劇場公開日 2024年5月24日

バティモン5 望まれざる者のレビュー・感想・評価

全44件中、1~20件目を表示

3.5社会問題に切り込み、生々しくパワフルなラジ・リ演出

2024年5月30日
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鑑賞方法:試写会

相変わらずラジ・リ監督の紡ぎ出す物語は、観客がその場の喧騒に巻き込まれているかのような臨場感に満ち、絵作りも非常に生々しく、パワフルだ。移民家族が数多く暮らす居住棟エリア「バティモン5」を舞台に、行政と住民が両極に分かれて怒りの感情を衝突させる様を、明確な対立構造とマクロとミクロの目線で炙り出した本作。血も涙もなく政策を推し進める臨時市長と、住民らの状況を見るに見かねて動き出した代表者という、両陣営を率いる二人を旗印にした人間ドラマもスリリングに展開する。ただ作品的にどうしても住民目線になりがちで、臨時市長があそこまで頑なに政策を断行しようとした心理や背景についても知りたかった・・・と言うのは欲張りすぎだろうか。ともあれ、この監督の今後への期待は本作でも高まるばかり。パリ郊外(バンリュー)に依然として残る深刻な社会問題に関して知識を深める上で欠かせない現代の神話とも呼ぶべき一作と言えよう。

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牛津厚信

4.5タイトルなし

2024年6月20日
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鑑賞方法:映画館

B級映画ではあるが、リアリティがおる。正直ひどすぎる。アビーの力強さが希望であり、一方で、一見クールだった彼がキレるシーンは衝撃的だ。

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えみり

5.0「レ・ミゼラブル」よりも過激か

2024年6月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

「レ・ミゼラブル」も面白かったが、これはもう救いがないね。タイトで緊迫感のある演出で見応えがあった。これがリアルなフランス、ヨーロッパなのかな。近代から現代にかけて成立した「国民国家」という概念が、あまりにも空しい自己満足の虚像に思えて怖い。安価な労働力受け入れ、移民・難民を受け入れることが正義というような理念は綺麗事でしかないと思われて悲しくなる。テレビの報道で、入国管理が厳しく難民受け入れに冷たいと言われる日本だが、この映画を見て恐ろしくなる。経済格差による貧民の流入は悲劇しか産まない。どれだけ時間がかかろうが、血が流れようが、自国内で解決してもらうしかない、としか言えないのではないか。「幸せ」の総量はきっと決まっていて、どこかが出っぱると、どこかが凹むんでしょう。

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羅生門

2.5不完全燃焼

2024年6月17日
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鑑賞方法:映画館

エンディングを観ながら
「うーむ、そこからなんじゃない?お話は」
って思っちゃいました。

全体的に行政側の横暴を描いているだけ
なんじゃないかなぁ?って思ってしまいました。

まぁ、「実はこういうことがあるんです」
という目的であれば十分かなぁ?とは
思いますが、映画としての面白みとしては
もう少し欲しいところ。

(いけ好かない)市長の葛藤する表情と
アビーの歩む方向に将来の期待をする
制作側・・・ってとこかなぁ?

もうちょっとだったかなぁ?

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バリカタ

3.5で?って、心の声が。

2024年6月17日
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鑑賞方法:映画館

そりゃないよね?
市長、だめでしょ。
ってか、なんで市長になったんだ?
医者のままで、いいじゃないか。

たはだ、権力手に入れて、圧力で私情の恨み晴らして。
逆恨みされる想像力もなく。

で?

どちらもこの先どうすんの?

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ミツバチば~や

2.5社会派。消化不良。

2024年6月17日
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鑑賞方法:映画館

難しい

前半社会問題について解説をしながら新市長がだんだんと市民目線から遠のいていく。
途中反発が起きてイベントが起こり盛り上がる。
それと別の事件が起こり、結末。

物語の進行フォーマットが「悪は存在しない」に似ているように思う。こちらが先だろうか?

