朽ちないサクラのレビュー・感想・評価
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タイトルの意味
原作未読ながら予告に惹かれ、鑑賞を決めていた本作。劇場内のポスターとロケ地マップから、地元愛知が舞台であり、特に東三河中心にロケが行われたことを知り、さらに期待を高めて公開2日目に鑑賞してきました。同様の地元サポーターが多かったのか、田舎の劇場にしては珍しくかなりの客入りでした。
ストーリーは、ストーカー被害を訴えていた女性が殺害された事件をめぐり、被害届を受理しなかった警察が当時慰安旅行に行っていたと地元新聞がスクープ報道したことで警察へのバッシングが高まり、県警広報広聴課の森口泉は、自身がうっかり情報を漏らしてしまった親友の新聞記者・津村千佳が記事を書いたのではないかと疑い、千佳は自らの潔白を証明しようと情報源を追うなかで殺害されてしまい、責任を感じた泉は事件を独自に調べ始め、背後に大きな陰謀があることに気づくというもの。
開幕直後の事件から話を起こしつつ、失態をさらした警察の現状と県警に勤める泉の立ち位置を描くとともに、以降の泉の行動動機を観客にしっかり理解させます。コンパクトに無駄なくまとめられた立ち上がりが、実にお見事です
以降は、登場人物を増やしながら、残された手がかりを手繰るように少しずつ真相に迫っていきます。単純そうに見えた事件が、予想以上に複雑な背景をもっていることがしだいに明らかになっていき、ぐいぐい引き込まれます。正直言って理解が追いつかなかったり、腑に落ちなかったりするところもありますが、テンポのよさと迫真の演技に押し切られてしまいます。
そうして事件が決着を見せたかに思えたところで、真の闇が明かされる展開にぞくぞくします。その真相の意外性もさることながら、その場面での息を飲むような演技のぶつかり合いに魅了されます。高ぶる感情を抑え、努めて冷静に振る舞いながら、相手に鋭く切り込むような言葉の応酬がたまりません。
ラストは、事務職を辞し、改めて警察官を目指す泉の姿が清々しく描かれます。タイトルの「朽ちないサクラ」とは、その歪みさえ正義と自負して突き進む公安、組織の中にあっても矜持を忘れぬ一人一人の警察官、この二つの意味が込められているのではないかと感じます。ただ、よくできた予告とタイトルをあわせて考えると、真相が透けて見えてしまうのは、ちょっともったいないところです。
ちなみに、地元民にとっては土地勘がありすぎて、場面転換時に謎の瞬間移動が起きたように見えるところが何度もあって笑えました。とはいえ、テレビドラマ「TOKYO MER」「VIVANT」「ブルーモーメント」、映画「ディア・ファミリー」、アニメ「負けヒロインが多すぎる」、バラエティ「有吉の壁」など、近年地元ロケが盛んに行われているのはうれしい限りです。これからも地元フィルムコミッションに頑張ってほしいです。
主演は杉咲花さんで、本作でも安定感抜群です。脇を固めるのは、安田顕さん、萩原利久さん、豊原功補さん、森田想さん、藤田朋子さんら。中でも、表情ひとつで心情を醸す安田顕さんの演技が秀逸です。
正義とは何なんだろう
ストーカー殺人、親友の死。事件が複雑に絡まり合う警察を舞台にしたサスペンス映画は実に見応えがある作品でした。
冒頭から引き込まれ、最後に真相が明かされるシーンには驚きを隠せませんでした。
警察の裏側は良く分かりませんが、公安って大義のためなら人の命などただの道具みたいに思っているのでしょうか?
でもそれも彼らの正義なんですね。大きな警察組織の中ではその事に個人が異を唱えてもどうにもならない。
でもそんな道は間違ってると、自分の信じる道へ進むべく警察官になる事を決めた泉の決意を大いなる希望を持って見守りたいです。
信念を貫くのは厳しいことかも知れないけど、でもその気持ちを忘れてしまっては人は流されて行くだけだと思うのです。
杉咲花ちゃん、ここ何作かとはまた違った味わいを見せてくれて、やはり素晴らしかったです。
萩原利久くんも弱さと強さが同居したような泉への寄り添い方が良かった。豊原功補さんと安田顕さん、力を見せ付けてくれました。
最後、花ちゃんと安田さんが対峙するシーン圧巻でした。
晴れ晴れとした気持ちになる作品ではないけれど、色んな事を考えさせられます。
いい映画を見ました
杉咲花のほぼ笑わない演技に圧倒!
