クレオの夏休みのレビュー・感想・評価
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子どもの目線を徹底して描いた傑作
なんてすばらしい映画だ。鑑賞中、5歳の女の子に観客を完全に同化させるような、見事な視点。パリで父親と2人家族のクレオは、カーボベルデ出身のナニー、グロリアを母親のように慕っているが、彼女が祖国に帰国しないといけなくなる。すると、夏休みの間だけクレオはカーボベルデのグロリア宅に遊びに行くことになる。
カーボベルデの家では、グロリアの実の子どもたちが暮らしている。出稼ぎで何年も母親と離れていた子どもの一人は、白人のクレオに冷たくあたる。グロリアの長女が出産すると、彼女は赤ん坊につきっきりとなり、クレオは大切な人を奪われた気持ちになっていく。
近接のクローズアップとスタンダードサイズの狭い画角がすごく効いている。5歳の子どもの小さな世界、低い視線から見える視界の狭さを体感させる。グロリア役のイルサ・モレノ・ゼーゴは、実際にカーボベルデ出身でフランスでナニーをしていたらしい。大変素晴らしい演技を見せてくれた。
陽光きらめくカーボベルデの海岸も美しかった。忘れられないショットがたくさんある宝石のような美しい映画。
演技未経験の5歳少女のみずみずしくも心に触れる表情に惹き込まれる
83分の小品でありながら、少女クレオと島国出身の乳母グロリアが交わす深い絆に心奪われずにいられない。二人の間にはスクリーンで仰ぎ見るに値する特別な化学反応がある。それこそ眼科検診で見せるクレオの弾けるような天真爛漫な言動と、それを懐深く抱きしめるグロリアの愛情をはじめ、全ての場面が瑞々しく我々の体内へと伝わり、忘れがたい思い出となって蓄積されていくかのよう。人の死や故郷に残す子供のことなど、クレオにはまだ理解しづらい事情は多い。だが一方で、我々は本作を通じて、クレオの中でどんな感情が渦巻いているのかについて窺い知ることが可能だ。思えば本作では誰もが「母の不在」に直面している。その痛みを受け止め、寄り添いあい、またひとつ成長していく。幼いながらゆるやかな気づきに至る主演ルイーズの表情が素晴らしく、時折挟み込まれるアニメーションもまた、遠い記憶から聞こえる優しい呼び声のように温もり一杯に響く。
オジサンの夏休みに観る
ああ、僕は疲れて気が弱っているのかなぁ、それとも歳のせいなのかなぁ。丁寧に撮られたこんな繊細なお話を観ると素直にウルウル来てしまいました。
母を亡くして父とパリで暮らす6歳のクレオは、アフリカから来た乳母のグロリアが大好きです。ところが、そのグロリアが故郷に帰ってしまったので寂しく、ひと夏だけグロリアの島で過ごさせてもらうと言うお話です。
もう、このクレオがとにかく可愛いのです。大好きな人とずっと一緒に居たい、一人占めしたいという幼い思いがそのまま素直に記録されています。それは勿論脚本に基づくストーリーなのでしょうが、僕には幼い女の子の日常を捉えたドキュメンタリーに思えました。日本の映画では子供が出て来る映画は「上手い子役だなぁ」と思うのですが、外国の映画では「どうしてこんなに自然なのだろう」といつも思います。子供の撮り方のどこが違うのでしょう。
それほどにありのままの子供の姿が映っているので、
「ああ、子供はやっぱり誰かに守られてる安心感が欲しいんだなぁ」
「クレオは大きくなってからもう一度この島を訪れたのかなぁ」
「こんなにも豊かな思い出は人間を形作る大きな柱の一本になっただろうな」
と様々な思いが広がりました。物語の途中でふいに挿入されるアニメーションが独特の優しさを増幅します。
揺れ動く子供心を静かに描く
まるでドキュメンタリー映画のように、クレオとグロリア達の夏の日々を静かに観る。
時折、挿入されるアニメーションが、これは創作なのだと思い出させてくれる。
徹底的に、一人の子供の心の動きにフォーカスした作品。
世界はクレオを中心に回っているようだ。
我々は、1人の少女の動きと、声と、表情と、アニメーションを通じて、彼女の心に徐々にシンクロしていく。もう遠い昔になってしまって、断片的にしか残っていない記憶を呼び覚まされるように。
