ありふれた教室のレビュー・感想・評価
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ありそうな悪夢。このストレスはトラウマ級だ
監督・脚本のイルケル・チャタクによる長編4作目だそうで、日本公開は本作が初。トルコ系ドイツ人という点ではファティ・アキン監督と共通し、移民に対する偏見や差別のエピソードを入れ込んでいるのも実体験に基づくものだろう。
盗難が多発しているギムナジウム(中学校)の7年生(ドイツでは6歳から小学校に通うので12歳ぐらいか)のクラスを受け持つ若手教師カーラ。正義感が強く生徒思いでもあるのだが、職員室で自分のノートPCを使って窃盗の現場を録画したことから、まず職員間の不和を、やがて生徒たちからの不信、保護者たちからのつきあげを招くことになる。
小さな出来事や言葉のやり取りが自然で無駄がなく、これは本当にありそうな話に思える。カーラの凛として見えるがストレスを内側にため込んでいく過程をレオニー・ベネシュがリアルに体現し、観客もこの徐々に緊張が高まる学校内に引きずり込まれていく。カーラに感情移入して観るならストレスがトラウマになりそうなほど。
安易な解決を示さないのは、これが現実にある根深くて困難な問題であり、鑑賞後もずっと考え続けてほしいという監督からのメッセージであるように思う。権威を象徴する者たちに掲げられ、権威に抵抗した人物がまるで玉座からラストショットを支配するかのようなエンディングにも意表を突かれて思わずうなった。
すごい映画
非寛容方式
校長が何度も、言う。
この学校は《非寛容方式だから・・・》と、
だからどうすると言うのだ?
この言葉はメルケル首相の移民政策への当て付けなのか?
と、勘繰ってしまう。
その学校では、盗難が頻発して、見過ごせない所まで追い詰められている。
まず、カーラ・ノヴァク先生のクラスに、学年主任教師が乗り込んできて、
男子生徒の財布を机に出させる。
インド人のアリが大金を持っていて疑われる。
容疑は晴れるのだけれど、生徒たちに、学校への信頼が失われる。
これがこの映画の発端。
盗難は職員室でも頻発していて、カーラはこの生徒まで疑われる事態を
打開しようと、自分のPCに録画機能をつけたまま部屋を後にする。
数えておいた紙幣を入れた財布を、椅子の背にかけた上着のポケットに
忍ばせて。
すると事務職員のクーンの白いブラウスが写っていた。
上着に手を伸ばしている。
カーラが、問い詰めるとクーンは狂ったように否定する。
元々、生徒の出入りしない職員室から金品が盗まれるなら、
犯人が教職員と事務員以外は考えられない。
生徒を疑う前に教員室に防犯カメラを設置すべきでは無いのか?
そうすれば、少なくとも盗難の予防になる。
しかし映画ではカーラの盗撮が人権を侵害したとか、
生徒も父兄も大騒ぎして
学校の組織が揺らぐ程、秩序が崩れ落ちる。
それまでカーラ先生が培ってきた統一のとれた学級の勉学の秩序が崩れ、
先生を好きだった生徒たちは、怠惰で反抗的になり、学級崩壊の一歩手前。
クーンさんは、カーラ先生が一番期待していた優秀な生徒
オスカーの母親だった。
それにしても90%以上犯人だとの証拠があるのに、母と息子ともども
「盗んで無い、先生は嘘つき!!」と開き直れると、驚いた。
後半の緊迫感は半端なく、人が死ぬわけでも無いのに、サスペンス感は、
刑事物より、スリルがあったほどだ。
オスカーがラストで、暴れて庭に出され、ガラスを破って
カーラ先生のPCを奪い、追いかけっこになって、
「返しなさい!!」と迫る先生のパソコンを川に投げ捨てる。
それは証拠隠滅だから、オスカーが母親の盗みを実は認めているのは
紛れもない事実だ。
その後、オスカーは停学なのに授業に現れて、結果的に説得に応じず、
警察官に椅子ごと運ばれて、映画は幕になるのだが、
オスカーの姿は「誇り高き勇敢な騎士」のようで、
強者(つわもの)の誇り高き姿に見えてしまう。
嘘をついてでも守りたいプライドってなんだろう?
