「正義の危うさ」朽ちないサクラ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
正義の危うさ
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通常スクリーンで鑑賞(ファーストデー)。
原作は未読。
事件を追う中で成長し、前へ進み出す杉咲花の凛とした眼差しにやられた。立派な刑事になって本丸を討って欲しい。
安田顕の演技も出色。クライマックスの杉咲花との対峙の緊迫感がすごい。顔つきが一気に胡乱になってハッとした。
序盤で黒幕は安田顕だと予想はつくが、演技が上手いから、物語が進む中で「あれ? 違う?」と結構惑わされた。
正義とは何か。そんな問い掛けが甘ったるく聞こえてしまうほどに、その単語の意味の持つ危うさに呆然とさせられた。
正義の定義は人それぞれで、己を貫くことは大切かもしれない。だが方向性を誤ってしまったらと思うとゾッとする。
ひとりを助けるため大勢を犠牲にするか、大勢を助けるためひとりを犠牲にするか、どちらにも理があり正解は無い。
最後の最後、スクリーンの片隅に出た「この物語はフィクションです」の文言が、痛烈な皮肉に思えてならない。
[余談]
同じ警察を題材にしていても、「帰ってきたあぶない刑事」とは180度違う作風の本作を撮ってしまう原廣利監督の演出手腕に心底驚かされる。ますます今後を追いたくなった。
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