「Meme」THIS MAN ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Meme
正直何番煎じだよ、擦られすぎてるだろと思いながらも、日本が世界的に流行ったネットミームを自国で映画化するという試みには少し惹かれての鑑賞。
朝のサービスデーとはいえパッと見5人もいない初週作品は相当まずいのでは…なんて思いながらしっかり見てしまった。
いやーよく映画にできたなぁってくらいの薄い内容や、破綻しまくりのお話、題材を扱いきれてない感じと下手したらZ級映画に片足突っ込むレベルだなと思いました。
夢に出てきたら数日以内に殺される男を見てしまった人々の群像劇といったスタンスで作られており、THIS MANの正体は地獄に堕とされた怨霊的な感じと、オリジナル要素はある程度構築されていて、そこからどう展開するのかなと思って観ていたら、そんなに激しいことは起きない感じだったのでそこで肩を落としました。
今作の肝となってくるTHIS MANの登場シーンが全く怖くないのが致命的だなと思いました。
変にジャンプスケアでビビらせてくるわけではないだけまだマシなんですが、ベッドの中で潜んでたり、ぼーっと突っ立ってたり、ピーラーで人参の皮を剥いてたりするのが現実の死に繋がるとはいえ、それの絵面だけ観ていると水曜日のダウンタウンみたいなシュールさに繋がっていましたし、振り切れてない分中途半端さが残っているのもダメでした。
人相自体もあの有名な絵とは似ても似つかない微妙な出来で、もうできるもんならあの絵のまんまのものにして欲しかったです。
割と身近な人物が続々と殺されていくんですが、旦那が奥さんの妹に首チョンパされて、挽肉にしてハンバーグとしてご提供のシーンはコメディとして受け取っていいのか…?と観てる側の表情が定まらないシーンで困惑しっぱなしでした。
独房にぶち込まれた時も何故か制服で、そこの衣装くらい用意しようぜ…と苦笑いしていました。
PG12に相応しいグロシーンはしっかりあったのは評価したいところです。
分かりやすい伏線を予想通り回収しつつも、中々痛々しい絵面が連発でやってくるのは目を閉じてしまいそうになりました。
子供が死んでしまうところも逃げずに描写していたところもポイント高いです。
毎日自殺者1万人とかいうもう国が破綻してしまうレベルなのに普通に生活もできてるし、主人公一家は山奥に一軒家を建てて住んでる割には、えらく都市部に職場や行きつけの喫茶店やジムがあるのはどうやってアクセスしてるんだ?と背景ばかり気になってしまった自分がいました。
祈祷シーンで倒す流れ(般若さんの呪術師姿はイケオジで良かった)、弟子が近くでぽっくり逝ったのに、誰も死なせはせん!と意気込む師匠の表情が真剣なだけに、横の死体は無視して祈祷するんだというなんともいえないシーンは笑ってしまいました。
尺的というか予算的に仕方ないとはいえ、だいぶ規模の大きい話になってからの祈祷で祓ってはい終わり!旦那殺した妹も帰ってきたよ!という風呂敷を爆速で畳もうとして畳みきれなかった終わり方はなんだかなぁってなりました。
ホラーとしては全く怖くなく、スリラーとしては諸々詰めが甘く、物語をメインに見ても面白くないという大変な作品でした。
そりゃ大規模公開できないわけだ…。ネットミームはネットミームの世界のままで終わらせようという教訓にはなりました。
鑑賞日 6/12
鑑賞時間 10:00〜11:35
座席 D-10