劇場公開日 2024年6月7日

「飲酒運転、ダメ、絶対」かくしごと サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5飲酒運転、ダメ、絶対

2024年6月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

難しい

「ミッシング」という社会派ヒューマンドラマの傑作を見たばかりだと、なんか核心に迫れていないというか、そもそもテーマが定まっておらず、ちょっと粗が多いかなと思ってしまった。

かくしごとというよりも、認知症の父、子を失ってしまった女性、DV被害を受けていた少年の三つ巴的な、3人の家族愛みたいなのが主軸だから、予告とは結構印象が違うな〜ってのが正直な感想。杏の海から這い上がるシーンなんか特にそうだけど、無駄に感じる演出が多く、全体的にリアリティに欠けているため、何かが足りないと思ってしまったのかも。

ただ、認知症の父を演じた奥田瑛二がとんでもない演技を見せてくれるため、ストーリーどうこうより、彼の怪演だけでも一見の価値のある作品だと思う。ああ、もう奥田瑛二って認知症になっちゃったんだ、ってレベルで上手い。あまりに上手くて怖かった。加えて、認知症に対する考え方はこの作品随一であるため、深く心に残った。「得体の知れない壁と戦っている(曖昧)」。酒匂芳もいい味出してた。

ここで結末にもっと独自性があればよかったんだけど、まあそうだよなっていう普遍的な方向に走っちゃったから、もうひとひねりあればすごい作品になっていたと思う。でも、いい映画ではあった。粘土に色を塗るシーン、グッと刺さったな...。だからといって、飲酒運転を肯定しちゃアカンぞ!!!

サプライズ