉に説得力があった。民に与えたあのかんざしで悪徳大名を仕留める、ここでもやはりカッコいい大泉洋まで、一揆の一連の迫力にずっと飲まれ続けていた。
◆ラスト
傷ついた体で道賢に見つかり、兵衛が覚悟を決めるラスト。前述の通り、才蔵を生かすためあえて六尺棒を封印させる兵衛が見せる笑顔はなんとも切ない。兵衛を斬った後の道賢の涙に、本作で描かれた2人の絆が走馬灯のように浮かぶ。“七重塔の誓い”は叶わなかったものの、自らの最期に兵衛の名を読んだ道賢もよかった。おそらく道賢の言った10年後、芳王子(遊女)のもとへ訪れた才蔵の姿のたくましいこと。兵衛のひょうたんと首巻をまとう才蔵にはどこか兵衛の面影も。手に持つ兎は、振り返れば百姓達にその肉を分け与えた兵衛の慈愛の象徴。遊女の笑顔は、そんな才蔵にきっと兵衛の意志を見たからに違いない。室町無頼は、てっきり大泉洋の映画かと思いきや、才蔵の成長物語も描く、無頼達の正義を描く映画だった。
◆関連作品
○「#あんのこと」('23)
入江監督の代表作の一つ。実話なのがより響く。プライムビデオ配信中。
○「#用心棒」('61)
本作でオマージュを盛り込んだという不朽の名作。プライムビデオレンタル可。
◆評価(2025年1月17日時点)
Filmarks:★×4.3
Yahoo!検索:★×4.4
映画.com:★×4.3
西部劇だ
主役?の大泉洋が非常に役とはまって良かった
才蔵役も悪くない
もちろん堤真一も良い
埃くさい町と一騎打ちが西部劇として印象にあったので曲の違和感はなかった
都の周りを炎が包まれ、血みどろの戦いがあるのだが館の内側は一貫して
「何があったのだ?」の感じが皮肉
死に様は見事だった
痛快と激増のアンバランス
ちょっと途中で中弛みを感じなくもなかったけど、 最後はまた勢いがつ...
ちょっと途中で中弛みを感じなくもなかったけど、
最後はまた勢いがついてきた
堤真一との、
味方じゃないんだけどある意味信頼し合ってる、
みたいな関係の描き方、
好きです
キャスティングもキャラ設定も良かった
北村一輝と柄本明がとくにすっごく良かった
“一揆“の場面は圧巻だが・・・
それにしても大泉洋は、時代劇が似合います。
出演作の中でもっとも格好良く見えました。
(衣装がいいからかな)
兵衛(大泉)に拾われた才蔵(長尾謙社)は、兵衛の弟子を志願して泥まみれで、泥水に何度も突き落とされ、こずかれる汚れ役。
更に老人役の柄本明の元で一年の地獄の修行。
後半の一揆での殺陣のシーンと、見せ場が多かったです。
室町時代の中頃(1461年)の京の都。
室町幕府は初期に金閣寺、中期に銀閣寺を建立している。
帝や公家が如何に華やかな生活をしていたかが窺われます。
その後に焼け落ちましたが、京の真ん中に位置する七重塔では、
幼馴染の骨皮道賢(堤真一)と蓮田兵衛(大泉洋)が、
昇っては遊んでいた。
この塔が後の伏線になります。
栄えた屋敷が連なる反面、民は重税と飢饉で野垂れ死している。
《飢饉》言葉では知っていても、映像で見るのと、聞くでは大違い。
道端に捨てられる人骨、足の骨が散乱して、そして着物を捲ると
髑髏が2つ。
武家屋敷では公家か?帝が言う。
“臭いのー“
“へーッ、疫病で死んだ骸を焼く匂いにてございいます“
などの会話が交わされる。
あまりの貧富の差に言葉を無くしました。
蓮田兵衛(大泉洋)率いる5000人を超える賊軍(浪人や農民たち)が
一揆を起こして室町幕府の転覆を目指す話しです。
蓮田兵衛とは、歴史書に一行だけその名がある謎の男。
だから殆どが原作者(垣根涼介)と脚本も書いた入江悠監督の
空想を膨らませたストーリーと思われます。
《重税》
農民民の少ない稼ぎから吸い取った税金。
飢え死にするほどの年貢・・・
それを払えず借金をして、借金のカタに妻や娘を取られる。
飄々とした兵衛の胸内には怒りや憤りがあり、一揆へと向かうのだ。
★それにしても北村一輝は上手い役者だ。
農民を“ムシ“と呼び「虫でも潰せば脂が出る」
《税をあげよ!!、もっと、もっと》
酔っ払って吐く仕草、
これほど憎々しい演技は並の役者には出来ない。
出演シーンは印象深い。
★骨皮役の堤真一は貫禄があり、時代劇の格を上げている。
そして紅一点の遊女・芳王子(松本若菜)・・・実に美しい。
巨体の阿見201は一際目立つ。
才蔵を鍛える老人役の柄本明・・・出てない映画が珍しいほど売れっ子。
《一揆の決行》
偽の決行日を広める兵衛・・・マンマと1日騙して、先駆け!
