劇場公開日 2024年7月24日

「スルーするかな、と思っていたけど、MCUになったということは劇場逃...」デッドプール&ウルヴァリン yudutarouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スルーするかな、と思っていたけど、MCUになったということは劇場逃...

2024年9月22日
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鑑賞方法:映画館

スルーするかな、と思っていたけど、MCUになったということは劇場逃したらディズニープラスに加入してないと観れないやん、ということで前情報ほとんど無しで観に行ったら、面白かったー。タイトルにウルヴァリン入ってるし、ポスターのウルヴァリンはヒュー・ジャックマンだし、なに?CGで出てくるの?と思ったらガッツリ普通に本人でびっくりした。しかもちゃんと『ローガン』を経てのウルヴァリン再登場ということになっていて、節操無いというか潔いというか、嬉しいけど。で、この作品ではそんなウルヴァリン再登場のみならず、マーベル関連映画(MCUとは限らない)の過去キャラが大挙して再登場。名前を出すだけでネタバレになるから書けないが。しかし設定上、『ローガン』の物語があった上でウルヴァリンを再登場させたなら、プロフェッサーX、というかパトリック・スチュワート出してよ〜。個人的にプロフェッサーXの最後の出番が要介護状態の姿だったのは納得いってないんよね。とはいえ今回の物語では姿こそ見せないが、その存在自体は大きく影を落としていたんだけど。
 というわけで、すごく楽しかったけど、その同窓会的なノリや内輪ネタのオンパレードを抜きにしたら、物語としてはどうなの?というのもなくはない。ヒーローものの肝としてのヴィランのパンチの弱さ、クライマックスの撃退方法のテキトーさは単体の映画としてだと致命的なレベル。さらに、この映画における世界の危機は時間管理局(?)の作った装置を悪用して引き起こされてるんだが、そんな装置を作る技術があるなら、もう誰かが同じ原理で装置作れるってことで、世界の終わり確定じゃないか、というのもある。
 それと、そもそもマルチバースそのものが過去シリーズのキャラクターや設定そのものまで現行シリーズに援用、引用思いのままの仕掛けだし、サブスク時代になって以前より過去作のアーカイブを手軽に楽しめる状態になったという背景があるのは理解しているけど、それでもオマージュとノスタルジーに頼り過ぎた作りは音楽におけるデラックスエディションとかの商売と同様に、以前からのファンやマニアをターゲットにした再生産商売の香りが強くて、『新しい何か』を作るという大切な要素、未来へ向けた姿勢が欠如してしまっているのでは?という思いが頭に浮かぶ。今のヒーローものにおけるこの潮流が、過去作をサンプリングして新しいものを提示するヒップホップ的な表現なのか単なる同窓会ノリなのかは判断つかないんだけど、『うわー、あのキャラが出てきてる、あの物語のことを語ってる、懐かしい!嬉しい!』という気持ちになる度に複雑な気分も同時に湧き上がってくるのは確か。まあ面白ければいいやん、と素直に観れば済む話なんだが。それに今作はアクションだけでも十分面白いしね。

yudutarou