「ただの悲劇の二乗では無い愛の物語」余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。 みーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ただの悲劇の二乗では無い愛の物語
私はひねくれ者なので泣ける映画と言われるだけで冷めた目で見てしまいがちで、よくある余命ものでしかも主人公二人が余命有りなのかと悲劇の二乗したって~どうなの?とこれだから日本の映画はありきたりだと言われてしまうんだと始まる前からYouTubeで予告に対する海外の否定的なコメントも見てしまって実のところ、予告の彩度の明るいアニメのような映像と若者のすべてがエモいなという印象で内容はあまり期待していませんでしたが、見終わった後は、こんなにひねくれ者でも、世知辛い世の中にすり減った心が浄化されるような、こんなにも泣けて悲しいのだが、幸せなあたたかい気持ちになるようなものすごい感情デトックスになるとは思いもしなかった!友達を想う気持ち、兄妹を想う気持ち、父親の想う気持ち、母親が想う気持ち、家族としての想い、恋しい相手を想う気持ち全てが連鎖して繋がって思いを紡いでいく各々の愛情が痛いくらいに伝わって、色んな登場人物に感情移入してしまって何度も涙が出てしまった。自分の周りの存在に感謝していつもより優しくしたいなと思ってしまうような、あたたかくて心洗われる気分になった。フジファブリックさんの若者のすべてと
suisさんのカバーの若者のすべての聴こえ方が全く別なのも素敵だった。suisさんのカバーは残された者の未来を歌うような明るさがあった。最後の芸術家の言葉も作品のテーマだったのであろう。秋人の妹の台詞、春奈のタイトル回収、今の時代らしいSNSでの想いの連鎖など最後の最後まで細部に渡って伏線回収がありとても心が満たされた。きっとこの映画のような世界が全ての人達だったなら世界平和なんだろうねと壮大なコメントをしてしまうくらいに清々しい。秋人と春奈は直接的な愛の言葉もそういったシーンも交わさないのに人生一生分の愛を、花言葉や普通に楽しく過ごす事でお互いに捧げて居たというのも一途で健気で初々しくて美しくて胸を打つ。キラキラとした二人のシーンはいつまでも見ていたかったし、病が進行して段々と生気を失っていく姿もとてもリアルだったが悲劇だけでない、各々がそれぞれの立場で精一杯想い合って思いを背負って向き合って大切にする心暖まる愛の物語だった。音楽、映像美、キャスト、脚本全てがとても素晴らしくてそれを表現する自分の語彙力の無さに嫌気がさすくらいには、この作品に出逢えたことに感謝しています。私のように斜に構えて食わず嫌いな方にもおすすめできると思いますし、原作もそのスピンオフも読みたくなりました。