「ちょっと得した。」つゆのあとさき 春さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと得した。
公開されている事は知ってはいましたが、あらすじを読んで好きな映画じゃなさそうだと観るつもりはありませんでした。しかし先日主演の俳優さんと監督さん?が劇場の前でビラ配りをしているのに遭遇して、気まぐれで観てみる事にしました。
予想外に良い映画でかなり驚き。
渋谷を舞台にパパ活で金を稼ぎ生きる女性の物語でとても感情移入出来る話では無いと思っていたけど、物語後半ではもう感情移入しまくりで泣きそうになった。永井荷風の原作小説を現代に舞台を移して作られたとの事で荷風の時代と違って他に仕事はあるのだろうけど、彼女はパパ活を選んだって事でなんか悪いっすか?て感じですかね。別に同情して欲しくは無いだろうし、こちとら同情したり下に見る程立派な人間じゃないしね。金を稼ぐ為に嫌な客にも嫌々感丸出しですが対応するし(その客が自分以外の女の子を連れてると気分悪くなるし)、可愛そうな客にはつい少し同情して慰めちゃうし(それが不味かったけど)、好みのイケメンくんにはつい本気で好意を持ってしまったり、首尾一貫しない矛盾だらけでダメダメな主人公ですが人間的で何故か共感してしまう。基本不器用で友達も作るのが苦手で無愛想でまったく良い人では無い主人公ですが、所謂フツーのご立派な仕事をしていて金は持っている男達よりはるかに共感してしまいました。
誰も信じる事なく一人で足掻きながら生きていた主人公ですが、唯一心を開き友達となれそうになった女性と思わぬ形で別れる事になります。それでも再び街に出て生きて行く主人公の姿に心揺さぶられずにいられませんでした。観て良かった!役者も良かった!
しかし荷風が原作で男性監督だからなのか、男達に対する視線がキツい、クズばかり。なけなしの金でHしたい、間抜けだけど心底憎めないバカ男もいると思うが…パパ活にはいないのか。