「感動の物語を作りたいならSFホラーでやるべきではない」クワイエット・プレイス DAY 1 ジュリエッタさんの映画レビュー(感想・評価)
感動の物語を作りたいならSFホラーでやるべきではない
感動の物語を作りたいならSFホラーでやるべきではない。
視聴者はホラーやSFにそんなものは求めていないからだ。
怪物の登場により一夜にしてマンハッタンは廃墟と化すわけだが、
そのシーンが全く描かれていなかった。
わざわざ滅亡の初日を描く必要があったのか?
一夜にして廃墟と化すにはいかに激しい攻防があったのか?
どこから現れたのか?軍や警察はどうしたのか?など描く部分は他にあったと思う。
なぜ主人公を余命わずかのがん患者にしたのだろう?
余命わずかでも死ぬことは恐ろしいのはわかる。だがこのわずかな時間にどうやって生きるのか?という問いに対しての答えが父の演奏していたバーのそばにあるピザが食べたいというものであった。
確かに余命わずかであれば大したことはできないし、リアルであればそういった些細な目的となるだろう。
しかし、あのような状況で彼女の思いにどれほどの人が共感できるだろうか?なかなか想像できるものではないと思う。
そのため、主人公の思いを演出で活かすために彼女の最後のピザを食べるという
展開になっていくわけだが、これがSFホラーではありえないほどの退屈とメリハリのないものになっていた。
ラストでそのお礼を彼女自身の命でするわけだけど、その終わり方もなんだか
劇的でもない微妙なものだった。
最後の最後で死を選択するときに、あのような死に方を選ぶ人がいるだろうか?
怪物にやられて死ぬとかいう自殺は選ばないだろうなあ。
なんだか、わざわざ大げさな設定をして感動の物語をやろうという目的はチグハグなのではないかと思った。