「主人公の設定は斬新だが、前2作と視点を変えてもよかったのでは?」クワイエット・プレイス DAY 1 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公の設定は斬新だが、前2作と視点を変えてもよかったのでは?
通常、ホラーとかサスペンスでは、登場人物が「生き残る」ために奮闘するものだが、この映画では、冒頭で、ホスピスに入所している余命幾ばくもない女性が主人公であることが分かり、驚かされる。
怪物が襲ってくる阿鼻叫喚の中、生き延びるためではなく、死ぬ前に行きつけの店のピザを食べるために行動する彼女の目的は面白いし、そんな彼女が、多くの人々が死んでいく状況で、生き残ってしまうのも皮肉である。
猫以外に「友達」がいなかった彼女が、彼女を慕って行動を共にする青年との間に友情を育み、父親との思い出の場所で、幸せな時間を過ごすくだりにも胸が熱くなった。
ただ、一般市民の視点から、得体の知れない怪物の恐怖を描いているという点では、やっていることが前2作と同じで、「音を立ててはいけない」というスリルとサスペンスや、怪物が襲来した時のアクションとバイオレンスに、特段の目新さは感じられなかった。
その怪物にしても、宇宙空間で生存できていたはずなのに水中で溺れてしまうという情けなさで、いくら大挙して襲ってきたとしても、それで人類が滅亡の淵に追いやられるとはとても思えない。
せっかく「最初の日」を描くのであれば、そうした疑問を払拭するためにも、これまでとは視点を変えて、怪物に対する人類の組織的な戦闘と、近代兵器が役に立たずに追い詰められていく人類の姿を、真正面から描いてもよかったのではないだろうか?
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