「トロッコ問題のような倫理観」朽ちないサクラ ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)
トロッコ問題のような倫理観
なんだかこう言った警察が事件を追って〜系の作品は見てこなかった気がするのもあって、とても楽しめた!
まぁメインで活動する杉咲花さんの役は警察ではないんだけど。
一転二転する展開も面白かった!
ネタバレは出来るだけ含まずレビューしたいけど、何も知らない方が絶対面白いので、
まっさらで鑑賞したい人は他のレビューとかも読まずに鑑賞するほうが良い。
「杉咲花」
最近は「市子」「52ヘルツのクジラたち」での役のようななんだか消えちゃいそうな人物の印象だったので、今回はそうでなくて良かった(?)
まぁ今回も消えてしまいそうにも見えなくはないけど。
なんだか走る姿もカッコよかった!
「安田顕」
渋くて良い感じに出来るおじさん感が最高にカッコよかった。
終盤のシーンでは照明の妙も相まって、全く違った人に感じられるくらいの雰囲気でした。
実質的には彼の物語とも言える作品だった。
onちゃんの着ぐるみ入ってた人とは思えないよね。
「未だにモチーフとなる現実のあの事件」
世代的に知らない人も増えてるだろうけど、未だに扱われるんだなぁという印象。
実際にあった新興宗教団体が起こした事件をモチーフにすることである種のリアリティがあるのかも知れないが、
反面、常識人では考えられない倫理観でなにが起きてもカルト集団だから…で事が済んでしまうような感じがして、なんだかやや冷めた気持ちにもなってしまった。
「トロッコ問題的な倫理観」
やり方は良いと言えなくても、正義感としては正解のない部分で揺れる心理が引き起こす事件と展開が興味深かった。
1人救って結果的に多くの被害者を出してしまった経験からの数名の被害者を出してでも起きていたかも知れない事件を未然に防ぎ、多くの人を救う事を良しとする正義感。
自らそう選択したわけではないが大勢より少数の経験、そして少数より大勢。
この2つを経験した上で彼の今後の正義はどうなるんだろうか…
数名の被害が身近な存在でも今回のような正義でいられるのだろうか…
でもまぁ劇中のセリフで言えば、物的証拠がない話でしかなく、そして100人死ぬ経験してから言えって感じだろうな…
「ラストシーン」
作品全体真相を追っていく事を主軸にしているし、自分もどんな真相が待っているか?ばかり気になっていて、登場人物の気持ちを想いながらの見方はしていなかったが、ラストでは杉咲花さんの演技にもらい泣きしてしまった。なんか最後に一気に引き込まれ持っていかれるような演技だった。
素晴らしい。
あまり見てこなかったタイプの作品な気もして、夢中で見れたし、それ故に話の展開もとても面白かった。
またミステリーを主軸に訴えてくる正義に対する考え方も興味深かった。
メインとなる杉咲花さん、安田顕さんの演技も素晴らしいので、興味あれば是非!