「黄泉の国へ行く迄の休憩所」パレード 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
黄泉の国へ行く迄の休憩所
朽ちた遊園地跡地に住んでいるグループ。
死んだんだけど、やり残したこと、謝りたいことなど、
この世に未練を残してる人々が、集まっている。
最初のシーン。
津波で息子の良と生き別れになった美奈子(長澤まさみ)の
追い詰められた顔そして表情。
良を探し疲れた夕刻、
美奈子は廃棄された遊園地に集まるグループに声を掛けられる。
元スナックママの寺島しのぶに夕飯をすすめられる。
元有名映画プロデューサーのマイケル(リリー・フランキー)は、
とても人当たりが良くて優しい。
みんな実は死んでいる。
本当に死の国へ行く迄、やり残した事があるのだ。
キャストの豪華さに驚きます。
長澤まさみ、坂口健太郎、横浜流星、森七菜、黒島結菜、舘ひろし、
でんでん、木野花、田中哲司、寺島しのぶ、リリー・フランキー、
きっとNetflixは予算が潤沢なのですね。
張り詰めた感じは最初のみです。
ひとりひとりの死にきれない事情を描いていきます。
(みんな死んでるとは限らず、森七菜は自殺未遂で昏睡状態)
やはり面白かったエピソードは映画プロデューサーのマイケル。
エンディングに「マイケルさんを悼む」の文字が出ますので
実在のゆかりの方なのでしょう。
70年代の沖縄ですから、沖縄が日本に復帰した時期です。
マイケルは復帰反対の運動から、怖くなって東京に逃げ帰ります。
その時、恋人の黒島結菜を振り切ってそのままになるのです。
途中まで撮影したドキュメンタリー映画。
そして別れた恋人・黒島結菜が、
マイケルの心残りです。
リリー・フランキーさんは本当に良い味を出しますね。
みんなが住んでる廃棄遊園地に朽ちたメリーゴーランド。
マイケルが通う映画館の名は「星砂館」
月に一度の満月の日の「死者のパレード」
海も遊園地も沖縄の海辺も、
映像はとても綺麗です。
ゆったりした時が流れて穏やかな気持ちになります。
30の言語の字幕が付き、6カ国の言語の吹き替えがあります。
凄い予算ですね。
世界のビルマやアフリカやアジアの人々が観るのですね。
多くの国の、多くの人たちの心に届くと良いですね。