かくしごとのレビュー・感想・評価
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血のつながりがなんだ
血のつながりがある父、血のつながりがない少年、その間で過去に刻まれた傷を、それぞれが絶妙な距離感とウソで埋めていく。3人が抱える不安は、粘土でゼロからカタチを作っていくようにして、唯一無二の家族が生まれた。実際劇中で三人で粘土をこねて、ひとつの作品を作るシーンは終始、細い糸の上を歩くように進む物語の中で和まされた。
ラストの少年のセリフは映画史に残る名台詞だと思う。
思わぬサスペンス展開はいいけれど、論理がいい加減で浅く残念
認知症のお話でしょうから重いだろうなぁ、を覚悟して鑑賞しましたが、佐津川愛美演ずる友人役の久江が居酒屋でビールを二杯飲んだにも関わらず「これくらい平気よ」と帰途車を運転と言い放った瞬間に、私の中の違和感が一挙に暴発してしまいました。文化庁の援助も頂いている映画なのにアンチモラルな描写でいいのかしら?とドギマギしてましたら、案の定の必罰展開で逆にホッとしたくらい。ここから転調しサスペンス色が強まる作劇で、スクリーンへの集中を欠くことはありませんでした。
「かくしごと」ってタイトルが意味深で、主人公千沙子役の杏と友人の久江の2人の人には言えない事件の隠し事が第一義ですが、どんでん返し的ラストでもう一つの隠し事が明らかになり、エンタテインメントに真相の奥深さを描く力技を見せつけてくれる。さらに千沙子は「書く仕事」に就いておりそのセレブリティが悲劇を導いてしまう構造が巧みです。であれば東京を留守に長野の山奥に長期滞在しようと金銭的に何の支障もないわけで。脚本も監督の関根光才ですが、原作があるようでそのタイトルが「嘘」とのこと。その原題タイトルがラストにセリフで出される仕組みが巧妙でもあります。
それを(設定上9歳)少年役の子役の口から言わせ、あまつさえ悪役(なおかつ少年の継父)が殺害される瞬間を目の前で受け止める役を演じさせるとは大丈夫? と思って心配するくらい。扮する中須翔真君は実年齢が現時点で13歳ですが、ハードな撮影がトラウマにならなければいいのですがね。フツーはカットバックで殺害現場で恐怖の表情の子役を描いても、当然に別撮りでしょうから。
嘘に対峙すべき本作のテーマは認知症だったはず、ここでも本作は意外な展開に観客を引きずり込む。名脇役の酒向芳扮する医者のセリフ「認知症は逃げ場なのかもしれません」と。生真面目な人ほど思いの丈を押し殺し、救いの先の忘却に逃げてしまうと。原作由来と思われますが、確かに一面を表しているでしょうけれど、当のご本人達にしたら詭弁でもありましょう。なにより本作のキーマンであるべき奥田瑛二扮する認知症老人が、本作の主旋律に些かも関わらず、伴奏に終始しているようにしか見えないのも、そんな観点が遠因かもです。
演ずる奥田も常に猫背でうつむき状態、確かにセリフは奥田の声ですがお顔をなかなか正面から捉えないのは、他でもない本作自体が認知症と正面きっていない証左とも思われます。娘のセリフにも、父を要介護と認定さえしてくれればさっさと施設に送り込んでしまいたいと、あけすけに言うのですから。クライマックスでも最初に刃物を突き付けたのは父親だったのに、その後は裁判でも一切触れず仕舞い。忘却に逃避したと言う老人が娘の危機に、刃で立ち向かおうとした事実と論理が破綻していませんか? 本作の大きな瑕疵がここにある。
主役の杏は当然に実体験でも母親でしかも離婚と、身の丈にあった演技で、子供喪失の深みは十分に伝わりました。東京で颯爽とキャリアを積んだ大人の女性として、ふんわりボブのヘアスタイルが様になってます。けれど、いつまでたっても美しいヘアスタイルのままってのは、監督さんいけませんよ。フランスからちょいと日本に出稼ぎに、映画の主演しておりますって感が漂ってしまうのですから。少年の母親に裁判で吐露させるのも中途半端で奥がないのも残念。
わざわざ古臭い中古のクラウンバンを主人公の愛車にする意味も、一家を訪ねる際のスパイもどきの調査員なりすましも無謀で堂に入り過ぎ、バンジージャンプの真相も一切描かず、少年対軽自動車の事故なのにケガひとつない? 諸々推敲不足が否めず残念です。
ラスト「子供と動物には敵わない」と思い知らされる
田舎ってどうしても飲酒運転に寛容だよね…(いくない)
嘗て子供を自らの不注意で死なせてしまった千紗子のトラウマを上手く真夜中に起こしてしまった少年との事故に重ねて重厚な作品に仕上げたと感心。
監督凄い!