風呂敷を広げすぎてたためていないのが残念。

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たか

3.5近い将来

2024年6月15日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

まだ、日本では起きていないが近いうちに直面する。

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こえん

3.0移民問題

2024年6月15日
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鑑賞方法:映画館

日本でも僅かではあるが、外国人労働者の問題が取り沙汰されている。労働人口が海外の方に頼らざるを得ない一方、こういう問題が出てくるのだと、身につまされる思いであった。

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hanataro2

2.5パチモン新市長

2024年6月12日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

なんだかな~
監督力み過ぎ。
パリ郊外の移民がほとんどの町で古いマンモス団地爆破式で急死した市長のあとに担がれた白人の小児科医の新市長。副市長の黒人に死んだ市長の公団住宅建設の汚職の責任を被せようとする仲間の与党議員たち。そのへんの内情が一番興味があったが、アビーとかいう役所の若い黒人女性の見習い職員が市長選立候補とか、その彼氏が荒くれるなどなど、突飛な展開について行けず。
放火は立派な犯罪です。
武蔵野館の受付で「パチモンファイブ一枚」って言っちまったのがいけなかったのかも。
フランス郊外の移民団地の映画なら、「ガガーリン」のほうが好き。
隣のおじさんなんか半分は寝てた。

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カールⅢ世

3.0フランスあるある?

2024年6月9日
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鑑賞方法:映画館

こういう団地ものってフランスあるあるなのかな。
貧国、移民、宗教っていろいろと難しいんやなあと改めて思いました。

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khapphom

3.0🤔

2024年6月8日
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鑑賞方法:映画館

人の“我慢の限界”を超える瞬間を見た。
ここでいう『クリスマスなのに』の捉え方って日本人で言うところの『正月早々』かな。
そう思うと今年のお正月に地震で被災された方々はこんな気分だったのかな、と思う。でも映画と違って怒りをぶつける先の市長が居ないからホントいたたまれない……

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らまんば

3.5それぞれの信じるものとそれぞれの正義がぶつかりあった結果、だれかし...

2024年6月7日
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鑑賞方法:映画館

それぞれの信じるものとそれぞれの正義がぶつかりあった結果、だれかしあわせになったひとはいるのだろうか。
それでもやはり、力に力で対抗するしかないのはかなしいし、対話の可能性を私はあきらめたくない。

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kikisava

3.5歩み寄れない厳しさ

2024年6月3日
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鑑賞方法:映画館

移民対策は難しいが、強制退去させられるところ、住民からしたらそりゃないだろう。子供たちを見て ちょっと涙が出た。

住民の話を聞く事をしない新市長。傾聴しないのが一番ダメなんじゃないだろうか。
小児科医で、住民のために動かなきゃという志があっただろうに、反対の方向へ。。
ブラズが怒りを爆発させるのは無理もない。その後の行動を肯定はできないが。。
食い止めなきゃいけないもの、双方にあるけど、もっとうまい方策はないものか。
アビーのような人は大事。
ここで終わり?という感じで映画は終わる。問題は解決しないまま。
上映時間は長くなくて良かった。

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ふわり

3.5一緒に行けるぬいぐるみは、1つだけなの?

2024年6月3日
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 映画は興行です。エンタメ産業です。そこで、このお話を興行するのは、何故ですかね。
 自由、平等、博愛のクニの現状と、どこまてリンクしたお話なのか、分かりませんけど、全くのデタラメなわけもなく、たった一つの落書きから、誰もが望まないディストピアへまっしぐらな様は、果たして他人事なのか、私達の未来なのか…?。

 このクニの、何処の街だが覚えてませんけど、クルドの皆さんが暮らす街が、分断状態だとか。双方の言い分あるようですが、どうにも溝が埋まらない。この話に関心領域のある方、このクニにどれほどいるのか不明ですが、学校で無味乾燥な歴史の年表覚えるより、この映画観て、クラス討論会でもした方がマシな気がします。尤も、入試問題に関与しない授業で、ただでさえ忙しい学校の先生に、これ以上の期待と負担を、押し付けようとする考えの方が、このクニの問題かもね。

 家を追い出される気持ちって、想像できます?。シリア、アフガニスタン、ウクライナ、ガザ、そして、まさかのパリ…。
 先日、何でもないことが幸せだったと思うって、主人公が呟いたら、それ、ギャグですか?って、突っ込まれる映画観たんですけど、それくらい、他者の不幸にヒトは鈍感なものです。
 分断と不寛容の果てに何があるのか、身をもって体験したくもないし、映画で観ているだけでも、しんどい。いきなり家を追われた子ども達、その後、どんな大人になると思います?。あの時、一緒に家を出たミニカーやぬいぐるみ、きっと一生忘れられない記憶になりそう。

 あの子たちが築く未来は、どんな色をしているんだろう…。

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機動戦士・チャングム

3.5フランス語とアラビア語/英語のセリフが字幕上でも区別できた!