オスカーはカーラ先生が好きだ。
見応えのある攻防だった。
教育とは本当に難しい。
ドイツの学校の“怪物”
国それぞれの学びや教え方、方針がある教育の現場。
このドイツの学校はわりかし日本と似ている気がした。
担任教師がクラスを受け持ち、一人でほとんどの学科を教える。教えだけじゃなく、生徒や保護者らとの向き合い、行事やその他たくさんの雑務。全く同じ激務と言われる教師の仕事。
同じような問題も。日本の学校(『怪物』)でも起きたような事件。
渦中の生徒、非難する保護者、保身に回る学校側、孤立する教師…。
この図式だけはどの国も変わらない。
新任先の中学校で1年生のクラスを担任する事になった若い教師のカーラ。仕事熱心で正義感強く、自主性を尊重した教えで生徒や同僚からも信頼厚い。
ある時校内で盗難事件が続く。カーラのクラスの生徒オスカーが疑われる。
決め付けるような校長や同僚のやり方に疑問を抱いたカーラは独自に犯人探し。隠しカメラを設置し、犯人と思われる人物の撮影に成功。
映っていたブラウスの柄から同じ柄のブラウスを着ていた事務員のクーンが疑われる。彼女はオスカーの母親でもあった。
クーンは自分じゃないと訴えるが、隠しカメラの映像やまたも強引な決め付けで疑いは晴れず、発狂。自宅謹慎となる。
罪悪感や腑に落ちないものも感じていたカーラだったが…。
隠しカメラが盗撮に当たると問題視。
盗っ人の子供としてオスカーがクラスで嫌がらせの標的に。
保護者会にクーンが現れ、他の保護者たちの知る事になる。
学校新聞で根掘り葉掘り。その事が同僚たちとの間に溝を。
クーンら保護者、生徒、同僚と険悪になり、カーラは完全孤立してしまう。
それでも己の信念を貫くカーラだったが…。
学校はいずれ社会へ進出していく為の練習の場とも言われている。
人間関係、縦社会、皆で何かに取り組み、責任や時には失敗も。そこから学ぶ。
また、社会の縮図とも言われている。殊に諸々の問題については。
たった一つの問題から波紋が広がっていき、捩れ、拗れ、どんどんどんどん悪い方向へ転がっていく。本当に社会の悪循環を見ているよう。
学校を舞台にした作品と言うと、生徒たちの友情、教師との交流や信頼、部活に打ち込む青春や恋などが専らだが、そうではないものも。“怪物”的な何かが…。
この件も誰が悪いとか、何が原因とか言い出したらキリがない。
そもそもは盗みを働いた誰かが悪いのだが…、対応ややり方も間違っていなかったとは言い難い。
誘導や尋問のような校長や同僚。
隠しカメラは一つの手段だが、プライバシー侵害を盾にされたら何も出来ない。はっきりとクーンが映っていた訳でもなく、否を押し付けるのも問題。
カーラの境遇は察するが、自己主張が強い気もする。
カーラだけじゃなく、クーンや同僚、生徒たちも。事を一層荒立てただけ。
生徒の一人が言っていた。しわ寄せは生徒に来る。
不憫なのはオスカー。
何の根拠も無いのに疑われ…。母親も疑われ…。そのせいでクラスから嫌がらせ。カッとなって喧嘩となり、先に手を出してしまったオスカーは停学処分。まるで切り捨てられたかのように。
その後オスカーはある行動に。自分や母は無実であると示す、勇気ある無言の訴えであった。
たった一つの小さな盗難事件から雪だるま形式に悪い事態が膨れ上がっていく。その脚本や演出の巧みさ。
社会派の面を持った学園ドラマだが、サスペンスのような終始途切れない緊迫感。
新鋭イルケル・チャタクの演出が見事。
カーラ役のレオニー・ベネシュの熱演は勿論だが、オスカー役のレオナルト・シュテットニッシュくんの眼差しや佇まいが胸打った。
気掛かりだったのはラスト。『怪物』のように誰か、特に子供たちに悲劇が訪れるような最後になったら…。
そうはならなくて安堵したが、人によって意見や解釈分かれそうなラスト。
何も解決していないようなバッドエンドであり、見る者に委ねられたようなモヤモヤ感…。
個人的には悪い事態を打破する希望の兆しを感じた。
面倒な周りを締め出し、一対一、正面から向き合って。
双方にとって納得と穏便な解決を。
導く
良くできた作品だと思った。
主人公は正義の塊で熱血に生徒を扱い、挨拶の前には手拍子。一致団結の為に。
パンパパン!あれ?こんな年齢でこんな事するかな?って思ったら1年生の儀式とか…
嫌だよ…こんな歳にもなってさ〜
団結重要。ゆるゆる学校なのに団結強要。
盗難事件、タバコ案件、成績順問題、生徒同士の暴力。
公平更生にことを勧める主人公は正義と言う名をかざした逃げ野郎に見えた。
ようは良い大人の台詞で子供をチョロまかす。
盗難事件の確認のため、盗撮をする主人公。
罠まではってなんか嫌だ。生徒のことは信じてる体で先生は疑う。
コーヒー代をチョロまかす教師がいるくらいで、事件は現場で起きてるらしい。
そして犯人と思しき事務員の女人と話を碌にせず校長に時談判。まぁ、職員室に入るのは生徒では難しいが、教室内で行われるのとでは別問題。
やりすぎじゃね?
