「申し分ない最期の恋」余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
申し分ない最期の恋
永瀬廉くんの演技がどんなかなぁと思いつつも、アイコンの段階から出口夏希ちゃんがあまりに可愛い。
てるてるナース時代の石原さとみみたい。
そして、余命一年と余命半年と聞いて引き算してしまい、では残される廉くんの最期半年はどうなるんだろうと鑑賞。
どこが運が悪い男だよ秋人くん。
優しい両親、避けずに構ってくれる妹、実は両思いな片想い相手、出逢う春奈は猛烈に可愛い、別のクラスの三浦さんからも好かれる。それに相応しい容姿と性格と絵の才能。
だからこそ、余命と春奈と向き合う中で、真っ黒だと思っていた人生が実は鮮やかだったと、足るを知る。
幼い頃から身体が弱く、中学以降病室にずっといる春奈にとっても、秋人と出会った事で、「生きている」時間の尊さに目を向け、現実をいきいきと生きるターニングポイントとなる。
高2の、友達と思い出を作りながら各々の将来を見据えて、人生を切り開くために努力する年齢の時期に、「みんなはこれから大人になり夢を叶えていくけれど、あなただけは人生終了します」と余命宣告される酷は想像に容易い。何をするにも、どうせ、と思って普通。
しかも、自分の余命もあるのに、大好きな春奈が先に死に、残されるとわかっている秋人の苦悩はいかばかりか。春奈を見送った後は早く死にたいと思ってしまいそうだと思ったが、春奈との時間は、かえって秋人に希望をもたらした。
生きたくも生きられない人もいるのだからちゃんと生きないと失礼とか、そういった道徳的な理由ではなく、春奈との時間が楽しくて、春奈に時間を使いたい、春奈といたい、春奈の希望を叶えたい、
でも最初は、秋人が残される人物だと思っていたが、春奈と秋人を見送った綾やクラスメイトがその後の人生に大きく影響を受ける流れ。
登場人物みんな優しく、幼い頃から病室にいる春奈も病気ゆえにか悟っていて、優しさが深い。
こんなに尊い高校生達が、なぜそれぞれ悲しい思いをし、それでも人生を歩まねばならないのか?神様は本当に意地悪だと思う。
前半は、余命がある者の視点では、未来に満ち溢れて見える綾ちゃんだが、最後には、綾ちゃんが先に旅立った者達に想いを馳せ、彼らの想いを汲み、自分の希望だけの未来ではなく、生きたかった者がいることも担ったうえで、ネイリストの夢を叶えて人生を精一杯全うしている。綾ちゃんが思慮深く成長していくところも良かった。
思いっきり伝え合える若い頃の関係性って、お互いが元気でエネルギーに満ち溢れていて人生序盤だから成り立つのかなと気付いた。
もし自分側に余命があったら、未来がある相手にこそどんどんしたい事をして欲しい、夢を叶えて欲しいと思うだろうな。相手に余命があっても、体調が許す限りしたい事全部叶えて欲しいと当然思うだろう。
それは遠慮なのか思いやりなのかわからないけれど、自分より相手を優先させたい優しさは「愛」そのもの。
人生が幕を閉じるのは平均寿命より到底短かったけれど、若いうちに「愛」が成り立つ人間関係をお互いに経験できた春奈と秋人は、幸せも人一倍味わえたのではないかな?