兵衛の兵は松明を掲げて京に乗り込む。
京は碁盤の目のように作られている。
俯瞰から映す松明の行列が美しい。
《七重塔の役割》
例えば、道を塞がれたら、すぐさま七重塔を見るのです。
塔に上がっている仲間が松明の灯りで、
「右→」、「左🤜」と
方角を示す。
この松明の大群はエキストラも多く、圧巻の迫力の見どころでした。
大泉洋は初めてのアクションと殺陣を頑張ってます。
馬は本当に乗ったのかな?
本来なら気の合う親友なのに、道を違えると敵と味方になり
殺し合う。
その骨皮も応仁の乱では賊軍となり処刑されてしまう。
《戦乱の世》
現在の世の中とは違う生き様がありました。
面白かったけれど、畳み掛ける勢いが薄く、
今ひとつ盛り上がりに欠けている印象でした。
大泉洋の時代劇を期待したが
大泉洋の時代劇に期待して観たが、時代劇と西部劇とマッドマックスの世界が、ごちゃ混ぜになったような世界観だった。この世界観は娯楽映画としては良い。しかし、蓮田兵衛という名前が残っているだけで、詳しいことは分からない人物だけに、もっとキャラクターを面白く作り込んでも良かったのではないか。割と普通のいい人で、もっとクセのある人でもよかったのではないか。また、骨皮の仲間だった兵衛が、命をかけて一揆を起こした理由が分からない。「十一人の賊軍」で、仲野太賀が賊軍側になる方が理解できる。蓮田の考えや思いに共感し切れないために、最後に命を落とすことになっても、あまり悲しく感じない。「戦国自衛隊」で、千葉真一ほか、多くの登場人物が死んでいく時の方が強烈な印象が残った。
時間が長かったが、それでも登場人物が多すぎて、一人一人の事情や一揆に参加していく経緯がよく分からない。才蔵のアクションシーンはカッコよかったが、主役が喰われる結果になったような。才蔵が主役で、室町無頼2があるのだろうか?
キャラクターにしても、ストーリーにしても、アクションにしても、何かと「勿体なさ」を感じてしまう
圧政に苦しむ民衆のために立ち上がる兵衛の姿は格好いいのだが、命を捨ててまで権力に歯向かおうとする理由なり、過去の経緯なりが説明されないので、今一つ感情移入がしにくかった。
兵衛の弟子になる才蔵も、出自や経歴が不明だし、どうして人並み外れた身体能力を持ち、現実離れした修行を1年でクリアできたのかがよく分からない。
敵同士になっても友情で結ばれている兵衛と道賢の関係性は面白いものの、兵衛が一揆を起こすことを見逃しただけでなく、証文を燃やすまでの間は出動を控えると約束したはずの道賢が、最初から一揆の鎮圧に動いたのはどうしてだろうか?
実際は「夜中」だった蜂起の時刻を、「明け方」と騙されたことに憤慨したからなのかもしれないが、ここのところは、2人の友情に関わる部分でもあるだけに、もう少し説明があってもよかったと思う。
一揆が勃発してからの大乱戦は、それまでのストーリー展開の平板さや、盛り上がり不足を吹き飛ばすかのような殺陣とアクションのつるべ打ちで、大きな見どころとなっている。
特に、才蔵が、多くの敵をなぎ倒しながら、路上から建物の屋根に上がり、塀の上を伝って路上に戻ってくるまでのシーンは、あたかもワンカットで撮影しているかのような描写になっていて、迫力と見応えがある。
ただし、全体的にカメラの動きとカット割りが激しすぎる上に、夜のシーンは暗いため、画面の中で何が起きているのかがよく分からないのは残念だ。
兵衛の仲間には、才蔵を慕ってやって来た三人組の侍や、弓の名手の女性がいるし、道賢の部下には、くノ一のような隠密や、分銅鎖の使い手がいるなど、キャラ立ちしそうな面子が揃っているのだから、それぞれに相応しい見せ場が作り出せていたならば、もっと面白いアクション映画になったのではないかと思えてならない。
実質的なラスボスであったはずの北村一輝演じる大名が、ラストで、単なる酔っ払いだったことも含めて、何かと「勿体なさ」を感じてしまった映画だった。
面白かった!だが…惜しい…
昨今見なくなった痛快アウトロー時代劇という感じで個人的には「好き」
キャスティングと映像効果、時代表現等のリアリティが評価できます
ここからは少しポイント別に評価します(個人的な見解です)
※原作は読んでません
※一部ネタバレ含みます
【俳優陣と演技について】
大泉洋は文句無しのハマり役!この人のための映画という感じ!控えめに言って最高!