育ての親への恋慕、独占できなくなった愛情、疎外感、嫉妬、行き場の無い怒り、突然表に出てきた亡き実母への想い、そして別れの覚悟。
5歳半の子供の中で、こんなにも複雑で豊かな感情が渦巻いている。
ルイーズ・モーロワ=パンザニの表現力に目を奪われる。
そして、実写映像や言葉で表現しきれない子供の心象風景を、島に吹き付ける強い風や独特のアニメーションで表現するという演出手法に唸らされる。
アフリカの離島で過ごした夏。旅立ちのため空港へ向かう車の中で、グロリアが映る。クレオの視点から徐々に遠ざかり、大人の視点に戻っていく。
抱擁の後、2人はお互い覚悟をしていたかのように静かに離れていく。
監督が最後に撮ったのは、クレオではなく、グロリアの涙であり、愛情を注いでくれた自らの乳母へのメッセージだった。
このラストシーンの演出が素晴らしい。
私は、子供から大人に戻り、クレオと過ごした日々を振り返る。そこに、何か言いようのない、純粋で、もう取り戻すことのできない哀愁に満ちたものを感じた。
静かな余韻の残る作品だった。
(2024年映画館鑑賞21作目)
クレオの心情に大いに共感!
クレオの心情、感情の揺れうごきを、クレオの表情や時折差し込まれる
アニメーションを通して、リアルに描き出していて、
思わずクレオに感情移入できてします、秀逸な作品だと思います。
冒頭、クレオの乳母であるグロリアとの関係性、つまりはクレオのグロリアに対する
絶大な信頼感と愛情を描き、
それからクレオの周囲の環境にコンフリクトが起きていき、物語が進行していきます。
グロリアの母親が亡くなり、グロリアは帰国を余儀なくされるわけですが、
クレオはグロリアの母国まで会いにいくんですね。
グロリアと共に暮らす男の子セザールは、クレオにグロリアにとられたように感じ、
クレオに冷たく接する。
グロリアの娘ナンダに息子が生まれると、今度はクレオがその赤ちゃんに猛烈に嫉妬する。
「死ね」とまで言わしめるんですよ、クレオに。
その猛烈且つ屈託のない嫉妬心が描き出された時、この年代の子どもには当然に起こり得る感情であることを
観客は理解すると思うんですね。
クレオの母国において置かれている環境は、母を癌で亡くしている、シングルファザーの父親は忙しくしているため
乳母(家政婦?)が必要、でも父親もクレオを愛しているので、すごくかわいがっているんですね。
でも、クレオにとっては常に側にいてくれたグロリアが絶対的な存在なわけです。
ここを認識しておく必要がありますね。
クレオはグロリアの母国であるアフリカで様々な体験&感情の機微を通して、ある意味逞しく成長していきます。
そして、グロリアとの別れを意識したときに、ひと皮むけるというか、大人の階段を登り始めたと思うんですね。
アフリカ滞在中に、決定的な文化の違い、住んでいる世界の違い、そういうことに気づかさざるを得ない環境に置かれ
クレオはグロリアとの別れを決定的に認識したのだと思います。
このあたりが実に切なく苦しいのですが、別れは誰にでもやってくる。それをクレオの純粋な気持ちと表情にのせて伝えている
この作品、ただものではないと思いました。
猛烈に切ないラストシーンもこの映画のクオリティを格段に上げていると思います。
終始没入することができた稀有な作品。
ぜひ、多くの方に鑑賞いただきたいですね。
可愛い子には旅をさせちゃった
もじゃもじゃ頭のメガネっ子で歯も生えそろわない6歳のクレオちゃんのプロモーションビデオである(大意)。はじける笑顔に崩れる泣き顔、小動物のような動きだけでこちらがニヤけてしまう可愛らしさは反則。ひとつ隣の座席の高齢女性は開始早々からうふふと笑っていたし、オレにしたって大泉逸郎のヒット曲が思い浮かぶ始末(孫、いないけど)。
乳母である黒人女性グロリアとの擬似母子関係をテーマに、フランスとグロリアの故郷との生活の違いや経済格差も薄っすら出しつつの、クレオちゃんひと夏の冒険という話だが、たいしたことも酷いことも起こらないので、孫を見守るつもりの高齢者でも安心して鑑賞できる。
ちなみに、途中のグロリアの発言で気づくまで、しばらくクレオは男の子だと思っていた…。
クリオの成長物語
