劇場公開日 2024年3月15日

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「やや「退屈な映画」ではあるが、やはり多くの方には見て欲しい」薄氷の告発 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0やや「退屈な映画」ではあるが、やはり多くの方には見て欲しい

2024年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年106本目(合計1,198本目/今月(2024年3月度)24本目)。
(前の作品 「ビニールハウス」、次の作品「正しいアイコラの作り方」)

 一応、映画自体では「フィクションであり実際の事件ほかとは関係がありません」とは出ますが、公式サイト等から検索すれば、実際にあった出来事をテーマにしていることはすぐにわかります(性加害を扱うもので、当事者(被害者)とも相談したものと思います)。

 確かに映画を娯楽として見るなら「退屈な映画」ではあります。
ただ、日韓という文化圏が似て隣国という関係にあるお隣の国において起きた一つの事件は、日本においても程度の差や趣旨は違っても、「スポーツ指導」に名を借りた事件が起きていることはこれも事実であり(八百長などとは分けて考える必要があるもの)、映画自体はいろいろな事情から「フィクションです」とはするものの、実際の事件ほかから考えさせるものが多いです(なので、「フィクションです」は一応の「言い逃れ用」であって、映画内ではかなり詳しく描かれているのもかなり良いところ)。

 映画として見る場合、どうしても「娯楽性」をこの映画に見出すことは難しいとは思うものの、日韓ともにこうした問題を抱えているのは共通であり、韓国でこの事件をきっかけに男女同権思想(というより、事件の趣旨的に「女権拡張運動」というほうが正しい)が起きたのは事実で、日本においてもこうした事件を経ていなくても、明らかに女性を見下すような政治家等の発言ほかにおいてこれらの活動(いわゆるMetoo運動など)が起きたのも日韓同じであり、「何であっても男女は平等に扱われなけばならないし、それを否定する理由として、一見正当化できそうな「スポーツ」などをかっこよく持ち出してはいけない」という点に深く踏み込んでいる点で極めて良い映画だな、といったところです。

 映画自体は上記のように「被害者側の現在の状況にも配慮する」ものとしたと思われる事情から「フィクションです」というものですが、韓国公式サイトほか(あるいは、KBS(韓国の国営放送。日本のNHKにおよそ相当))ではちゃんと取り扱われている内容であり、韓国からみた隣国であるこの日本で何ができるか、韓国でおきたこの事件を教訓に、日本は何をできるか、しうるか、といったことにまで話が飛ぶ、非常に良い作品だな、といったところです。

 採点上は特に気になる点はないのでフルスコアにしています。
(これだけ詳しく描写されながら「フィクションです」というのは上記の事情があるものと思えるし、それをどうこう論じるのは「被害者側の心情を考えれば」そうすべきではない、ということは理解しうるので、その部分については減点なしの扱いにしました。よって減点対象が存在せずフルスコア)

yukispica