堤真一は流石の一言!役的にも圧倒的な存在感を放っていて控えめにいって最高!
松本若菜は少ない出番でも存在感があった!でも少し可愛いすぎてしまってマイナス…上の2人を手玉に取ってしまうような妖艶な遊女役?を演じるのはまだ厳しかったか…
長尾謙杜…物語上はこの弟子役はすごく重要なポジションだったと思うのだがなんで起用したのかが疑問。随所棒読みだったり、感情表現も直線的というか深みがなかった…
忘れてはならない北村一輝も悪代官(大名)っぷりが素晴らしい!こういう映画には絶対必要なポジションのためある意味最重要キャラ!しっかり演じ切って、最後(成敗される)までブレないのもグッド!
【ストーリー】
長尺だがテンポも良く、飽きずに見れた。無駄なシーンとかそういうのもほとんどなく、伏線回収もしっかりある。
反面、逆に登場人物の多さ、作品自体のボリュームが描き切れてない感じが否めない…主要人物以外にもカッコ良さげな「無頼」、対抗する権力者を守る侍サイドにも(堤真一の部下)なんとも強そうなキャラがいたがそれぞれのカットが少ないしあっさりのため咀嚼しきれない。とくに、急に7人の侍ばりにカッコいい「無頼」たちの…実際には何人だったか…夕日を背景にアンマッチなウエスタンチックのBGMで横に並んでいざ最終決戦へ〜の演出は確かにお約束だけどなんだかな〜という感じ笑
あと、大泉洋と堤真一の関係性について、どこまで深い関係(旧友?親友?戦友?)なのに相対するに至るのか…この描写も実は不完全だった気がする。
13人の刺客みたいに友ながら仕方なく敵として戦う構図の有名な既出作品があったりして理解できたが、そもそもありがちな構成だとしても、だからこそもっとその描写を丁寧にして最後の決闘とその結末の時に感情移入させて欲しかった。
そして最大の問題の弟子の存在…とどのつまり原作を読んでないのでなんとも言えないが、上述の通り弟子役の演技がちょっとあれすぎて…思い返すと別に居なくても物語成立するのでは?くらいに思ってしまった笑
ポスターには「師弟の絆」ってあるところ大変申し訳ないが、大泉洋と堤真一が良すぎて、「友の絆」に変えて欲しいくらいだ…笑
ボリュームの多さで描き切れてないと言ったのは、七人の侍、13人の刺客、ジャンゴ、ベストキッドなどなど…オマージュを詰め込み過ぎてるからだというのが個人的な結論。
例えばアニメ作品だが「ストレンヂア」みたく、弟子ポジションは少年か少女でも良かったと思う。ちなみに「ストレンヂア」はアニメ作品ながら、敵味方それぞれのつよつよキャラクター達の描写や使い方が素晴らしいので是非観てもらいたい。
【殺陣、戦シーン】
最高に良かったのは最初の関所破りのシーンだけ!
肝心の一揆(戦)は1万の勢力だって言って盛りに盛って急にスケールが小さくなる…殺陣もカメラワークによってよくわからない上に大勢のガヤガヤの音声処理が酷かった…そして切り替わって50人対10人くらいの最終決戦では関所破りでは人ごと柵切ってたつよつよ主人公があっさりやられて、1人謎に強くなった弟子が覚醒したで終わり…ちょっと納得できなかった…
最後の決闘シーンは概ね良かったけど、絶対許せないのは急に弟子の顔アップにキン!キン!って刀の効果音だけになる「あの間」は何?必要?てなった…弟子のポジションは必要だったのか改めて謎に思った笑
批判もあったが、とにかく大泉洋と堤真一がカッコいいのでそれだけでも観る価値のある映画です!
Japanese Western
兵衛役は芝居なのか素なのか
あっという間、おもしろい!