フランスのパリで父親と暮らす6歳のクレオは、家政婦兼ベビーシッターのグロリアのことが大好きだった。ところがある日、グロリアは母の死と娘の妊娠のため、遠く離れた故郷アフリカ・カーボベルデの島へ帰ることになった。戸惑い悲しむクレオを、グロリアはアフリカの家に招待すると約束した。そして夏休み、クレオはグロリアとの再会のため、ひとりでフランスからアフリカへ向けて旅に出た。カーボベルデでグロリアの娘が出産し、息子と海に飛び込んだり、貴重な経験をしたひと夏の話。
最初、クレオが男の子だと思ってたが、スカートはいてるシーンから、女の子?と思い出して、父から、娘、という発言が有って初めて、女の子だったんだ、って納得した。
アフリカからフランスに出稼ぎに来てたグロリアの家庭も決して平穏だったわけじゃなく、特に息子は自分たちを放り出して外国へ行ってしまった母親に対し憎しみを持っていた様子など、主人公だけじゃない周りの人たちの心情が描かれてたのは素晴らしいと思った。
クレオもあんな崖から海に飛び込める勇気を持てるようになったのは素晴らしい成長だと思った。
おねしょしてもその後を描かないのも観てる人に委ねるというフランス映画らしいな、って思った。
クレオ役のルイーズ・モーロワ=パンザニが撮影当時5歳半だったそうだが、なかなか自然で表情豊かな素晴らしい演技だった。
なんとクレオは
女の子でした。
ヨシオとかカズオとか日本人の私にとってはつい男の子と思ってしまっていました。ポスターのメガネをかけた顔を見ても男の子と信じて疑いませんでした。
クレオに感情移入してしまって、最後は涙が出そうでした。
よい作品です。
こどもの育ちに愛着がどんなに大事か教えてくれるか映画
クレオの感受性が、何ともいいがたい眼差しと、演技力。
母親がなぜいないのか、グロリアの住む土地はどんなところなのか。
その、どれもこれもが徐々に明らかになっていく。とても自然に、アニメーションをうまく取り入れて。
お互いがどれだけ、お互いを愛していたのか。
その描き方が秀逸。
たしかに愛されていた実感があれば、こどもはちゃんと育っていく。
「夏休み」というよりも「ひと夏の経験」と呼んだほうが良さそうな、人生最初の転換期を描いた作品です。似たような事を体験した人なら共感度は大かも。
主役の女の子の表情が豊かで変化に富んでいて、どんな
作品なのかと内容が気になりました。半年くらい前に観
た「コット、はじまりの夏」のような少女の成長の物語
といった作品なのかな? と想像しながら鑑賞です。
さあ鑑賞開始。
割と直ぐに「コット」とは違うなと気付きました。・_・ハイ
主人公のクレオは6才の女の子。パリで父と乳母のグロリアと
3人で暮らしています。母親は病気で亡くなっていて、グロリア
の役割も最初は乳母だったと思われますが、今ではクレオのお世
話を中心に、ハウスキーパー全般に渡っているよう感じです。
クレオにとって、グロリアは大事な家族の一人になっています。
そんな夏のある日。
グロリアに入った電話が、これまでの生活を一変させる事に。
アフリカで暮らすグロリアの母が亡くなったのです。グロリア
の家に残されたのは、グロリアの娘と息子の二人だけ。
” 家に帰って、二人の世話をしなければいけない ”
クレオの父と話もついて、アフリカに帰る日が決まります。
仕方のないコト…。そう割り切ろうとするのですが、クレオは
まだ6才。悲しくて、寂しくて。心が落ち着きません。
” 夏休みになったら私の国においで ”
グロリアが残した言葉を心の支えに生活しながら、アフリカ
行きの事を父に話すのですが、真剣には取り合ってくれず…
次第に情緒不安定になっていくクレオ…。
ついには、父の運転する車から無理に降りて歩きだしたりと…。
そんなクレオの心の痛みがようやく父に伝わり、グロリアに連絡
を取ってくれました。
やっと、アフリカのグロリアの家に行くことが出来る。
その気持ちだけで、気持ちが弾むクレオでしたが…。
◇
この後、アフリカに到着してからの数日間にクレオに起きる出来事
が描かれていく訳ですが、邦題にある「夏休み」のようなゆるくて
緩い体験が待っていた …という訳ではありません。(えっ)
…むしろ、グロリアの家族との同居生活は、クレオのこれまでの
立ち位置を一変させることになっていきます。
グロリアの娘は、妊娠中でした。父親は不明。(なのかな?)