しっかりと犯行を納めた画像ではないため、その女性のブチ切れにこっちもどっちが本当かわからなくなる。
実際、事務員さんは生徒の面倒の良い人だと「生理になっちゃって〜」っとの一言でハッキリわかる。
1人、母親の無実を信じるオリバー。
聡明な彼はわざと問題を起こし、教室を、学校を揺さぶり続ける。
じわじわと追い詰められる主人公。
あの日に盗撮した画像はオリバーの手によって壊される。
生徒のほとんどが事務員の盗難を取り上げてしまう。
壊れていく主人公。
周りの人々があの画像に写ったブラウスと同じ柄に見えてくる。盗撮画像はもう残ってない。
周りの教師も証拠は君が持ってるもんな!なコンボを叩き出す。
何気に、同じシャツを着てるのって一昔前のユニ◯ロではよくあったな〜と。なんかみんな似たネルシャツ着てるってあったな…と懐かしくなった。
「生徒を導く」
主人公はその信念をついに捨てる。
いつも悪い行動をした生徒には話し合いで解決したふりして導いていたつもりがすべてつもり。
叫びは己の叫び
雨の中、息子を迎えに来る母親。
無実を言いはる親子。
ラスト、オリバーは主人公でも難しいルービックキューブの全ての面を目の前で完成させた。
彼女は敗北した。
導くことを。
警察に任せた。
彼女は彼女の信念、仕事を放棄した。
もう、あの生徒を信じ、先生想いな仮面は被れない。
オリバーは停学中の身で警察に連行される。
しかし、高く担げられた彼は勝ちとった。
学校、教室、廊下と俯瞰で映される。
それは学校と言う中での様々な憶測、裏切り、不審、全ての悪意のある行為と上部の真実の大人によって起こされる不実な真実を表すようだった。
保身と疑心暗鬼
校内の盗難事件に悩まされている小学校を舞台に、ちょっとした思い付きで新任教師が撮影した動画の取り扱いを巡る不協和音を描いた内容です。
軽率な発言や誤った対処方法に対して、些細なことをきっかけに教師同士の対立、保護者からの糾弾、生徒たちの反発が生じ、
都度、当事者たちは自分を正当化することに汲々とするうちに学校が徐々に殺伐とした雰囲気になってゆく怖さが当事者の一人である新任教師の視点を通して語られます。
人々の意見は強固に固定したものではなく、対立する立場の人々も時には互いに優しさを見せて、子供たちは残酷さと無邪気さを併せ持って攻撃する相手に一貫性はない。
大人も子供も等しく持つ人間性の矛盾を丁寧に示すことで問題の根深さとリアリティが感じられます。
ある学校で起きたちょっとした事件を通して、普通の人が普通ゆえに持つ恐ろしさを実感した映画でした。
もやもや
問題が解決しないまま終わるのがもやもや。
クーンは、犯人だけど証拠不十分だから認めない、ってことでいいのかな。
そのへんなんでハッキリさせないんだろう。
嫌な終わり方でした。
先生といえ未熟な大人が先頭に立つ不思議な空間
対応のまずさ
対応を誤り、
どんどん深みにハマっていく
怖さをひしひし
盗難があったからといって
先生が財布を検査する人権感覚が
まずおかしい
それで
保護者を呼びつけたら
それは
カンカンになって怒るのは
当然
あの保護者が
先生たちに分からない言葉で
何を喋っていたのか分からないけれど
あの程度の怒りで
帰っていったのは
人間のできた親たちだと思ったくらいだ
それから
100%の証拠もないのに
直談判したのも
対応がまずかった
一対一で解決しようと思わず
信頼できる何人かで共有して
対応を検討してから
行動を起こすべきだった
でも、あの校長では
信頼できないどころか
問題をかえってややこしくしてしまうだろうな
対応のまずさで
壊れていく人間関係を見ながら
なんとも言えない感情を
味わった
後味の良くない映画だった
ちくちくといやあな感じ
新任のノヴァック先生は、7年生の担任。校内で盗難が相次いでいて、彼女のクラスのオスカーが疑われる。そこで先生は、職員室で自分のPCで隠し撮りをしてみる。そこに事務員でオスカーの母の袖が写っていた。ことを大きくしないようにするノヴァックだったが、周囲から孤立してしまう。
序盤から、ちくちくといやあな感じに展開。こうなるといやだな、でもやっぱりそうなるか。ノヴァック先生は、ことを大きくしないように慎重すぎるくらいに行動する。しかし軽率だった隠し撮りを責められ、学校の方針である不寛容方式を盾にして、厳しい態度の生徒同僚保護者に嫌気が差します。職員会議に生徒会も参加していたり、数学で思考を深めるやり方をしていたのに驚き。原題「職員室」に対して、攻めた邦題。
え?!謎!あれで終わり?
