「1時間15分の前戯」Cloud クラウド 病人28号さんの映画レビュー(感想・評価)
1時間15分の前戯
拳銃を構えた菅田将暉の宣伝ポスターのように、黒沢清のガンアクション映画を期待していたら、菅田将暉は劇中ずっとカタギの商売をしているので拍子抜けしてしまう。
菅田将暉は劇中で、クリーニング工場に勤めていて、その働きぶりを認められて幹部候補になるも、
転売ヤーの先輩に一口100万円の怪しい儲け話に耳をかさずに、昇進の話しを蹴って、クリーニング工場を退職。
何で、ある程度稼いだ金持ちって、怪しい商売に走るんだろ?
俺が実演販売員のカリスマの人に弟子入りしかけた時に、弟子にしてくれないのに、マルチ商法に勧誘されて一口乗らないか?って、誘われたなぁ、果物のベリーを抽出したドリンクで、
「 これで癌が治った人がいるんだよ?」
って、言われてさぁ?んなわけねぇーから、LINE既読無視しました。ブロックはしなかったけど。
閑話休題、菅田将暉はぼろ儲けした金で湖の近くの、ホラー映画に出てくる強盗や殺人鬼にここを襲ってくださいと言わんばかり死亡フラグが立ちまくりの一軒家に引っ越す。
ちなみに、家賃7万円なんだけどそんな格安物件あり得ないと思うけど関係ないのでスルー参照。
菅田将暉の彼女に「 お母さんが一緒」の三女役だった古川琴音、この彼女なんだけど、発する言葉の端々になんか違和感を感じるのが気味が悪い。子持ちの彼氏とうまくいっていないからではなく、この気味の悪さは後々伏線となる。
菅田将暉は、雑用を手伝うアシスタントを雇うも、菅田将暉的ルールを守らなかった為に速攻クビにする。
「 何かあったら呼んでください」
と、気味の悪い一言を残して。これも後々伏線となる。
転売ヤーがやりがちな偽ブランドを転売するという悪事の被害者達がネットにスレッドを作って、菅田将暉の隠し撮りをうPしたり、本名を調べたり、住所を特定して菅田将暉を成敗しようとする動きがあるが、警察に通報すると自分が過去に偽ブランド品を転売していた事がバレてしまうので、にっちもさっちもいかなくなる。
と、まぁこれまでが腕時計で測って、約1時間15分くらい続くのだ。トランスフォーマーONEで、トランスフォーマーが完全体になる時間よりは早いからいいけど、ちょっと、長いかなぁ?
黒沢清監督作品にありがちな、
謎の心霊現象。
特定の人にしか見えない幽霊。
ひとりでに開く扉。
街中で見かける電波の人。
突然、プッツンして人を殺す人。
世界の終わりに必ず立ち会う役所広司、ドラゲナイ、ドラゲナイ。
のお約束が、全く無く、
唯一のびっくりシーンが菅田将暉の新宅のガラスに投げ込まれるのが、車のエンジンときたもんだ。そこは、カラスか、豚の生首でしょーよ?
でも、安心してください!履いてますよ!
じゃなくて、いつもの黒沢清監督の虐殺はちゃんと始まりますよ?
さぁ!皆さんお待ちかねの虐殺が始まります!
諸君、私は虐殺が好きだ。
諸君、私は虐殺が好きだ。
諸君、私は大虐殺が大好きだ。
以下、略。
名前と役柄には一切触れないけど、劇中に登場する怪しい人達がキレまくる!キレまくる!
え?この人本当はこんな人だったの?何それ怖い!
と、スパイの家で僕らを裏切った( おい) 黒沢清監督が過去作よりも、大盛り、厚盛り、デカ盛りで、バイオレンスを魅せてくれる。お帰りなさい、黒沢清監督、ずっと信じて待っていて良かったです!
ラストに菅田将暉がどうなるかは、ナ・イ・ショ❤️
皆さんのレビューを読むと、ラストの車の中から見える景色の意味が分からない人が多いですね。黒沢清監督を追っている人って、少ないのかな?あの車のシーンは黒沢清監督のお約束なのですぞ?
ラストは二人が空中を飛んでいるかのように見える車に乗って対話する。いつものように、窓から見える景色は曇天の曇り空。( あれ?晴天の晴れた空みたいな言い間違いか?)
今回、空中を漂うのは、スポンサーの関係で古いバスではなく、ルノーのワゴン車。
さぁ、黒沢清監督の過去作を知らない人には全く伝わらないけど、これを機に過去作を見てくれると嬉しいです。
一つ、文句を言うならば
松重豊の役は、役所広司に演じて欲しかったかなぁ?
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