後半30分の杉咲花の演技がすごい。
表情、特に目の演技に圧倒され、
ここだけでも観た甲斐があるというか、これを期待していた自分に気づきました。
迫力があるだけではなく、普通の人を演じていて、実際いそうだよな、この人って
思わせるところがすごいと思うんですね。
ここ最近の杉咲花主演の映画での演技は、どれも素晴らしいです。
それから桜×杉咲花の映像も素晴らしく美しかったです。
映画の内容としては美しくない話ではありますが、
映像としての杉咲花の存在感もハンパなかったです。
ただ、安田顕と豊原功補の演技は、昭和っぽいんですよね。
それ、セクハラ・パワハラじゃね!?という演出が複数ありますし、
しゃべり方も昭和チックで、現代の話なのにちょっと違和感がありましたね。
それにしても、公安ってここまで腐っているんでしょうか。
っていうか、朽ちないって言っているんで、腐っていないっていうこと!?
朽ちないだから、ずっと存在するってことかな!?とか色々考えちゃいましたが
本当にここまでやっているんだったら、反社会的組織となんら変わらないなと思いました。
戦争もそうですが、それぞれの立場によって“正義”の意味合いが変わるのは
致し方のないことなのかもしれませんが、生命を軽く扱って良い理由にはなりません。
そこに思いを馳せられない以上、かようなことは無くならないのでしょうね。
実に残念です。
というわけで、ミステリーとしても秀逸ではありますが、
私は杉咲花を堪能する映画だと割り切って観ました!!
少し配慮が欲しかったという一作ではあるものの。
今年227本目(合計1,319本目/今月(2024年6月度)27本目)。
(前の作品 「ターゲット 出品者は殺人鬼」→この作品「朽ちないサクラ」→次の作品「???」)
梅雨っていやですよね…。帰るときにドンピシャで土砂降りにあいました。しかも近畿地方は20日が梅雨入りなんですって…。7月も大雨プラス猛暑でもうおなか一杯です。
さて、こちらの作品です。私は原作は見ていないほうです。
映画の趣旨としては十分に理解するし、公安(この点後述。若干怪しい?)に対する問題的の映画という解釈になるのではと思いますが、ストーリーの「幅」が結構色々飛ぶのが難しいかなといったところです。
また、公安(この点後述。以下省略)が追っている「ある組織」に関することは、その組織の映画内での描かれ方等からしますと、思想良心の自由や表現の自由、憲法20条(ネタバレ防止のためここのみ条文番号で記載)ほか、あるいは、この映画の根幹をなす「受理の遅延」といったことは国賠案件になるんでしょうが、それらはすべてカット。まぁ、警察ミステリーものの小説の映画だからということは理解するものの、法律系資格持ちとしてはこの辺少しでも触れて欲しかったかなといったところです。
また、展開として、実際の「日本で起きた実際の事件」をモチーフにした映画であることは紛れもない事実で、こうした映画(ほか、地震等を扱う映画)は何らかの注意書きが入るのですがこの点は配慮が欲しかったかなといったところです。
とはいえ、映画の述べたい趣旨は理解はできるので、ここは好き嫌いあるかなといったところですが、大ハズレではないだろうといったところです。迷ったら(といっても、近畿は超土砂降りで明日は映画館にすら行けそうにない…)おすすめといったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/映画の扱う「公安」について、そこから派生する問題に少し触れてほしかった)
公安(後述)はその特殊性ゆえに、ときとして人権を侵害したりその恐れがあるような行為を行いうるものであり、映画内でもやや好き勝手している部分があります。この点、映画内で扱われている「ある組織」については、日本の歴史上実際に起きた事件をモチーフにしているとはいえ、「それでも」当事者に関しては基本的人権は尊重されなければならず(起こした事件が裁かれることは、基本的人権を不当に侵害して良いことになりません)、もうすこし丁寧に描いてほしかったかなといったところです。
ただ、趣旨として理解しなくもない程度なので、採点幅は調整しています。
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(減点なし/参考/「公安警察」と「公安調査庁」の違い)
映画内ではもっぱら「公安警察」という扱いで出てきて、映画内でも実際の歴史をふまえてみても「想定される実際に起きた事件」において、公安警察の初動不備があったことは現在では反省材料としてそれは問題視もされたし、また当事者による技術向上もあったものと思います(公安警察の特殊性ゆえに、こうしたことは情報公開がされにくい)。