2024年6月3日
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背景は映画「レ・ミゼラブル(2019)」と同じパリの郊外(バンリュー)、社会派の問題を取り扱う。やや既視感があった。製作陣だけでなく、登場する俳優にも共通性があり、一方、前作の冒頭(サッカーW/Cでのフランス代表の勝利)のような華やかさには欠けていた。
低所得者用の賃貸集合住宅(HLM)に見えるけれど、作中の説明に従えば、それぞれの部屋は分譲されている5号館(Batiment 5)が舞台。外観はル・コルビュジエ風だから、できたのは70年代か。エレベーターも動いておらず、セキュリティーの配慮はなし、移民たちが住んでスラム化している。無許可の食堂まである。以前にはユダヤ系の移民が暮らしていた痕跡が出てくる。
ある出来事があって、その地域(モンヴィリエという仮想の市)を支配している政党(おそらく極右)の談合により、未だ若い小児科医である市会議員ピエール・フォルジュが、市長代理に任命される。彼は、そのポストに就いたとたん、本来持っていた正義感が前面に出てきて、老朽化した建物の住民を強制的に追い出し、建て替えようとする。当然、住民たちとの緊張が高まり、衝突する。前作では、警察の犯罪対策班と少年たちの争いが中心だったが、本作では、行政側と住民の抗争が中心。政治色が強まった。
時代は、マリからの移民である監督ラジ・リがさまざまな経験をした2005年頃らしい。ピエールは、アラブ系、アフリカ系の移民たちには冷たいが、英語しか話さないシリアからの難民は、キリスト教の信者だからという理由で大事にする。移民にも変化がある。移民1世から中心は2世、3世に移行しつつあり、それまでフランス社会の発展を底辺から圧倒的に支えてきたマグレブからの移民(アラブ系)に、サハラ砂漠以南のアフリカからの移民が増えている。1世がいるとアラビア語が聞こえてきて、日本語字幕でもフランス語とは区別されていた。
移民とはいえ、2世、3世ともなれば完全にフランス人だ。そこで、リーダーになろうとする者が出てくる。マリからの移民2世であるアビーは、市役所でインターンをしながら、移民の支援団体を運営しているが、彼女がピエールに対抗して市長選に挑むというわけだ。
ラジ・リは組織化が得意で、政治への参加も厭わないが、信条は非暴力、それがアビーの行動に反映している。しかし、アフリカ系の若者の暴力傾向を、本当に抑制できるのだろうか。アラブ系に多かったイスラム教色もやや薄れ、クリスマスにツリーを飾り、プレゼントを贈るところまででてくる。前作で出てきたロマのような特異な人たちや、悪に手を染めながらも、解決策を見出そうとする副市長のロジェにもさらに活躍して欲しかった。次回作は27年か。また観たい。

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詠み人知らず

4.0日本人には刺激的なフランスの姿。

2024年6月1日
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ミシェル・ウエルベックの描く近未来みたいに、そのうちムスリムの大統領誕生、、、の前にまずはムスリム系女性市長誕生への道筋を描くのかと思いきや、もっと足元で起こっているリアルタイムの怒り炸裂エピソードだった。
冒頭からこれってドキュメンタリー映像?と思わせる。
クリスマスイブという欧米限定の聖夜を「商業的に祝う夜、ってことで大いに祝っていいじゃない?」という日本人にも相通じる目線で楽しもうとしているムスリムの移民たちを襲うまさかの仕打ち。
それなりの犠牲と、諦めと理性に満ちた若きヒロイン。
なので最悪の事態は回避されて、後味は悪くなかったです。
あと音響、良かった。
マクロン大統領の人気のなさが透けて見える。オリンピック、平穏に開催されるのだろうか。
蛇足ですが、自分だったら「5分で出ていけ」と言われたら何を持ち出そうか、、、とついつい必死で考えてしまった。