また奥田瑛二が更に重たい。
還暦になる自分自身に重くのしかかるわ。
自分もボケるんじゃないかと言う恐怖。
オープニング『ポツンと一軒家?』って思ったのはご愛嬌(笑)
最後ハッピーエンド風?なのもいい!
杏の涙にも重たさを感じます。
介護の辛さに共感
認知症の父の世話と偶然現れた男児との生活。本当の家族のような大変でも平和な日常。でもずっと続くことはなく。やっぱり「かくしごと」はいつかバレる。
最後の杏の顔が突き刺さって涙。父親役の奥田瑛二が完璧な認知症おじいちゃんだった。
君と私の為。
疎遠だった父の孝蔵が認知症を患い実家へ戻る事になった絵本作家里谷千沙子の話。
地元の友達で福祉課で働く久江と再会、その夜、久江の車で飲みに…、運転代行着くまで1時間と久江の息子絡みで急遽飲酒運転して帰ることに…、話に夢中なった道中、1人の少年を車で跳ねてしまう、公務員、シングルで息子と飲酒がばれたくない事から、救急車は呼ばず千沙子の実家へその少年を連れてく事に…、体に怪我は無いかと服を脱がすと事故で出来た傷ではなく虐待の傷跡が…。
何処の子供と分からないなか、流れてきたニュースで知る少年の名前、捜索してると分かってても虐待の傷を見ると、両親の元へ返して子供の為にホントにいい環境なのかと、久江の反対する言葉も振り切り、自分で育てようと…、話の展開が展開なだけにハッピーエンドは無いなと思いながらも。
どんなに拓未にとっていい環境であっても誘拐扱いという日本の法、どんなに不利であっても親身になってくれる町医者の亀田先生くらいには話をしておけば少しは気休めになるんじゃない何て思った。
血は繋がらなくても千沙子といる拓未は幸せだったと思うし、最初から全て分かってるんだろうなと拓未の気持ちは察しはついたけれど、ラストの「僕のお母さんはあの人です。」で拓未が千沙子へ送った視線にはやられたね。(涙腺崩壊。)
その言葉を言って切った様に終わる終わり方も個人的には良かった。
家族愛
田舎での千紗子と父親と少年の3人のゆっくり流れていく幸せな時間をずっと観ていたいなと思いました。事故で息子を亡くした千紗子の少年を見る優しい表情と裁判所で少年が千紗子をお母さんと言い切る真剣な眼差しが印象的でした。
ミステリー作家が描く感動作 !そのかくしごとは罪か愛か?
「認知症は救いなのかもしれない。」
ミステリー作家が描く感動作 !そのかくしごとは罪か愛か?
▼あらすじ
作家の千紗子は父が認知症を発症し、介護のために田舎に帰る。ある事故により記憶喪失の少年と一緒に暮らすことになるが、千佐子は少年に自分が母だと嘘をつく。歪な3人の共同生活が始まる。
▼感想
完成披露試写会に招待頂きました!ありがとうございました!
すごい映画を観た。
「認知症患者」、「児童虐待」という現代社会の2つの課題・問題を扱った感動作だった!
特に自分は「認知症患者」について考えさせられた。
千佐子と認知症患者の父の生活はリアルすぎて少し苦しかった。だけど、千佐子と村のお医者さんが認知症患者について語るシーンは忘れられない。自分の親がもし認知症になったら、この映画をもう一度見てから向き合おうと決めた。
この映画のすごいところはただの感動的なヒューマンドラマでなく、ミステリー要素も上手く盛り込まれているところ!原作小説の「嘘」はミステリー作家が描く感動作と言われているが、まさにその通りだと思った。ミステリー映画好きにも楽しめる作品!
主演の杏の演技は特に「顔」が印象的だった。物語冒頭は独身のキャリアウーマンのような顔つきが、徐々に母親の顔つきになっていった。トークショーで杏が「今の私だから演じれた。」とおっしゃっていたが、その意味を演技を通して確かに感じた。自分の杏の代表作品はこの映画になった。
試写会後はなんと関根監督とお話しする時間が!だけど、緊張と鑑賞直後で気持ちが整理できていなくて全然感想を伝えられなかった。
このレビューがいつか関根監督に見てもらえるといいな。
最後に顧客打合せと上司に嘘をつき試写会に行ったことが私のかくしごとです。
▼お気に入りのシーン
初めて千佐子が息子を抱きしめるシーン!