何が正しいのか何が間違っているのか
翻弄されるものたち
悪い先生ではないんやけど…あまりにも抱え込みすぎやし、いつか病気になってしまいそう。
今回の件、一番かわいそうなのはオスカーやな。そりゃあ自分の親を庇いたいのは当然。
ノヴァクが監視してたっていうのも問題ではあるんやけど、管理職がその後のケアを現場に丸投げというのがよろしくない。管理職の行動の責任は部下が取るというのも社会人あるあるで見ていてキリキリ。どこの国でも一緒なんやなあ。
子どもは大人が思っている以上に周りをよく見ているし聞いている。大人が喜ぶであろう行動をあえて取ることもあるくらいやし。やけど、子どもには大人の世界(忖度とか…)は分からないから大人と子どもの関係性が分断されたきっかけはその部分なんやろうなと。
ノヴァクがクーンのことをよく思ってなかったっていうのも背景としてはあるのがフェアではないよな…コーヒー代をポッケないないにしている同僚のことは見て見ぬふりするわけやし。子どものタバコも特に上に報告することもなく。臭いものに蓋をする性格ではあるんやろう。
そんな彼女がクーンのことだけは強く非難したのは、個人的な感情も入っているのでフェアではないのかなと思った。告発の後、本当にこれで良かったのだろうかと自問自答しているノヴァクを見ると真面目で責任感が強い人なんやろうなと思う。
自分ともかなりリンクするところがあり辛い映画やった。
「ありふれた教室」が全然ありふれていない件。 小学生くらいの児童が...
♨️☺️ これだよこれ🤗
だよね ありふれてたよね 普通はあーだよね(な訳あるか〜い🤬)
と言うかどんだけ観てる人にストレスかけてくんねん🥰
起承転結がしっかり無いとダメって人やエンタメ好きや落下の解剖学とか全くダメって人には絶対合わない作品ですね🔥
これ単純に過度にかかるストレスを楽しむ作品です👍
結局全方位からの詰められる状態になるとか🥹
被害者なのになんでこうなるかなあ👌
上映時間の長さも適度でいいし⏳
絶叫するシーンあったけど🤬心の叫びやんけって❤️🩹なりましたよ🤕
色々考えてベストアンサーを考えてもいいけど別に自分は深掘りしようとはならなくてシンプルにストレスを楽しもうってなりました💩
あとオスカー最後まで信念貫いて頑固やなあ🙁
自分はこの変な疲労感のある作品がそもそも娯楽エンタメよりもエンタメって思える人なのでめちゃくちゃ疲れたので大変良かったし面白かったし いつもの許容範囲を超えた時に怖すぎたり🥶ストレス😡🤬の向こう側に行った時に発生する爆笑してしまう場面もあったので😆(悲しい時に😭笑う🤣ジョーカーみたいなもんです🤡)楽しめたという証明になってます👍👍👍
あの変な空気感を作り出すって自分は凄い事だと思いますよ(はい撮影開始って言って あの感じになるってマジで凄いと思うのよ🫡)
ストレス度でいうと今年は落下の解剖学🇫🇷とありふれた教室🇩🇪の2本がずば抜けて気持ちいいくらい最強最高にイライラできましたよ🥰
楽しかったなあマジで😘
教員の総括的な判断
7(8?)年生のクラスの生徒、アリが金を盗んだとして、両親が呼ばれ、偏見の目で見られる。担任である主人公カーラ(レオニー・ベネシュ)が、真相を明かそうとしようとして盗難カメラを仕掛ける。この結果、問題が拡大し、他の生徒、オスカーにも影響が及ぶという藪蛇になってしまうストーリー。映画のポイントは何か考えてみると、新人の教師のある問題解決の仕方が生徒一人ひとりを考えてあげているようで、正義感が強いが、優柔不断である。学内で盗難カメラをセットしたり、自己解決の及ばないこともあるので、もっとアドミと寄り添った方が、いいいのか?それとも、これがいい解決法なのか? 判断は我々に任されている。
機内で見た映画なので、あまり真剣に考えていなかった。このレビューはただの第一印象。
引き込まれたけどモヤモヤする
どの国にも、どの場所にも
ありふれているのか?
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