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Kumiko21

4.5期待度○鑑賞後の満足度◎ 壮大且つ卑小な「市民生活の改善」という美名の下に行われる人間駆除劇。映画としての力強さに感心した。

2024年6月1日
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①最後まで理性的なヒロインの姿勢が本作にドラマとしての公平さと節度とを与えている。

②ものの十数分のうちにアパートから全居住者が強制退去させられるシーンは、そこらのホラーより余程恐ろしく、そこらの大作より余程スペクタクルである。

③人間にとって一番尊重されるべきものは“生”と“死”の筈である。
そのうちの“死”において、荘厳されるべき死出の旅の乗り物である「棺」を運び出すのも一苦労するアパートの構造・老朽化・荒廃を描くところをオープニングに持ってきた構成は上手い。

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もーさん

4.5誰がブラズの愚行を笑えるのか

2024年6月1日
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移民社会における分断を描いた作品で、日本でも現実問題になりつつあるテーマ。
確かに直情的ですぐ乱暴な行動に走るブラズは愚かではあります。現実的にはアビーのようなアプローチが望ましいのでしょう。
しかし、追い詰められた側がその結果怒りを直接的に表すことは現実にはあるわけです。そこに追い込んだ側の責任もきちんと描く本作は秀逸な社会派映画として、深く心に刺さった作品です。

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よして

4.0自分の国じゃない所で暮らすのは大変だけど、自分の国以外の人を受け入...

2024年5月31日
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自分の国じゃない所で暮らすのは大変だけど、自分の国以外の人を受け入れる方もこれまた大変。老朽化したマンション問題に移民受け入れ問題、勝手に住み着く問題。少子高齢化の日本もこれからどうなって行くのか?不安になった。美しい国日本(本当に心からそう思う)がいつまでも続いて欲しい。気がついたら‥‥なんて事には絶対なって欲しくない。ラストのブラズを置き去りにしたアビー、そりゃそうだよね、もうこれ以上一緒にはいられないよ。

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ダリア

4.0現代日本の問題としても捉えるべき作品

2024年5月30日
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中東などからEU圏を目指した難民を、ポーランドとベラルーシが押し付け合うという凄まじい蛮行を描いた「人間の境界」も凄い映画でしたが、フランスに正式に移民として渡って来た人たちですら、フランス国内で不当な扱いを受けていることを赤裸々に描いた本作も、実に驚くべきお話でした。
題名の「バティモン5」というのは、労働者階級の移民の人達が数多く暮らすパリ郊外の一角の通称のことらしいですが、ここに暮らす移民2世のアビーと、臨時市長になったピエールの対立を軸にしたお話でした。同じ移民でも、副市長として完全に体制側に立つ人もいるし、要職に就いていなくても体制側に順応する人もいる。一方アビーのように市長選に立候補して正面から状況を改善しようとする人もいるし、さらにはアビーの友達以上恋人未満のブラズのような過激派までいて、それぞれのキャラクターに明確な役割があてがわれていて、その点フランス国内の移民問題の構図が分かりやすく描かれていました。

勿論臨時市長となったピエールの側にも、街の治安を維持し、荒廃した地域を再生するという役割を果たすという目標があり、一概に悪者という訳ではない描き方がされていたところがミソ。その点「人間の境界」ほどの直截的な非人道性はないものの、マンション火災の発生を奇貨として数時間以内に住民を強制退去させると言った手法は、明らかにやり過ぎ。その結果ブラズのような過激な行動に訴える者も出て来ることになり、ピエールの目標はむしろ達成されないことに。

結論として、行政サイド、移民サイドそれぞれの利害関係者のバランスをどのように成立させるのかを、観客に考えさせるというのが本作の意図だったのでしょう。

最近我が国でも、安倍政権以降の移民受け入れ政策への転換により、直近10年で在日外国人の数は200万人程度から300万人以上と1.5倍程度に急増しています。そしてバティモン5的に移民の人達が多く暮らすエリアというのが形成されており、元からの住民との間で軋轢が発生していることがたびたび報じられています。これを如何に調整するのかは、国であり自治体でありの責任ですが、我々1人1人にも街の平安や個人個人の自由を維持する責任の一旦があると思われます。そうした意味で、本作は現代日本の問題を描いた作品だったとも言え、実に意義深いお話だったと感じました。

そんな訳で、本作の評価は★4とします。

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鶏