グロリアの息子は、パリに行っていて長らく不在だったグロリアを
素直に母親とは呼べずにいるようです。
そんな風に、グロリアの家の中がまだまだ安定していない段階で
クレオがやってきたものだから、クレオに向く視線も好意的なもの
ばかりでは無いのです。(特に息子からの視線)
グロリアの娘は何とか無事に女の子を出産しました。
父親の存在は描かれず、娘自身も出産したくなさそうな素振りでした。
そんな中で生まれた赤ちゃん。
” 自分で世話しないと ”
クロリアは娘にそう言うものの、ついつい赤ちゃんの面倒を見る時間が
増えていきます。
夜泣き(昼間も泣いていますが…)をあやそうとグロリアが口ずさんだ
のは、今までクレオに対して歌ってくれた歌なのでした。
” それは自分のための歌なのに…。どうして?… ” とクレオ。
” 歌はみんなの物よ。誰か一人のものではないわ ” とグロリア。
クレオが、グロリアの中での№1では無くなった事実を突きつけられた
瞬間です。グロリアの中での自分が、ナンバーワンでもオンリーワンでも
無くなってしまいました。
何とかして、グロリアの気持ちを自分に向けたいクレオ。
グロリアが面倒を見ている赤子に対する感情に、黒いモノが混じり始め…
と、まあ。こんな感じの " 重い ” 展開が続きます。 …うーん。
◇
描かれたのは「純粋な感情」 なのかな と思います。
6才の少女の、隠す術を知らない剥き出しの感情が
” ほら ”
と言わんばかりに突きつけられてくる気がして、良くも悪くも鑑賞中
落ち着かない気分にさせられたような気がします。・_・;
※ヒザを擦りむいた子供の、キズの色合いや深さ・出血の程度などを
傷口の生々しさから目をそらさずに見続けた …そんな感覚。
観た直後は余り良いイメージを持てなかった作品なのですが
鑑賞後1週間経過して振り返ってみると、クレオやグロリア、そして
グロリアの息子など、それぞれの立場の人たちの心理状態を上手く
描写している作品かも と思えるようになりました。・_・;
「夏休み」の間に少女に起きた「人生最初の転換機」のお話として
大変良く出来たお話でした。
観て良かった。
※もう一度観たいかと訊かれたら、もう充分ですと答えそう…
◇あれこれ
■6才の幼児の感性
6才の頃の幼児の感性で、周囲を捉えている作品でした。
瑞々しい、というより生々しさが溢れ出ている感じで
途中から観るのがキツくなってきた気もする作品。
会話・笑い声・泣き声など、ほぼ剥き出しの描写が続くのもメン
タル的にしんどいものがありました。オブラート プリーズ。
悪魔だか悪い神様だかに、クレオが祈るシーン。
正直、ぞっとしました。 @-@ ;; キャー
呪いの儀式等が始まったらどうしよう…、観る作品を間違えたかも…
などと、不穏なラストにならないよう祈りながら鑑賞を続行。
結局は、そんなエンディングでは無くて良かった。ほっ
■アニメーションの効果
アニメーションが所々に挿入されていました。
どことなくボヤっとした映像が、クレオの心理状態を効果的に描写
していたように感じます。
■主役の子
全くのニューフェイスのようでした。
ぱっと見マッケンナ・グレイスに見えたり、笑福亭鶴瓶に見えたり…。
(女の子に鶴瓶師匠を引き合いに出すのは如何なものかという気も…)
とにかく表情が豊かで自然な演技にビックリしました。・_・;;
前歯が生えかわり中という、この時期ならではの愛嬌ある表情も印象
に残りました。(生え揃うとイメージ変わるかも・_・♡)
◇最後に
夏休みが終わり、クレオがパリへと戻る日が来る。