このシーンで千佐子の顔が母親の顔になった。
ラストシーンにやられた!
今日の試写会は『かくしごと』完成披露試写会。
鑑賞前の舞台挨拶で、キャスト自身が口々に本作を称賛しハードルを上げてくるから、かなり期待値を上げて見たんだけど…、
ラストシーンにやられた! 本当の『かくしごと』とは何なのか? そして、あの杏のラストショット、痺れた!
車ではねた子供に虐待の後があったとしても、さすがに自分の子供として育てるなんて覚悟できる(?)なんて思って見てたら、この女、過去に傷を抱えていたのか。
ひとつ屋根の下に、事故で記憶を失くした少年と、認知症で記憶を失った父。記憶を失くした者たちを娘であり母である千紗子(杏)が繋ぐ擬似家族。
私も祖母に「どちら様ですか?」と初めて言われた時はぞっとしたのを思い出した。
私の父も晩年は排便もままならず、奥田瑛二と杏の姿が、我が父と妹に重なった。
幸せな家族の日々が続けば続くほど、崩壊への序曲が聞こえてくるようで怖い。
そして「その日」がやってくる!
「老人介護」「児童虐待」という思いテーマを抱えながら、観るものに「あっ」と言わせ、感動を呼ぶミステリーでもある。
「杏」、子役の「中須翔真」、「奥田瑛二」、三者の演技が「神」!
『かくしごと』は6月7日公開予定。映画ファン必見の傑作です。
心に刺さって苦しい。
主人公の千紗子に自分を重ねながら鑑賞した128分。
貴方ならどう思うか?
貴方ならどうするか?
本作が終始揺さぶりをかけてきて色々考えさせられる。
それが罪なのか?
それとも愛なのか?
答えは人それぞれ違うのかもしれないけれど…
平穏で当たり前な日常と小さな幸せを守れる世界が来ますよう祈らずにはいられなかった。
拓未くんの真っ直ぐな澄んだ瞳が忘れられない映画。
介護は親子関係の築きの上に成り立つ
皆、愛に飢えてて苦しかった。
それぞれが抱えているものも守りたい誰かへの愛ゆえなのがまた苦しい。
色んな喪失があるけど、同じ形にはまるピースはなかなか見つけられないのに、ピッタリはまってしまったら誰だって欲しくなるはず。
たとえそれが許されないことだったとしても。
上手く行かないことに学びがあるのだとしても、神様は意地悪だなあと思ってしまう。
ほしい人の所にほしいものが全て届けばこの世に争いはないのに。
この世に生まれてきた人全員が必ず体験する親子関係。身近だからこそ距離感を間違えると取り返しがつかなくなるけど、未来が見えるわけじゃないからその時の自分の信念で発した悪気のない言葉が、相手に致命傷を負わすほどの深い傷になることもあるだろう。
遠慮のない関係だからこそ、許せない事だってある。
その築いてきた親子関係の上での介護。
この問題はとても身につまされたわ。。
もうそろそろだよなと思っているのもあり、色んな覚悟を突きつけられた気がした。
できなかった事ができるようになるのは喜びがあるけど、できた事ができなくなるのは悲しみしかない。
毎日動かなくなる頭と体にどうにもならない焦りを感じるのは他でもない本人なのだ。
その喪失は、千紗子のそれとはまた違う大きな苦しみで、観ていてとてもしんどかった。
千紗子の選択がどのような結果になったか、みなさんも是非ご覧ください。
杏さんの母性に涙涙涙
もし自分が彼女の立場になったら、、
どうするかな?
と考えさせられる映画でした。
私の息子として育てるという
勇気と覚悟は
犯罪なのに、、?という
疑念を凌駕するくらい
力強くて、カッコよくて、
応報したくなる、、
なんとも言えない、杏さんの魅力が溢れていました。
日本ももっと養子縁組が増えていけば
また違ったストーリーになって行くのかな?
ネグレクトも見つからないスレスレの子が
たくさん居るんだろうなと、
考えさせられました。
ホテルでパーティばかりしている
政治家にも観て欲しい映画だなぁと
染み入りました。
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