ところで、日本には「公安警察」とは別に、法務省が設置する「公安調査庁」というのがあり、映画内で描かれる「特定の組織」についての調査権限ほかを持つのはこちらです。もちろん、その目的は共通している部分も多く、実際に法制度上も「相互に協力しましょう」という扱いではあるものの、その「特定の組織」について色々情報を持っているのは後者の「公安調査庁」であり、やや変かな…といった部分はあります。ただ、この点は上述通り、公安警察と業務範囲がかぶっている部分もありますし、公安調査庁と都道府県警察は別扱いであり、そのように描くと組織が色々出すぎて混乱するために、あえて(法上の解釈とは別に)わかりやすい設定にしたものと思います。
(※) 日本では「公安警察」と「公安調査庁」は別組織扱いで、業務もかぶっている部分もありますが、お互いにあまり仲がよくない部分は確かに言えます。後者のほうがいわゆる「エリートコース」である等の理由によります。
(※) 「公安警察」は時として暴走することがあるので日本ではあまり好意的な意識を持つ方は多くはないように思えますが、業務が一部重複する「公安調査庁」は、法に定められている「監視組織」を毎年まとめて資料に出す程度の業務で、それも極端に幅が広いことが問題視されることがありますが、後者のそれは法上「この組織や類似の組織は調査しなさい」となっているだけで、人権侵害といわれないように抑止的に運用されているので、「公安警察と比べると」、あまりこちらを問題視する方は少ない(実際の憲法上の重要判例等をみても、後者の行為が憲法論で論じられたことは少ない。まったくないわけではないが)といったところです。
黒幕の一方で正義の信頼できるサクラが生きている
萩原くんの足が長い
杉咲花ピッタリ
100人の命と1人の命
観たい作品ばかりの今週封切りの中から、
月10のミヤビちゃんに魅せられて本作に決定。
千佳の新聞記者としての使命感、正義感と
友人泉からの疑念を晴らす為の意地
泉の友人を失った悔恨、真相究明への思い
捜査一課の犯人逮捕の執念
公安警察の正義とは何か
それぞれの緊張したシーンが見応えたっぷりです。また観る側にストーリーを気づかせる場面があって気が抜けません。
ラストに張り詰めた日々から解き放たれて友人の親に告白するシーンはもらい泣きです。
そして泉は悲しくても悔しくても前に進む決意をします。
警察小説が好きなのでおおいに満足できました。
愛知県の架空の街が舞台でしたので何処がロケ地として使われているのかと注意して観ていましたがほとんど判らなかったです。エンドロールに蒲郡、豊川、刈谷などの地名が有りましたね。
名古屋弁、三河弁が使われずちょっぴり残念です。
千佳の母親が泉に「千佳に何か変わった様子は無かったですか、些細な事でも構いません」と聞かれ「ごめんなさいね、何も解らないの、知らないの」と応えるシーン。
私も同じだよな、子や妻の事、聞かれても答えられないわ。
これもまた映画賞に相応しい作品
前日に「あんのこと」を観て、今年の映画賞はこれで決まり!と書き込みましたが、こちらもまた魂のこもった作品で、映画賞に相応しい作品でした。
原作を知らずに観ましたが、どこかで誰かが裏切るだろうというスリル感があり、目が離せない展開で、結末もどんでん返しでした。
杉咲花さんは素晴らしい女優になりました(続けざまに作品に出ていて、コミ症とか記憶障害の他の作品がオーバーラップしてしまうところはありますが)。
友人の母親に号泣しながら謝罪する場面は名シーン。演技を超越していて、客席でも涙している人が多かったです。
プライベートでは色恋の話があって少々イメージダウンですが、どうか女優業は全うして、色々な役と作品で観たいです。
公開初日の初回で観ました。
ヒット作になることを願いますし、そうなるだろうと思います。
いつも杉咲花は素晴らしい!
普通かな
先月観て、大いに笑わせてもらった「帰ってきた あぶない刑事」の原廣...
先月観て、大いに笑わせてもらった「帰ってきた あぶない刑事」の原廣利監督の作品ということで、期待して観に行った。
「あぶ刑事」のような笑い🤣を期待していた私を嘲笑うかのような、笑い🤣の要素が1㎜も存在しない、シリアスな内容の映画だった。
自分のせいで、親友を死に至らしめてしまったのではないのか?と、自責の念に駆られた森口泉が、警察官ではなく、捜査権のないただの事務員の立場で、独自に親友の事件を捜査する。
捜査していく中で、見えたものが、「朽ちないサクラ」だった、という話。
「公安」のことを、「サクラ」というらしい。
この「公安」の掲げる正義が、私のような一般人とは大きくかけ離れているために、理解不能な事件が次から次へと起きる、衝撃作に仕上がっていた。
「公安」という組織は「朽ち果てることなく脈々と受け継がれる!」と訴えているように感じた。
親友の死の真相を知った、森口泉が決意したことに、とても好感を持った。
原廣利監督は、「あぶ刑事」のような笑わせ😭てくれるコメディも、1㎜も笑わせ😔ない、シリアスなミステリーも魅せる監督だと思った、「朽ちないサクラ」だった。
良質なミステリー
昭和の匂い
配役の意味
VS公安
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