「さあゲームの始まりです」Cloud クラウド 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
さあゲームの始まりです
2024年映画館鑑賞95作品目
10月13日(日)イオンシネマ新利府
ハッピーナイト1300円
監督と脚本は『スウィートホーム』『地獄の警備員』『蛇の道(1998)』『ドッペルゲンガー(2003)』『贖罪』
『散歩する侵略者』『スパイの妻 劇場版』
『旅のおわり世界のはじまり』『蛇の道(2024)』『chime』の黒沢清
粗筋
転売ヤー吉井良介を恨む男たち6人は(三宅赤堀矢部井上滝本村岡)吉井を誘拐し殺そうとしていた
そこに現れた救世主は吉井からクビを宣告されたバイトの佐野だった
警察でもないヤクザでもない猟師でもない素人のドンパチを只々描きたかっただけの娯楽作品
アメリカならともかく日本ではリアルじゃない
安倍元総理暗殺でさえ拳銃ではなかった
手製の爆弾とかネットを参考に工学部出身じゃなくても容易に制作できるかもしれないが拳銃はなかなか手に入る代物ではない
佐野の人物像が全く見えてこない
そこまでして吉井を守る理由がわからない
『蛇の道』のように吉井が拷問され殺される展開を予想していたが今回は違った
しかしそれら細かいことは黒沢清にとってどうでもいいことなのだ
殺し合いの馬鹿馬鹿しさではなぜか『昭和歌謡大全集』を彷彿させた
襲撃メンバーの方が一方的に殺されたわけだけど
転売そのものは悪くはないが商売にも仁義というものがある
受け取るカネも重要だが顧客満足度の方が大切
たしかに彼らは人生の落伍者だが恨みを買うような商売はなるべく避けよう
まぁ面白かったのは事実
映画鑑賞は粗探しが目的じゃない
監督の意図になるべく寄り添って楽しむのが1番
あと役柄として今回も心配された荒川良々だが彼も芸歴長い50歳
白髪も目立ち始めた
北野武作品に続き良かったよ
こんなやつにも妻子がいるのかよと思う人もいるだろう
でもわりと世の中いるんだなあ
配役
「ラーテル」のハンドルネームで稼いでいる転売ヤーだが本業に専念するため勤めていた工場を辞めた吉井良介に菅田将暉
吉井の恋人の藤田秋子に古川琴音
吉井に雇われたバイトの佐野ふとしに奥平大兼
転売に失敗し吉井を恨むネットカフェ難民の三宅達也に岡山天音
吉井に自社商品の医療機器を安く買い叩かれ恨んでいる倒産寸前の町工場の社長の殿山宗一に赤堀雅秋
吉井襲撃メンバーとして三宅を誘うこの手のことは既に経験者で熟知している矢部に吉岡睦雄
吉井襲撃に参加するネット民の井上に三河悠冴
宗一の妻の殿山千鶴に山田真歩
警察官の北条に矢柴俊博
模型店店主の室田に森下能幸
室井襲撃メンバーに射殺される猟友会の猟師に千葉哲也
吉井を救出しようと敵のアジトに乗り込む佐野に拳銃数丁弾丸数発を売る謎の男に松重豊
吉井が勤務していた工場の社長の滝本一郎に荒川良々
吉井を転売業に誘った胡散臭い先輩の村岡耕太に窪田正孝
転売を失敗した三宅をネットカフェでボコボコにする男に足立智充
不動産屋に吉田亮
吉井の自宅に石を投げ入れガラス窓を割る佐野の後輩に萩原護
吉井が勤めていた工場の同僚に田中爽一郎
群馬の配達業者に斉藤友暁
東京の宅配業者に佐々木陽平