2時間半と長い映画でしたが、あっという間だった。話の流れがよく、飽きを感じる事もなく、ただの一揆の話だけでは終わらない所が良い。
終始、大泉洋がカッコよくお茶目、
長尾謙杜が成長していく姿も見もの、
友情もあり、久し振りに見た時代劇、とにかく見てよかった。
ナレーションや音楽ついての書き込みもありましたが、時代劇だからあのような感じになるのかな‥
もう一回見に行こうかなっと思ってます。
名も知らぬ者たちの生き様を観た。
感想
1460年代室町時代。寛正年間に京都を中心とする人口集中地域において発生した疫病と数年間の大飢饉により幕府徳政令の下知が遅れた足利幕府に対して業を煮やした一万人を超える庶民が決起したとされる土一揆が発生。その首謀者とされ歴史書の記述に名のみが残る蓮田兵衛と骨皮道賢という人物をフィーチャーして、「あんのこと」で渾沌とした現代社会底辺部の闇深い問題を鋭い視点と切り口で活写した入江悠監督が自身渾身の脚本と演出を担当。そして伝統的お家芸である東映の時代劇制作陣が総力を挙げて室町時代の過酷な生活環境と無秩序状態での人間の振る舞いを創りあげる。絶望的状況の中でも逞しく生き抜く市井の人々の姿と徳政を求め、現政権や統治機構への批判と改革を掲げて現れべくして世に出ようとした多くの無名剣客、自称剣豪や田舎詰の土豪、或いは無頼漢達のやり場の無い様々な怒りや憤りを一揆という形でエネルギー爆発させてしまった事態の一大顛末をシュールな視点かつ味わい深い娯楽性を以て創作し描いておりある意味において気を吐いている時代劇作品である。
演出・脚本◎
自由な発想から考えられる社会状況の中でのその場に置かれているあらゆる人々の心理や想いを社会的側面から注視してイメージを加味していき、心の動きなどを含めたありとあらゆる感情要素をエピソードとして反映しようとした脚本は多少の難を感じるが大いに評価できる。また過酷な境遇下でも本質を見極める目を持つ人間に見い出された者が武士(もののふ)として成長する話を中心に農民、商人、女性、子供、各々の登場人物それぞれにあったであろう無数の視点と思考が感じられ各々の人生譚に感動する事が出来た。また各々の話が上手く纏められ表現されていた。
まだまだ日本の時代劇映画は滅ぶ事なく創って行く事が出来ると本作を観て安堵し喜びを実感する。
演出としても入江監督が過去の名作時代劇を手掛けた名匠達の作品の制作意図や演出を今一度よく汲み上げ、内容を踏まえて創作したと思われるシーンと台詞が多々あり、人間の不条理さや社会状況による究極的な貧困と飢えの中での人間の心理描写をよく簡潔に纏めて描いていると感じる。監督自身の本作に於ける名もなき市井の人々への想いや行動を忌憚なく描写して披露するという意図をありのままに演出に反映させているところも素晴らしいと感じる。
近年の時代劇の再評価ブームにあたって私事であるが「究極の環境下での人間的気迫を現代人は役として表現する事が出来無いのでは?」という疑念も本作を鑑賞すると忽ち払拭され心配が杞憂となり胸の支えがおりる気がした。
俳優・配役◎
大泉洋氏。というより洋ちゃん。どうしても洋ちゃんと呼びたい。洋ちゃんのナイスキャラが蓮田兵衛のキャラになっていて素晴らしかった。もうこの人垂らし!(笑)。益々ファンになりました。
堤真一氏。骨皮道賢って堤さんそのもののイメージになりましたね。演技は印象的です。
才蔵役の長尾謙杜氏。すみませんアイドルグループで有名な方である事を存じ上げませんでした。本作の演技はとても素晴らしいものでありました。貧困と飢えと明日死ぬかもしれない悲壮感と悩みの中で命を賭して数々の試練を経て武人となった姿に感動し、成長し立派になった最後の姿が画面に映った時、もしかしてこの後に歴史に名を残す人物になるのでは!と期待と希望が溢れ出てきて老耄は泣けて仕方ありませんでした。
遠藤雄弥、芹澤興人、三宅弘城、水澤紳吾、前野朋哉、阿見201、般若、ドンペイ各氏のそれぞれ個性的で気合いの入った素晴らしい演技と配役は印象に残った。特に唐崎の老人役柄本明氏の演技が秀逸で印象に残る。
⭐️4
音楽?
時代考証で気になること
面白かった〜
迫力満点
全432件中、221~240件目を表示