「悲しみと喜びのパレード」パレード ヨークさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しみと喜びのパレード
現世にやり残した事がありあの世へ行けない人が集う廃れた遊園地。そこではそれぞれの想いを胸に秘めながらも楽しそうに暮らしている。
成仏できない人、と聞くとだいたいは幽霊のようなものを想像するけれど、この映画では真逆のポジティブな存在として描かれる。ここに希望を感じた。仮に死に切れなくとも、この映画のような場所があるんだと思えるだけで救われる。
ひとり1人の想いに区切りがつき、あの世へと旅立っていく。そのドラマに胸が熱くなる。生きている者も亡くなった人も、それぞれの痛みや悲しみを抱えていることが分かる描き方がより切なさを感じさせる。
イジメられ自死を試みた高校生ナナが一命を取り留め、映画「パレード」を製作するメタ構造もこの世とあの世がどこか繋がっているような気がしてあたたかい気持ちになった。
派手さはないけれど、アップショットで微妙な表情の変化を表現するシーンが多く印象的だった。
そしてそんな難しい演出を支える豪華な俳優陣。
誰かにこの映画の良さを伝えるのは難しいけれど、なんだか良い映画だったなぁ。
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