空港まで見送りにきたグロリア。クレオが飛行機に乗り込み
姿が見えなくなった所で、目に涙が溢れる。
自分に会いに来てくれたクレオ。
多分これが最後。来年はきっと、ここには来ない。
そう悟ったグロリアの決別の涙だった気がします。
今まで自分が一番だった人にとって
もはや自分が一番では無くなった。
それを受け入れるには時間も必要。 …ですよね、きっと。
パリの家に戻れば、新しい人が待っている。
クレオがどのように成長していくのか、気になります。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
あの頃の自分に
フランスで乳母と父と暮らす少女が、アフリカへ帰ることとなった乳母に会いに行き…短きひと夏の経験を通し成長する物語。
自分だけのものだと思っていた乳母のグロリアにも家族がおり…更に産まれた赤ちゃん。
それは私の歌…う〜ん。。
あらゆる場面から、自分の子供時代も思い出してしまいますね。時には知らぬ子の面倒を見なくてはならないセザールの立場だったり…また時には何となくセザールについていくしかないクレオの立場だったり。
色々思い出すなぁ〜(涙)
嫌々ながらもクレオを放置はしないセザールにはグッとさせられました。そして悪霊さんに囁くクレオ…子どもゆえの過ちか。
登場人物は皆素敵でした。お父さんもクレオをちゃんと可愛がるし、何よりグロリアの懐の深さ。あの場面でも優しく抱きしめ…本当の娘だと思っているんだなぁ。
終始暖かな気持ちになれる作品ですが、それを作っているのは恐るべきクレオ役の子の演技力!!
…というか、演技力というよりホントに自然体なんですよね。こんなに没入させられるのは中々ないかも。
約80分という短めの尺にも関わらず、とても優しい気持ちにさせられ、幼き日の気持ちを呼び起こしてくれる素敵な作品だった。
ヤキモチ妬きのアラレちゃん
可愛らしい子供のいじらしい気持ちに泣けちゃう映画かと勝手に思い込んでいたら割と強めな心理的ホラーでした😭
子どもの独占欲ってタチが悪い💦
【疑問】
グロリアの涙の意味は?全然感情がわからん…
男か女かは関係ない
グロリア❗
自分の子供をアフリカの故郷において、フランスでベビーシッターしていたグロリアの気持ちも、孫が産まれて世話をするグロリアに嫉妬してしまうクレオの気持ちもよくわかる。
クレオが死ななくて本当によかった。
フランスの6歳の女の子。実母は病で他界し、乳母に育てられ。 その乳...
フランスの6歳の女の子。実母は病で他界し、乳母に育てられ。
その乳母が、身内の不幸で郷里に戻らざるを得なくなり。
また会いたいと、乳母の郷里 : カーボベルデ(アフリカの西の島国)に夏休みを過ごしに行く様子。
乳母の実際の家族と、打ち解けたり気まずかったり
ご当地ならではの生活の営み
子供ならではの良いこと悪いこと、ちゃんと叱ってる様子
現地の人々との、心の距離感が徐々に縮まる様子
夏休みの終わり、空港見送りでは、クレオお嬢ちゃんよりも、乳母グロリアさんのほうが号泣
etc...
かつて子供のころに、遠出したり、親戚が来たりして、心当たりがあるような
他人ごとに見えない、瑞々しい、温度や湿度まで伝わってくるかのような素敵な映像でした。
ドキュメンタリーみたいに自然
6歳の少女 クレオと 大好きな乳母グロリアの
血のつながりを超えた愛の絆を描いたヒューマンドラマ。
主人公クレオ役の少女、
ルイーズ・モーロワ=パンザニちゃんが、
撮影当時5歳半の演技未経験というのに衝撃!
