「未だ大きく横たわる」バティモン5 望まれざる者 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
未だ大きく横たわる
映画.com試写会鑑賞
「レ・ミゼラブル」と同じく、パリの郊外が抱えた問題を描いた作品。
長編ながらも105分というコンパクトな尺で、この重さはすごい。
とにかく残ります。
移民問題から人種・宗教差別を絡めた、行政と住民との戦いと言っていいのでしょう。
行政側の意図もちゃんとわかり、一方的な悪意だけで無いとはわかるものの、それはあまりにも横暴。
理解し合えない行動は遺恨となり、恨みから暴力へと変わっていく。
その連鎖の先にある、奪われた者と奪った者にもある喪失も描かれていました。
そのラストのカットも強烈で、バティモン5を舐めるようなカメラから俯瞰へと変わる。
この問題は未だ大きく横たわりそこにあると、観客に突きつけるようでした。
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