劇場公開日 2025年1月17日

「日本映画の冗長性(余白)」室町無頼 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日本映画の冗長性(余白)

2025年1月23日
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鑑賞方法:映画館

冗長性(Redundancy)ということばがあります。
冗長とは必要最低限のものに加えて、余分や重複がある状態のことで、宇宙ロケットやIT分野などでは、耐障害性を高めるために、あるシステムについて二重化して予備のシステムを用意することがあるそうです。つまり、冗長化することにより信頼性や障害対応力を向上させるのですが、この状態を冗長性があるというのです。

そういう意味で、この映画はかなり冗長性が高く編集されているのではないでしょうか。

才蔵の修行シーンまではいいテンポで見やすかったのに、それ以降は段々とあれもこれもと丁寧に時間をかけて描いている印象。ただ、結果として無頼という生き方や思想みたいなものが、空気感としてはかなり薄れ、全体的にまったりと眠気を誘う後半になってしまった気がします。

せっかく撮ったのだから、このシーンも本編に入れておかなくちゃ、みたいな感じで、本来なら使わなくてもよかった予備システム的なシーンまで必要以上に入れ込んでしまった?

こんなふうに感じるのは、冗長性(余白的?シーン)を極力削ぎ落として飽きさせることなくラストを迎える韓国映画(アクション、ミステリー、コメディなどなど)を見慣れてしまったせいかもしれません。

グレシャムの法則
みかずきさんのコメント
2025年1月23日

共感ありがとうございます。

冗長性ですか、うまい表現ですね。
仰る通りだと思います。

①時代劇では、あまり取り上げない室町時代。
②歴史書に一行だけ名を記す知られざる英傑・蓮田兵衛。
という時代&人物設定は意欲的でチャレンジ精神を感じました。

作品としても分かり易いのですが、才蔵の修行、成長物語以外は、
絞り込みが足りず大味になって勿体なかったです。
折角、知られらず英傑を主人公にしたのですから、彼にフォーカスして深掘りすれば、もっと締まった作品になったと思います。

今後も、知られざる時代の知られざる英傑の発掘は続けて欲しいです。

みかずき