上手すぎる!というより、自然すぎて、
ドキュメンタリーかと思うほど…
と思っていたら、グロリアさんも実際のナニーだそうで、
ほぉ~これは、監督や撮影スタッフの演出や環境づくりも
相当に素晴らしかったのだろうなぁ、と思いました。
また、宿泊施設の経営という夢のために、フランスへナニーとして出稼ぎに、
自身の子どもは母親に任せざる負えなかったグロリア、
フランスとアフリカの島国の貧富の差も描かれており、
余計にドキュメンタリーのようにも感じられました。
ただ、ところどころ挿入されるアニメーションが独特で、
それにより、あぁ、ノンフィクションの映画作品だった!と、
気付かされる場面でもありました。
もう、とにかく、クレオが魅力的で、ずっと笑顔で見ていられたし、
お母さんのように過ごして、自分だけを見ていてくれていた
グロリアの感心が生まれたばかりの孫に向けられたことのヤキモチで、
イジワルしちゃって、モヤモヤな気持ちで、海に飛び込んじゃう、うん、判るよ!
(息子も同じようにクレオにイジワルしてたね)
でも、きちんとゴメンナサイできたから、大丈夫!
そんなクレオのひと夏の出来事を見守りながら、
アフリカの海辺の街の美しい風景も同時に楽しめました。
やさしい~作品です。
Lucent
子供の夏休みを切り取った可愛らしい作品でした。
幼い頃に大切な人と会えるけどすぐには会えないという唯一無二の別れをクレオは経験しているというのは本当に大きいだろうなと思いました。
それだけ惹きつけてくれるグロリアの包容力もまた凄いんだろうなと2人がじゃれあっているところは微笑みながら見ていました。
「リトル・エッラ」のようなクソガキムーヴ(まだ幼いとはいえ)はやはり癪に触りましたが、家族ではない人間を5歳の頃からしっかり愛せるという感情を持ってるのは凄いよなと同じ場所で感心もできますし、苦い顔もできたりするしで不思議な感じでした。
姉弟との関係性がサラッと良くなるところはちょっとご都合的なものを感じてしまいました。
姉は追い出してやってもいい判断くらいしていいのになとも思ってしまいました。
主演の子とグロリアを演じた方は今作が初演技という嘘のような本当の話で、クレオのあの感情表現の豊かさには度肝を抜かれました。
あんなに熱の入った泣きの演技が見られるだけでも今作を観る価値は間違いなくあります。
一夏に味わえる淡い切ないオシャレな映画でした。普段触れることの少ないジャンルですが、上映時間も短いのでタイミング合えばオススメしたい1本です。
鑑賞日 7/22
鑑賞時間 18:30〜20:00
座席 C-10
セザールの気持ちだけ
感謝してよってずっと今まで我慢し続けてる気持ちなのかな⁈国も違うしアフリカではどのあたりの階級家庭なのかもわからなかったまぁでもフランス映画!ラストシーンだけは⭐️五つ。
グロリア泣いてくれてありがとう
絶対、監督の自伝的記憶入ってると思ったら、乳母に捧ぐとあった。映像...
絶対、監督の自伝的記憶入ってると思ったら、乳母に捧ぐとあった。映像も挿入される、精神分析的な絵や映像も美しく心を揺さぶる。
最後に乳母はクールに振り返って別れるので、彼女にとってクレオはそんなに大事な存在ではないのかなと思ったら、激しく泣くシーンは感動的だった。それは、監督にとっての欲望でもあるのか。
クレオにとっての乳母の存在のあり方は過酷だ。突然の別れが来るし、当然グロリアには、大事な家族がいる。きょうだいでさえ、新たなメンバーは敵対と嫉妬の対象なのに、このシチュエーションはきつい。グロリアはある意味、暴力的だけれど、でも、クレオの後の人生にとって、この夏休みの経験は忘れがたいものになっていたことがわかる。赤ん坊への儀式を迷信と言い放つグロリアそのものが2つの文化の中で引き裂かれている。
この映画はケアのグローバル化というものを映像として描き出しているのである。
海に飛び込むシーンも感動的だ。クレオは少しずつ大人になっていく。現地の少年たちの通過儀礼は、クレオにとってもそのように機能する。
とても心を強く揺さぶられる映画だった。愛着あるものから離れていくときの感情。
純粋な子供心
クレオのただひたすら純粋な心も美しいし、母がフランスに出稼ぎに行っている間寂しかったであろう兄弟の気持ちもわかるし、大人も生活していかなければならない以上抱えなければならない事情がある。
子供の持つ危うさ、出会いと別れを通して成長していく姿が描かれていて見応えがあった。
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